中南米

平成27年5月25日
中山泰秀外務副大臣は,5月17日から5月24日までの日程で,ジャマイカおよびセントルシアを訪問しました。同訪問の概要は以下のとおりです。

1.ジャマイカ(5月18日~19日)

(1)中山副大臣は5月19日,シンプソン=ミラー首相を表敬し,2014年の日・ジャマイカ外交関係樹立50周年及び日・カリブ交流年に深まった交流の機運を維持したい,昨年の日・カリコム首脳会合及び第4回日・カリコム外相会合をフォローアップしていきたい等述べました。シンプソン=ミラー首相は,昨年,幅広い分野で日・ジャマイカ関係が緊密化したことを歓迎するとともに,今後も人的交流を活発化させたい旨述べました。また,これまでの日本の経済協力や一人当たりの所得水準とは異なる観点から支援が必要という日本の認識に対する謝意,今後の協力への期待等を表明しました。
 

(2)中山副大臣は,18日にブラウン国務大臣(外務・貿易省担当)と会談を行い,様々な分野で二国間関係,日・カリコム関係及び安保理改革をはじめとする国際場裡での連携を強化していくことを確認しました。
 

(3)また,中山副大臣は19日に,ハナ青年・文化大臣と会談を行い,昨年の外交関係樹立50周年に高まった機運を維持し,大学間交流など若い世代の交流を活発化させていくことで一致しました。ハナ大臣は,ジャマイカ研究所(ジャマイカ国立博物館を含む)の展示・視聴覚機材等への日本の支援に謝意を表しました。
 

(4)この他,中山副大臣は,ジャマイカで活躍する青年海外協力隊員,JICAシニアボランティア,進出日本企業関係者と意見交換を行ったり,西インド諸島大学(モナ校)を訪問し,日本語を学習する学生と懇談の機会を持ちました。

2.セントルシア(5月20日~22日)

 

(1)中山副大臣は,5月20~22日,セントルシアで開催されたカリコム(カリブ共同体)外交・共同体関係理事会会議(COFCOR,カリコム外相会合)に域外国として出席するためセントルシアを訪問し,22日に,COFCOR全体会合でスピーチを行いました。中山副大臣はスピーチの中で,日本は,2年前のCOFCORにて約束したように,日・カリコム関係を確実に強化したこと,日本の対カリコム支援が大幅に増加したこと,日本はカリコム側の要請を真剣に検討し,「一人当たりの所得水準のみによるのではなく,小島嶼国特有の脆弱性を勘案すべき」という昨年7月の安倍総理の表明に至ったこと等を強調しました。また,日・カリブ交流年に強化された人的交流の機運を強化していきたい,国際場裡の多くの分野で節目の年を迎える本年,連携を一層強化したい等述べました。
(2)カリコム側は,昨年7月の日・カリコム首脳会合及びそこで安倍総理が表明した日本の対カリコム政策,特に,日本が一人当たりの所得水準にとらわれないで支援を実施することを決定したことを高く評価するとともに,小島嶼開発途上国(SIDS)特有の脆弱性のための日本の支援に更なる期待を表明しました。
(3)また,中山副大臣は滞在中(20~22日)にカリコム加盟国(全14か国)の内の9か国及びカリコム事務局と個別に会談を行いました。中山副大臣と会談を行ったのは,フェルナンデス・アンティグア・バーブーダ外務・貿易大臣,フレデリック・ミッチェル・バハマ外務・移民大臣,マクレーン・バルバドス外務・貿易大臣,バロン・ドミニカ国外務・カリコム担当大臣,モデスト=カーウェン・グレナダ外務大臣,ブラントリー・セントクリストファー・ネーヴィス外務・航空大臣,バプティスト・セントルシア外務・国際貿易・民間航空大臣(議長),ゴンザルベス・セントビンセント及びグレナディーン諸島外務・貿易・商業・情報技術大臣,カーペンス・スリナム・カリコム担当大使,ラロック・カリコム事務局長であり,各会談におけるポイントは以下のとおりです。(注:ガイアナは欠席)
 
アンティグア・バーブーダ
中山副大臣は22日,フェルナンデス外務・貿易大臣と会談を行い,二国間関係及び日カリコム関係,経済協力,国際場裡での協力につき意見交換を行いました。中山副大臣より,先般決定した防災関連機材や水産関連機材に関する日本からの支援を経済社会の発展に役立ててほしい旨述べました。フェルナンデス大臣は,水産分野でのこれまでの日本の協力に対して謝意を表明,また,島国が有する海域の維持・管理や天然資源の保護の観点からも,気候変動の影響の緩和策を進めていきたい旨述べました。
 
    
 
バハマ
中山副大臣は22日,ミッチェル外務・移民大臣と会談を行い,二国間関係及び日カリコム関係,経済協力,国際場裡での協力につき意見交換を行いました。中山副大臣より,安保理改革など国際場裡における協力について要請したほか,これに関連してCOFCORにて有意義な議論をしていただきたい旨述べました。ミッチェル大臣は,日本が一人当たり所得水準にとらわれない支援を実施できるようにしたこと,日本が小島嶼開発途上国(SIDS)特有の脆弱性に対する理解を表明したことに深く感謝する旨述べました。
 
 
    
 
バルバドス
中山副大臣は22日,マクレーン外務・貿易大臣と会談を行い,二国間関係及び日カリコム関係,経済協力,国際場裡での協力につき意見交換を行いました。中山副大臣より,2016年1月にバルバドスに大使館を新設予定であること,第3回日・カリコム外相会合にて議長国だったマクレーン大臣の発言を真摯に受け止め,日本は,カリコムが重視する一人当たりの所得水準にとらわれない支援を今後実施できるようにしたこと等を述べました。マクレーン大臣は,スチュワート首相はじめバルバドス政府は大使館の新設を歓迎し,一人当たりの所得水準だけでなく小島嶼開発途上国(SIDS)の脆弱性を考慮に入れるべきであることを改めて強調しつつ,日本の理解を高く評価しました。また,大学間交流など教育分野での交流強化に謝意を述べました。
 
    
    
ドミニカ国
中山副大臣は20日,バロン外務・カリコム担当大臣と会談を行い,二国間関係及び日カリコム関係,経済協力,国際場裡での協力につき意見交換を行いました。中山副大臣より,日本はドミニカ国と地理的な距離は離れているものの,同じ島国として重視しており,カリコム,OECS(東カリブ諸国機構)双方の関係で緊密に協力していきたい等述べました。これに対しバロン大臣は,日本がカリコム及びOECSとの友好関係を構築していること,小規模な国が多いカリブ地域に関心を持っていることを高く評価し,安保理改革については,議論を前進させるべきとの認識を共有する,その他の国際場裡における議題についても協力していきたい旨述べました。
 
    
  
 
グレナダ
中山副大臣は21日,モデスト=カーウェン外務大臣と会談を行い,二国間関係及び日カリコム関係,経済協力,国際場裡での協力につき意見交換を行いました。中山副大臣より,安倍総理とカリコム首脳との会合等で強化された日カリコム関係を,一層深化していきたい旨述べるとともに,島国である日本は,同じく島国である小島嶼開発途上国(SIDS)の気持ちを理解でき,引き続き,SIDS特有の脆弱性を克服するための支援を実施していきたい旨述べました。また,安保理改革を始めとした国際場裡における協力についても要請しました。これに対し,モデスト=カーウェン外務大臣からは,日本からの支援に感謝を述べるとともに,国際場裡における協力について賛同の意を示しました。

   
    
 
セントクリストファー・ネーヴィス
中山副大臣は20日,ブラントリー外務・航空大臣と二国間会談を行い,二国間関係,経済協力,国際場裡での協力につき意見交換を行いました。中山副大臣から,安倍総理とカリコム首脳との会合等で強化された日カリコム関係をセントクリストファー・ネーヴィスの新政権と一層深化していきたい旨述べるとともに,島国である日本は,同じく島国である小島嶼開発途上国(SIDS)の気持ちを理解でき,引き続き,SIDS特有の脆弱性を克服するための支援を実施していきたい旨述べました。また,安保理改革を始めとした国際場裡における協力についても要請しました。これに対し,ブラントリー外務・航空大臣からは,新政権も引き続き日本との良好な関係を継続したいと考えている旨述べるとともに,日本からの支援への感謝及び今後の支援への期待が示されました。
 
       
 
セントルシア     
中山副大臣は20日,バプティスト外務・国際貿易・民間航空大臣(COFCOR議長)と会談を行い,二国間関係及び日カリコム関係,経済協力,国際場裡での協力につき意見交換を行いました。中山副大臣より,今次COFCOR議長国としての尽力に感謝する,本日交換公文を締結した2.5億円の無償資金協力を活用し,日本の中小企業の製品を経済社会発展に役立ててほしい等述べました。バプティスト大臣は,セントルシアが直面する経済状況,災害に対する脆弱性について説明し,日本が一人当たり所得水準にとらわれずに支援を実施する旨決定したことを高く評価しました。

       
   
 
セントビンセント及びグレナディーン諸島  
中山副大臣は20日,ゴンザルベス外務・貿易・商業・情報技術大臣と会談を行い,二国間関係及び日カリコム関係,経済協力,国際場裡での協力につき意見交換を行いました。中山副大臣より,セントビンセント及びグレナディーン諸島における2013年末の集中豪雨被害は小島嶼開発途上国(SIDS)特有の脆弱性の一例であり,日本からの支援を国内の経済・社会の発展のために活用して欲しい等述べました。ゴンザルベス大臣は,現在の同国の水産業は日本のこれまでの水産分野における支援に依るところが大きい,本日署名式を行った協力案件は開発の新たな段階に入るものであり,目に見える形での協力となるよう実施していきたいと述べました。
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スリナム
中山副大臣は20日,カーペンス・カリコム担当大使と会談を行い,二国間関係及び日カリコム関係,経済協力,国際場裡での協力につき意見交換を行いました。中山副大臣より,環境・防災分野を中心にスリナムに対する協力を実施,医療,防災分野での新たな協力を開始したところである等述べました。カーペンス・カリコム担当大使は,スリナムは気候変動の影響を受けやすい沿岸低地国であることを説明しつつ,日本の支援に感謝の言葉を述べました。双方は,2015年が様々な国際社会の課題を解決していく重要な年であり,意見交換を行っていくことで一致しました。
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カリコム事務局
中山副大臣は20日,ラロック・カリコム事務局長と会談を行い,日カリコム関係,経済協力,国際場裡での協力につき意見交換を行いました。中山副大臣より,基本的価値を有するカリコムは重要なパートナーであり,2014年の日・カリコム首脳会合,第4回日・カリコム外相会合等で強化された日・カリコム関係を一層深化していきたい等述べたのに対し,ラロック事務局長は,カリコムに対する日本からの支援に対する感謝を述べるとともに,日本が小島嶼開発途上国(SIDS)特有の脆弱性に対する理解を表明したことに謝意を表しました。双方は,国際場裡での協力や大学間交流など若い世代の交流を活発化させることで認識が一致しました。
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(4)この他,中山副大臣は,ジャマイカで活躍する青年海外協力隊員,JICA関係者と懇談したり,日本の支援により設立した水産施設の視察等を行いました。
 
(参考)カリブ共同体(カリコム)加盟14か国
アンティグア・バーブーダ,ガイアナ,グレナダ,ジャマイカ,スリナム,セントクリストファー・ネーヴィス,セントビンセント及びグレナディーン諸島,セントルシア,ドミニカ国,トリニダード・トバゴ,ハイチ,バハマ,バルバドス,ベリーズ

3.マイアミ(5月23日)

中山副大臣は23日,経由地マイアミにて日本語補習校(幼稚部(5歳)~中学3年生,合計120名)を訪問しました。中山副大臣は,全校朝礼にて挨拶を行い,日本と米国を結ぶ架け橋になってもらいたい,もし現地校等にて様々な理由からいじめられている友達がいたら,見て見ぬふりをしないで周りのみんなと協力して助けてあげてほしい,夢に向かって頑張ってほしい等のメッセージを伝えるとともに,保護者に対し,政府に対する要望があれば何でもお知らせ頂きたい旨述べました。朝礼の後,中山副大臣は,小学1年生,中学3年生の授業をそれぞれ見学しました。

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