中東

第18回ドーハフォーラム初日閉会セッションにおける
河野外務大臣スピーチ

(2018年12月15日,於:ドーハ,カタール)

平成30年12月15日

英語版 (English)

  • 第18回ドーハフォーラム初日閉会セッションにおける河野大臣スピーチ1
  • 第18回ドーハフォーラム初日閉会セッションにおける河野大臣スピーチ2

 こんにちは。ドーハフォーラム2018の初日に閉会の辞を述べることができ,誠に光栄です。ムハンマド・カタール国副首相兼外相の温かい御招待のおかげで,世界各国の政策決定者が集うこの重要な場に参加することができ,とても嬉しく思っております。

 本フォーラムの主要テーマは「相互につながる世界における政策形成」であり,世界の指導者が喫緊に着目しなければならない多くの問題に焦点を当てています。私は,こうした重要テーマに世界の関心を引こうとする,カタール政府とそのパートナー国政府の努力を評価いたします。ここ数十年,世界の連結性,相互連関性が進展したことで,我々が大いに裨益したことは事実でしょう。特に,情報通信技術の急速な発展によって,私たちが外の世界にアクセスする機会は大いに増えました。日本は,そうした先進技術を,中東地域の安定と安全のために活かそうとしています。例えば,中東和平プロセスを支援するため,10年以上にわたる「ジェリコ農産加工団地(JAIP)」計画を,ICT分野を中心にグレードアップすることを日本は決定いたしました。本計画によって,パレスチナが世界とつながることを期待します。

 しかしながら,そのような技術の進歩は同時に新たな課題も生み出しました。例えば,サイバー空間における脅威や,テロや暴力的過激主義を促す目的での通信技術の利用増加が挙げられます。当然のことながら,新たな課題は,新たな環境での秩序を構築もしくは再構築しうる,新しい政策や行動を必要とします。これまで日本は,新しく生じている環境に政策を合致させる努力をして参り,様々な分野でそうした政策を実行するために行動し始めました。このような行動の具体例を,いくつか簡潔に紹介させて下さい。

 海洋秩序の分野では,日本は「自由で開かれたインド太平洋」という考え方を推進してきました。この考え方の下で,日本は,法の支配や航行の自由,自由貿易といった基本原則を訴えて参りました。加えて我々は,国際基準にかなう形で質の高いインフラ計画を強化することにより,経済的繁栄を追求し,平和と安定の確保に向けてイニシアティブを発揮しています。このイニシアティブには,海洋法執行能力の強化,海賊への対処,防災などが含まれています。

 また,サイバーセキュリティ分野では,自由,公正かつ安全なサイバー空間を実現するために,日本はサイバー外交を力強く推し進めています。日本のサイバー外交は,三つの柱から構成されます。

 第一に,日本はサイバー空間における法の支配を推進いたします。既存の国際法はサイバー空間にも適用されるべきであり,日本は,国連を含む様々な会合で国際的なルールや規範を率先して実践していきます。第二の柱は,信頼醸成措置(CBMs)の推進です。サイバー空間における活動は,匿名性が高く,また瞬時に国境を超えます。サイバー空間における活動を発端とした不測の事態を防ぐためには,お互いの法令,制度,政策,戦略や考え方について理解を深め,共有し,相互に信頼性を高めることが必要です。そのような考えに基づき,日本は米国,豪州,EU,ロシア,ASEAN等14の国と地域との間で,サイバーに関する二国間及び多国間協議に取り組んでいます。私は,近い将来,中東諸国との間で同様の協議が行えることを望んでおります。第三の柱は,能力構築支援です。例えば,日本は米国と協同し,制御システムのサイバーセキュリティに関し,ASEAN向けの共同演習を実施しています。将来は,能力構築支援分野において,この地域の諸国とも協力していきたいと思います。

 日本は,河野四箇条のもと,中東地域に平和と安定をもたらすために,誠実に対話をファシリテートしようとしています。ドーハフォーラム2018コンセプト・ノートに記載されているように,パワーダイナミクスの移行期である現在,平和と調停はより複雑な課題となりました。しかし,中東における対話を促進し,ファシリテートすることによって,平和と安全を達成しようとする国際社会の取り組みの中で,日本はより積極的な役割を果たす決意です。中東における民族,宗教,宗派のなかで中立的であり,中東地域との外交関係において負の足跡がないという独自の立場を活かします。

 本フォーラムが,より良い人類の未来に向け,現出しつつある世界共通の課題への対処に役立つアイデアを成功裡に導入し,明日閉会できることを祈念しています。

 ご静聴,ありがとうございました。


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