ヨルダン

平成27年1月19日
写真1 (写真提供:内閣広報室)
写真2 (写真提供:内閣広報室)
写真3 (写真提供:内閣広報室)
安倍晋三内閣総理大臣は、1月17日(土曜日)~18日(日曜日)、ヨルダンを訪問したところ、概要は以下のとおりです。

1.主な行事

1月17日(土曜日)
ヨルダン国立博物館視察
アブドッラー2世国王主催非公式夕食会

1月18日(日曜日)
ヌスール首相との会談
アブドッラー2世国王との首脳会談
アブドッラー2世国王主催日・ヨルダン経済界との会合及び昼食会

2.主要行事の概要

(1)日・ヨルダン首脳会談

1月18日午前10時45分(ヨルダン時間。日本時間18日午後5時45分)から約40分間、安倍総理大臣は、王宮府でアブドッラー2世国王と日ヨルダン首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。

(ア)冒頭
安倍総理大臣から、今世界で起きている過激主義の流れを止めなければならない、「中庸は最善」という哲学を陛下と是非推し進めたい、ISILへの取組やシリア難民の受入れ等、ヨルダンが地域の平和と安定のために果たす役割を高く評価、ヨルダンの安定を支えるため、引き続き非軍事的な分野で支援する旨述べました。これに対しアブドッラー2世国王は、日本の取組を評価、テロとの闘いに向け国際社会が連携して取り組んでいくことが重要である旨述べました。

(イ)二国間関係
安倍総理大臣から、日本の「積極的平和主義」を支持いただき感謝、PKO分野で積極的な貢献をしているヨルダンとの間で、協力を強化していきたい旨述べ、これに対しアブドッラー2世国王は、日本による地域及び国際社会の平和と安定及び繁栄への貢献を歓迎し、日本の安全保障政策への支持を表明しました。
安倍総理大臣から、ヨルダンの安定を支えるため新たに1億ドルの円借款を実施する、さらに国会承認を得てからとなるが、国際機関経由で総額2800万ドルの新規支援を行う旨表明し、アブドッラー2世国王は、日本の支援に感謝する旨述べました。

 (ウ)地域情勢
安倍総理大臣から、ISILとの闘いにおいて最前線に立ち続けているヨルダンの取組に敬意を表する旨伝達し、アブドッラー2世国王は、日本によるイラク、シリア及び周辺国に対する人道支援を含むテロとの闘いを高く評価しました。
また、中東和平問題について、安倍総理大臣から和平交渉の停滞を懸念、交渉再開に向けてヨルダンとも連携して取り組んでいきたい旨伝達し、アブドッラー2世国王は、「平和と繁栄の回廊」構想等、中東和平プロセスにおける日本の果たす役割及び支援を高く評価しました。両首脳は、「二国家解決」へ向けた交渉の早期再開に向けて協力して取り組んでいくことを確認しました。

(2)アブドッラー2世国王主催日・ヨルダン経済界との会合及び昼食会

1月18日午前11時30分(ヨルダン時間。日本時間18日午後6時30分)から約40分間、安倍総理大臣は、王宮府においてアブドッラー2世ヨルダン国王主催日・ヨルダン経済界代表との会合に出席しました。また、これに続いて約40分間、国王主催日・ヨルダン経済界代表との昼食会に出席しました。
会合の冒頭で、安倍総理大臣は、今回の訪問には経済界首脳が同行しており、この訪問を機会に両国の経済関係が進展することを期待している旨発言しました。

(3)ヌスール首相との会談

18日午前9時45分(ヨルダン時間。日本時間18日午後4時45分)から約30分間、ヨルダンを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、アブドッラー・アル=ヌスール・ヨルダン・ハシェミット王国首相と会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。なお、安倍総理大臣は会談に先立って歓迎式典に参加した他、会談後、安倍総理大臣及びヌスール首相の立会の下、三菱商事が参画する太陽光発電プロジェクトへの国際協力銀行(JBIC)によるプロジェクト・ファイナンスに関する融資関連契約及び三井物産が出資する火力発電プロジェクト(IPP4)への太陽光発電設備追設プロジェクトに関する覚書の署名式が行われました。

(ア)二国間関係
  1. 冒頭、安倍総理大臣より、初めてのヨルダン訪問をヌスール首相に歓迎いただき感謝、今回の訪問には経済ミッションも同行しており経済界同士の相互交流の活発化等二国間の経済関係の進展を期待している旨述べました。ヌスール首相から、安倍総理大臣及び日本の経済ミッションのヨルダン訪問を歓迎する旨述べられ、これまで困難に直面してきたヨルダンを日本が一貫して支援きたことへの謝意が示されるとともに、二国間関係のさらなる進展に向けて協力していくことで一致しました。
  2. 安倍総理大臣から、ISILに対する取組やシリア難民の受け入れ等、ヨルダンが地域の平和と安定のために果たしている役割を高く評価している旨述べました。これに対し、ヌスール首相から、多数のシリア難民の受け入れ、パレスチナ、ISIL等、ヨルダンはかつてない課題に直面しており不確実性が高まっている旨説明があり、今回の訪問等を通じ、ヨルダン及び地域の安定化に対する日本の支援に対し感謝を述べると共に、更なる期待が表明されました。
  3. 安倍総理大臣から、三菱商事が参画するヨルダンでも最大規模の太陽光発電プロジェクトについて、国際協力銀行(JBIC)との間の融資契約の締結と独立行政法人日本貿易保険(NEXI)による融資保険の引受を歓迎する、また、三井物産とヨルダン政府が新規の太陽光発電設備建設を検討する旨の覚書を交わす運びとなったことを歓迎する旨述べました。ヌスール首相は、日本の太陽光発電に関する技術を高く評価しており、協力に感謝する旨述べました。
  4. 安倍総理大臣から、ペトラ遺跡を始め、ヨルダンは豊かな文化遺産を保有、観光資源としても価値が高く、ヨルダンの観光業は大きな可能性を有している、日本は、ヨルダンの観光分野の開発において協力を行ってきており、引き続き支援していきたい旨述べました。ヌスール首相は、観光業はヨルダンにとって重要な産業であり、日本の協力に対し感謝する旨述べました。
(イ)中東和平
安倍総理大臣より、中東和平交渉の停滞を懸念している、「二国家解決」へ向けた交渉の早期再開に向けヨルダンとも協力して取り組んでいきたい旨述べました。また、安倍総理大臣から、パレスチナで「平和と繁栄の回廊」構想の基幹事業であるジェリコ農産加工団地を視察予定であり、第1次安倍政権時に具体化した構想が、約10年を経て入居企業が決定する等進展を見せていることは感慨深い、早期稼働を期待している旨述べました。ヌスール首相は、「平和と繁栄の回廊」構想等、中東和平プロセスにおける日本の果たす役割及び支援を高く評価しました。

3.評価

(1)ISIL対策の最前線として難民等地域不安定化の影響を受けているヨルダンに対して力強い支援を表明し、地域の平和と安定に向けた日本の取組を示すことができました。
(2)日本とヨルダンは皇室と王室間の親密な関係を基礎として大変良好な関係にありますが、昨年11月のアブドッラー2世国王の訪日に続き今回安倍総理大臣がヨルダンを訪問し、首脳間の活発な交流が続いています。両首脳は、両国の戦略的関係を更に発展させ、平和と安定を促進するための協力を継続することを改めて確認しました。
(3)今回の訪問には経済ミッションが同行し、安倍総理大臣立会の下、日本企業が関わる太陽光発電プロジェクト2件に関する署名式が実施されました。今後両国の経済関係のさらなる進展が期待されます。

ヨルダンへ戻る