寄稿・インタビュー
ヒュリエット紙(トルコ)への上川外務大臣寄稿(令和6年1月16日)
日本国外務大臣、本日アンカラを訪問(Japon bakan bugün Ankara’da)
本日、アンカラを訪問する上川日本国外務大臣は、日本とトルコの二国間関係や国際社会が直面する課題に関する両国の連携について語った。同大臣は、「両国は、ユーラシア大陸の両端に位置し地理的な距離は離れているが、1890年のエルトゥールル号遭難の困難に対し共に協力し、これ以降、友好関係を確実に育んできた」と述べた。
一連の公式訪問のため、本日アンカラを訪問する上川大臣は、訪問にさきがけヒュリエット紙に寄稿した。 同大臣は、昨年、戦略的パートナーシップ構築10周年を迎えた両国が、本年、外交関係樹立100周年を迎えたとし、「ユーラシア大陸の両端に位置し地理的な距離は離れているが、1890年のエルトゥールル号遭難の困難に対し共に協力し、それ以降、友好関係を確実に育んできた。」と語った。
「共通の懸念」
二国間関係に加え、国際社会が直面する課題に関する両国の連携も進んでいると説明する同大臣は、「ガザ情勢に関しては、トルコも日本も、深刻な人道状況に対して強い懸念を共有しており、先般、岸田総理とエルドアン大統領との間で、ガザ地区の人道状況の改善や事態の早期沈静化に向けて連携して取り組んでいくことを確認したところである。」と話した。
「相互的な支援の手」
同大臣は、両国が様々な分野で協力を続けていることを伝えつつ、次のように述べた。「いずれも地震国である両国は、一方が被災した際に、他方が援助の手を差し延べてきた。2011年の東日本大震災に際して、最も長く被災地に留まって救助活動に貢献されたのはトルコの支援・救助チームである。これに応えるべく、昨年2月にトルコ南東部を震源として発生した地震に対して、日本政府は、緊急援助物資を供与したことに加え、国際緊急援助隊の救助チーム、医療チーム、専門家チーム、自衛隊部隊を発災当日から順次派遣した。また、今月1日に発生した能登半島地震に際して、トルコから直ちにお見舞いのメッセージと支援の申し出をいただいたことに感謝する。このように、両国は、良い時も困難な時も互いに支え合う関係を築き上げてきた。」
「社会保障協定が必要」
「両国の経済関係に目を向けると、2000年以降急激に拡大し、日系企業の進出数が当時の60社から250社程度まで増加した。この関係は更に拡大していくことが期待されており、そのためにも日トルコ間の経済連携協定(EPA)及び社会保障協定の締結が不可欠である。これらの協定の締結の暁には、貿易だけでなく、投資を通じたビジネス活動も一層活発になり、互恵的な両国経済の結びつきが更に力強いものとなるだろう。」
「科学技術協力の面では、『トルコ日本科学技術大学』(TJU)の開学を目指して両国の関係者が鋭意準備を進めている。両国の英知を活用し、トルコの将来だけでなく国際的にも貢献する人材が育っていくことが望まれる。」
「観光客数がコロナ前の状況まで回復」
「観光分野での関係も大きな潜在性を秘めている。トルコも日本も、20件以上の世界遺産を有し、美しい自然、世界に誇る文明と文化を受け継いできた遺跡や建築物、食文化等々、魅力に満ち溢れている。両国の観光客の行き来は、コロナ禍前の水準に戻りつつあり、今後、一層拡大することが期待される。こうした両国民の行き来が活発化すれば、国民レベルでの相互理解が深化し、両国関係が一層増進することになる。」
「自由で開かれた海洋秩序」
「また、両国は、共に民主主義国家であり、重要な海域に囲まれた海洋国家でもある。日本は力ではなく、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序を重視しており、その実現に向けて、トルコとの連携を深めていく考えである。記念すべき年の今次訪問を機に、これら共通課題の前進に向けた連携を確認し、トルコと日本の関係が更に深化し発展することを願う。」