寄稿・インタビュー

「135年の鷲と太陽 (135 años de Águila y Sol) 」

令和5年1月5日

 メキシコは日本にとり常にフロンティアを開拓してきた場でありました。

 135年前の1888年に締結した日墨修好通商航海条約は、日本にとってアジア以外の国との初めての平等条約であり、他国との平等条約の締結につながりました。日本初の中南米への移民団がメキシコを訪れたのは約125年前。より最近の例では2005年に日墨経済連携協定が発効した際、私はこの国会審議に参議院外交防衛委員長として携わりましたが、これは、日本にとり初めての本格的なEPAでした。

 EPA発効後、メキシコ進出日系企業は4倍に増えました。サプライチェーンの強靭化やnear-shoring friend-shoringの流れで、日本国内ではメキシコへの投資に対する関心が益々高まっています。EPAの下での委員会なども通じたビジネス環境の一層の整備、メキシコ政府が掲げる気候変動に向けた取組の進展により、DXやGXによる新たな成長も含め、一層の経済関係深化も期待されます。

 さらに、今日、メキシコは、基本的価値を共有する戦略的グローバル・パートナーであり、緊密な関係を有する日墨両国は、G20、OECD、APEC、CPTPP、WTO、国連を含む様々な国際枠組みでも協力連携を深めてきています。現下の厳しい国際情勢の下、我々は歴史の岐路に立っており、自由で開かれた国際秩序の再構築に向け対話と連帯を深めることが重要です。日本は本年から国連安保理非常任理事国として、益々コミットしていく考えです。

 今年で半世紀を迎える「日墨グローバル・パートナーシップ研修計画」には両国から約5,000人の研修生が参加し、日墨、日・中南米の交流を支える人材を輩出してきました。日墨学長会議も昨年第5回を迎え、学術界のつながりも強化されています。私も長く携わり日本で開催されてきたSTSフォーラム(科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム)にはエブラル外相がメキシコ市長時代から参加され、昨年は初めての中南米STSフォーラムがメキシコで開催されました。日系人の方々は世代を超えて両国の大切な架け橋として信頼と友好の絆を深めてきています。

 約400年前、太平洋を航行していたガレオン船が座礁し、乗組員が日本の漁民に救助されたことが両国の最初の出会いでした。今も両国を結びつけている太平洋が、日本が提唱し、メキシコから力強い支持を得ている「FOIP」の理念を踏まえ、自由で公正な経済秩序の下で更にダイナミックな成長の波を享受できるように、そして国際社会の平和と繁栄のために、メキシコの硬貨に描かれた鷲と太陽のごとく、いつでも、いつまでも、日本(太陽)とメキシコ(鷲)が堅く結びついていくことを期待しています。


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