イスラエル国

平成30年5月2日
ネタニヤフ・イスラエル首相による出迎えを受ける安倍総理大臣 (写真提供:内閣広報室)
日・イスラエル首脳会談における出席者集合写真 日・イスラエル首脳会談 (写真提供:内閣広報室)
日・イスラエル首脳会談(拡大首脳会談)の模様 日・イスラエル首脳会談 (写真提供:内閣広報室)

 5月2日午後12時5分から約130分間,イスラエルを訪問した安倍総理大臣は,ビンヤミン・ネタニヤフ・イスラエル首相 (H.E. Mr. Benjamin Netanyahu, Prime Minister of the State of Israel) と首脳会談を行ったところ,概要は以下のとおりです。

1 首脳会談

(1)冒頭

 ネタニヤフ首相から訪問を歓迎する旨述べ,二国間関係の進展の評価とともに,さらにその関係を強化・拡充していくことへの期待が示されました。
 これに対し安倍総理から,3年ぶりにイスラエルを訪問し,再会できて嬉しい旨述べ,日イスラエル関係が,第二次安倍政権発足時と比べ,日本からの投資額は約120倍,進出企業数は約3倍になるなど,経済を中心に飛躍的に発展していることは大変喜ばしい旨述べました。
 その上で,今次訪問を機に,ネタニヤフ首相と共に今後,経済分野,政治・安全保障分野を含め両国関係全体の強化を,一層加速化させていきたい旨述べました。

(2)二国間関係

 二国間関係について,両首脳は,両国は共に厳しい安全保障上の課題に直面していることを確認し,経済的な関係の発展を歓迎しつつ,今後は政治・安全保障面も含めて戦略的な協力を深化させていくことを確認しました。この観点から,両首脳は,新たに外務・防衛当局間協議を立ち上げることで一致しました。
 また,安倍総理から,変化の早いサイバーの脅威に対し,国を挙げて対処するイスラエルの取組を高く評価する旨述べ,両首脳はサイバー面での協力を強化していくことを確認しました。両首脳は,イスラエルのベイルシェバにあるサイバーセキュリティーコンプレックスへ専門家を派遣することに合意しました。
 安倍総理は,サイバー能力やイノベーションの基となる科学技術は両国とも得意分野であり,多様な研究開発協力の進展を望む旨述べ,これにネタニヤフ首相も同意しました。
 さらに,安倍総理から,昨年,「日イスラエル・イノベーション・ネットワーク(JIIN)」が設置されたことに触れ,若手起業家のイスラエル派遣,サイバー,イノベーション,バイオ等の先端分野のセミナーやマッチング等を推進予定である旨述べました。これに対し,ネタニヤフ首相からは,このような日本の取組や姿勢を評価し,日本の技術とイスラエルのイノベーションを組み合わせれば,大きな可能性が広がることに触れ,様々な分野で協力関係を深化させていきたい旨述べました。

(3)中東和平

 中東和平に関し,安倍総理から,日本は二国家解決を支持していること,和平実現には当事者の直接対話及び米国の関与が不可欠であり,イスラエルの建設的関与も重要である旨述べつつ,入植活動についても自制を求めました。
 さらに,「平和と繁栄の回廊」構想の推進についても議論し,安倍総理は,4月29日の四者閣僚会合でのJAIPからヨルダン国境までのアクセス道路建設の合意を歓迎する旨述べ,早期着工に向けたイスラエルの引き続きの協力を要請しました。
 これに対し,ネタニヤフ首相から,「平和と繁栄の回廊」構想に関する日本の取り組みを歓迎し,これに関する取り組みを強化していく,和平プロセスの進展のためには当事者間の対話が重要である,といった発言がありました。

(4)北朝鮮

 北朝鮮問題について,安倍総理から,北朝鮮の具体的な行動を見極める必要であること,過去の教訓を踏まえ,制裁緩和のタイミングを誤ってはならないこと,核武装した北朝鮮は決して認められないこと,北朝鮮によるCVID(WMD及び弾道ミサイル)を実現するため,最大限の圧力を維持しなければならないこと,中東が制裁の抜け穴になってはならず,引き続きイスラエルとも連携し,各国に北朝鮮との関係の見直しや制裁回避への対応強化を呼びかけたい,拉致問題の早期解決に向け,理解と協力を要請,こういった日本の立場を表明しました。
 これに対し,ネタニヤフ首相から,日本の立場を完全に支持する旨の発言がありました。

2 拡大首脳会談

 続いて,日本企業関係者を交えた日イスラエル拡大首脳会談が開催され,主要日本企業8社の代表らが出席しました。
 冒頭,安倍総理から,両国の経済関係は飛躍的に発展しており,第二次安倍政権発足時と比べ,イスラエルに進出した日本企業数は25社から70社となり3倍,日本からの投資額は11億円から1,300億円に達し,120倍となった旨述べ,二国間投資協定も発効,益々の関係拡大が見込まれると述べました。
 さらに,官民合同のJIINのプログラム等を通じて,民間企業同士の関係拡大,ビジネス関係者の往来を増加させたいとの考え方でイスラエル側と一致した点について触れました。
 また,紅海死海プロジェクトは,地域の水不足の改善に寄与すると同時に,地域の信頼醸成にも資する事業と認識している旨,日本企業も関心を示しており,事業の円滑な進展を期待している旨述べました。
 最後に,イスラエルとの関係が深い日本企業の幹部に同行いただいた点に触れ,今後,日・イスラエル関係拡大の担い手となってくれることを期待する旨述べました。
 これを受け,ネタニヤフ首相からは,両国間の経済面の協力強化に対する期待が示されました。
 同行した日本企業の関係者からも発言があり,ネタニヤフ首相からはイスラエル企業の紹介や同企業との連携の可能性について言及がありました。
 最後に安倍総理から,今回イスラエルを訪問した日本企業が,イスラエルにおける投資や事業を拡大させ,両国関係の強化の礎となっていくことを期待する旨述べて締めくくりました。


イスラエル国へ戻る