イスラエル国

平成27年1月21日
ネタニヤフ首相との会談 (写真提供:内閣広報室)
リヴリン大統領への表敬 (写真提供:内閣広報室)
ホロコースト博物館で献花する安倍総理大臣 (写真提供:内閣広報室)

 安倍総理は,1月18日(日曜日)~20日(火曜日),イスラエルを訪問したところ,概要は以下のとおりです。

1 主な行事

1月18日(日曜日)

ネタニヤフ首相との会談
同行経済ミッションとネタニヤフ首相との会合同席
経済セミナー出席

1月19日(月曜日)

ヤド・ヴァシェム(ホロコースト博物館)訪問
ネタニヤフ首相との会談
リヴリン大統領への表敬
エルサレム旧市街視察
ヘルツォグ労働党首による表敬
「イスラエル・パレスチナ合同青年招へい」及び「中東和平プロジェクト」参加者の同窓会出席
マケイン米上院議員他による表敬
ネタニヤフ首相夫妻主催夕食会

1月20日(火曜日)

内外記者会見

2 主要行事の概要

(1)ネタニヤフ首相との会談

 1月18日午後及び1月19日午前,安倍総理は,ネタニヤフ首相と会談を行った。会談後,共同プレスリリース講演の全文(和文仮訳 (PDF) 英文 (PDF) )を発出した。
 会談冒頭,安倍総理から,パリにおけるテロでユダヤ人にも犠牲者が出たことに哀悼の意を伝え,テロに対して引きつづき国際社会が取り組む必要性を確認した。

二国間関係

政治・安全保障
 両者は,国家安全保障局間,防衛当局間の交流が活発に行われていることを歓迎し,昨年11月に二国間協議を実施したサイバー分野での連携に期待を表明。

経済分野
 昨年7月の経済産業大臣イスラエル訪問時,イスラエル側との間で産業R&D協力に関して一致したことを評価。個別企業間の協力・提携の進展等も見られ,この機運を維持していくため取り組んでいくことで一致。安倍総理は,イスラエル政府が決定した対日経済関係強化計画を歓迎。双方は,投資協定交渉を年内にまとめることを目指すよう,事務方に指示することで合意。

科学技術協力の強化
 双方は,科学技術振興機構と貴国科学技術宇宙省が協力覚書に署名し,情報通信技術分野で研究協力プログラムを実施することについて一致したことを歓迎。

人物交流
双方は,観光を含む人的往来の活性化の重要性を確認し,ワーキング・ホリデー制度導入に向けた交渉の早期妥結を期待。

国際場裏

安保理改革,安保理非常任理事国選挙
 安倍総理大臣は,国連創設70周年の本年に安保理改革を具体的に動かす必要性を指摘し,改革実現のための協力を要請。

軍縮・不拡散
 安倍総理大臣は,唯一の被爆国として,被爆から70年の本年,日本が核軍縮・不拡散を重視しており,非核兵器国としてイスラエルのNPT加入とCTBT早期批准,並びに中東非大量破壊兵器地帯設置国際会議の早期開催に向けた更なるイスラエル側の努力に期待を表明。

地域情勢

中東和平
 安倍総理大臣は,昨夏以降の暴力と不信の連鎖に懸念を表明し,対立がエスカレートするような言動を控えるよう要請。イスラエルが実施しているパレスチナ自治政府に対する税還付停止の見直しを強く求めた。また,国際法違反である入植活動の停止についても要請。昨年5月の首脳会談に引き続き,「平和と繁栄の回廊」構想に対するイスラエルの一層の協力への期待を表明。

中東情勢
 安倍総理大臣は,ISIL対策として,日本が総額2億ドルの新規支援を行う旨紹介した。また,イランの核問題について,日本は引きつづき外交的解決を求め,延長された交渉期間中に最終合意に至るため,イスラエルを含む国際社会がEU3+3の取組を支持し,建設的な役割を果たすことが重要である点強調。

(2)同行経済ミッションとネタニヤフ首相との会合同席,経済セミナー出席

(ア)1月18日午後,安倍総理大臣は,同行した経済ミッションとネタニヤフ首相との会合に同席。同会合冒頭,安倍総理大臣は,昨年5月のネタニヤフ首相来日を契機に,二国間関係が包括的に格上げされていることを指摘しつつ,特に二国間の経済関係が大きなポテンシャルを秘めている旨述べた。

(イ)上記会合の後,安倍総理大臣は,ネタニヤフ首相の案内で,経済セミナー会場に設置されたイスラエル企業5社のブースを回り,各企業の展示を視察した。

(ウ)経済セミナーの冒頭挨拶において,安倍総理大臣は,あらゆる分野で深化している二国間関係の内,特に経済面の進展には目を見張るものがあり,「イノベーション」を経済成長のエンジンと位置づける日本が,革新的な技術を生み出すイスラエルと協力しない理由はない旨述べた。また,政府としても,昨年の夏,経済産業大臣をイスラエルに派遣し,産業分野の研究協力覚書を交わしたことで,両国企業が研究開発協力を行う際に政府から支援を受けられるようになったこと,本日,科学技術振興機構とイスラエル科学技術宇宙省がICT分野の協力を念頭に覚書を交わすことを紹介した。

(エ)冒頭挨拶後,安倍総理大臣は,経済セミナー会場内に設置された日本酒及び梅酒の対イスラエル販売促進ブースにネタニヤフ首相を案内し,試飲をおこなった。

(3)リヴリン大統領への表敬

(ア)1月19日午後,安倍総理大臣は,リヴリン・イスラエル大統領を表敬訪問した。

(イ)安倍総理大臣は,ヤド・ヴァシェム訪問を通じて感じた戦争と差別のない世界を作り出す責務を担っているとの決意を改めて述べるとともに,二国間の絆と友好関係を基に,両国関係を一層進展させたい旨述べた。

(ウ)双方は,中東和平に関する現状と課題等について意見交換し,安倍総理からは,和平実現に向けたリヴリン大統領の指導力に期待を表明。

(4)ヘルツォグ労働党首による表敬

(ア)1月19日午後,安倍総理大臣は,ヘルツォグ・イスラエル労働党首の表敬訪問を受けた。

(イ)安倍総理大臣からは,御尊父の故ハイム・ヘルツォグ大統領が,昭和天皇の大喪の礼や今上天皇の即位の礼に参列頂く等,ヘルツォグ家と日本との関係性を指摘。また,イスラエルとパレスチナ関係の共存・共栄が日本の願いとして,日本が引き続き地域の安定・繁栄のため尽力する決意を述べた。

(ウ)双方は,中東和平をめぐる情勢,地域情勢等について意見交換した。

(5)ヤド・ヴァシェム(ホロコースト博物館)訪問

(ア)1月19日午前,安倍総理大臣は,ヤド・ヴァシェムを訪れ,ホロコーストに関連する写真,遺品および公文書等が展示されている歴史博物館を視察するとともに,「記憶のホール」にて献花を行った。

(イ)安倍総理大臣は,献花の後,敷地内に「諸国民の中の正義の人」として植樹されている杉原千畝元領事代理の記念樹を訪問。その後,「子供記念館」の出口において次の通り記帳を行った。

「犠牲者の方々に深い哀悼の意を表します。アウシュビッツ解放70年の本年,このような悲劇を二度と繰り返させないとの決意を表明します。
  日本国内閣総理大臣
  安倍 晋三」

(ウ)最後に安倍総理大臣は,記者団に対し,以下のとおり発言した。

(ⅰ)ユダヤの人々がくぐった苦難を,全人類の遺産として残そうとする皆様の努力に,心からの敬意を抱きます。深い悲しみを乗り越え,イスラエルの建国に尽くした先人たちを前に厳かな気持ちになりました。

(ⅱ)特定の民族を差別し,憎悪の対象とすることが,人間をどれほど残酷なものにしてしまうのかを,学ぶことができました。昨年3月,アムステルダムにアンネ・フランクの家を訪ねましたが,本日は,決意を新たにいたしました。

(ⅲ)ハショア・レオラム・ロー・オッド(注)。ホロコーストを,二度と繰り返してはならぬ。
(注)「The Holocaust,Never Again.」の意味

(ⅳ)私たちの先人に一人のチウネ・スギハラがいます。彼のビザで日本に向かったユダヤ難民を助けた人々も,少なからずいました。彼らの勇気に,私たちは倣いたいと思います。

(ⅴ)ヤド・ヴァシェムに灯る「永劫の火」を導きのともしびとして,差別と戦争のない世界,人権の守られる世界の実現に向け,働き続けなければなりません。日本としても,世界の平和と安定に,より積極的に貢献する決意です。

(ⅵ)先の大戦終結から70年,そして,アウシュビッツ解放以来70年でもある本年,このような悲劇を二度と繰り返させない,との決意を表明します。

(6)「イスラエル・パレスチナ合同青年招へい」及び「中東和平プロジェクト」参加者の同窓会出席

(ア)1月19日午後,安倍総理大臣及び中山外務副大臣は,日本政府及び地方自治体が毎年実施しているイスラエル,パレスチナ双方から青年を招へいする事業の歴代参加者が集う同窓会に出席した。

(イ)同会合冒頭挨拶において,安倍総理大臣は,「以和為貴」との言葉を引用し,日本滞在を通して学んだ和の精神を,隣人との隔たりを乗り越える一助にして欲しいとの願いを改めて参加者に伝達した。また,日本が,信頼醸成の種を蒔き続ける決意を述べつつ,参加者一同に対しても,和平の果実を実らせることを期待する旨表明した。

(ウ)その後中山外務副大臣は,「対立」を越えて友情を築き上げた日本の経験に触れつつ,イスラエル・パレスチナ間の対立も必ず終結する,本日の同窓会が参加者間の新たな門出となることを期待する旨述べた。

(7)マケイン米上院議員他による表敬

(ア)1月19日午後,安倍総理大臣は,同地訪問中のジョン・マケイン上院議員(軍事委員長)をはじめとする米連邦上院議員7名(コーカー議員(外交委員長),グラハム議員,バラッソ議員,ドネリー議員,ケイン議員及びキング議員他)による表敬を受けた。

(イ)安倍総理から,日米関係への貢献に謝意を述べるとともに,戦火を交えた日米両国が戦後和解して強固な同盟国となったこと,今後も両国で連携して地域と世界の平和と繁栄に貢献してきたこと,今後も両国で連携して貢献していきたい旨述べた。両者は,アジア太平洋地域における日米同盟の重要性につき認識を共有した。

(ウ)安倍総理は,日米間で幅広い分野での安保・防衛協力を進めていきたい旨述べた。マケイン委員長からは,日米間で安保・防衛協力や米軍再編の取組を進めることの重要性につき賛意が示された。

(エ)この他,両者は,アジア太平洋の安全保障情勢,中東情勢,TPP,エネルギー協力についても意見交換を行い,日米同盟の枠組みで両国の協力を強化していくことを確認しました。



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