2005年10月27日
27日、大臣は、外務省賓客として訪日中の潘基文(パン・ギムン)韓国外交通商部長官と、日韓外相会談及び晩餐会を行ったところ、そこでのやりとりの概要は以下のとおり(会談及び晩餐会はそれぞれ約1時間40分ずつ行われた。)。
(1)町村大臣より、韓国国内の厳しい雰囲気の中で訪日した潘長官の決断を評価する、日韓関係は価値観を同じくする同盟的関係であり、その中で、六者会合、東アジア共同体、国連改革、地球環境等の面で協力を進めるためにも、率直に意見交換を行うことが重要である、釜山APECの成功に向け日本としても協力したい旨述べた。
(2)これに対し、潘長官より、北関大捷碑の返還、査証免除の来年2月末までの暫定延長、在韓被爆者支援につき肯定的な評価がなされるとともに、交流の成功例として、9月にソウルで行われた「日韓交流おまつり」への言及があった。
(1)潘長官より、総理の靖国神社参拝についての韓国政府としての立場を述べ、新たな追悼・平和祈念施設の建設に関する要望が改めて提起されるとともに、積極的・具体的な検討は、日韓関係を巡る雰囲気の改善にも資する旨述べた。
(2)これに対し、町村大臣より、総理の靖国参拝についての基本的立場を改めて説明するとともに、新たな追悼・平和祈念施設につき、6月の首脳会談で総理が述べたとおり、国民世論等諸般の事情を考慮して検討していくとの立場に変更はない、本件については国内の意見が分かれている旨述べた。
(3)日韓歴史共同研究については、潘長官より、第2期共同研究の枠組みに今般会談を機に合意できたことを歓迎する旨述べたのに対し、町村大臣より、この合意を踏まえ、できるだけ年内に第一回委員会が開催できるよう準備を加速化させたい、日本側の委員長は小此木慶応大学教授に内定している旨述べた。
(1)町村大臣より、靖国参拝という一つの問題が、日韓関係の全般に影響を与え、政治的交流を止めるのは好ましくない、こういう時こそ交流を深め、率直な対話を更に進めることに意味がある、その関連で、11月のAPEC会合の際の首脳・外相会談を実現させたい旨伝えると共に、12月の盧武鉉大統領の訪日実現を期待する旨述べた。
(2)これに対し、潘長官より、ある一つの問題が停滞しているからといって、全体に影響を与えることは好ましくないというのは同感、APECの際の外相会談には同意するが、首脳交流については、大統領に報告した協議・検討したい旨述べた。
(1)サハリン在住「韓国人」に対する支援に関し、潘長官より、更なる支援の要望が示されたのに対し、町村大臣より、韓国・日本がともに努力することが重要である旨、ユジノサハリンスクに日本の支援により建設されてきた「韓国文化センター」が年内に完成する旨述べた。
(2)朝鮮半島出身者の遺骨の調査・返還につき、潘長官より、日本側の積極的努力が要請されたのに対し、町村大臣より、遺骨の所在が確認された868柱につき韓国側とよく相談して返還に努力したい、祐天寺に保管されている100余柱の遺骨につき、できれば年内に返還手続きを開始したい旨述べた。
(3)「強制動員」被害者判定のための資料提供が潘長官より要望されたのに対し、町村大臣より、個人保護法との関係から難しいが、現実的に何が可能か、関係当局において検討している旨述べた。
(4)在韓被爆者支援につき、潘長官より、健康管理手当の申請制度の改善に謝意が示されるとともに、被爆者手帳の在外発給申請が可能となるよう期待する旨述べた。
(5)ハンセン病患者への補償に関する判決につき、潘長官より、台湾人患者と韓国人患者とで判決が異なるのは異例である旨述べた上で、日本政府の積極的な対応を要望したのに対し、町村大臣より、政府部内で、如何に判断するかよく検討したい旨述べた。
(6)在日韓国人の参政権付与につき、潘長官より要望があったのに対し、町村大臣より、立法府の検討作業を見守りたい旨述べた。
(1)町村大臣より、11月の宝塚ソウル公演に続き、12月6日に日韓音楽祭が行われる予定であり、成功させたい旨述べた。また、来年度より国際交流基金が「日韓交流5カ年計画」を実施する予定である旨紹介した。
(2)韓国人に対する査証免除の恒久化につき、潘長官より要望がなされたのに対し、町村大臣より、万博期間の統計を見た上で判断するが、日本国民の治安への関心は高い、韓国側も犯罪対策等の協力をお願いしたい旨述べた。
(1)9月の第4回六者会合の共同声明の着実な実施及び第5回会合開催の重要性につき意見の一致を見た。また、第5回会合の進め方につき、日韓間で緊密に調整し、日米韓の連携を図りつつ、核問題解決に努力していくことを確認した。
(2)町村大臣より、11月3日から行う日朝政府間協議では、第4回六者会合共同声明に位置付けられていることも踏まえつつ、協議の前進に努力していく、特に拉致問題については、進展を得るべく全力を挙げる、この問題で前進がない限り、経済・エネルギー支援に前向きに取り組める雰囲気が得られない旨説明した。
(3)これに対し、潘長官より、日朝政府間協議の再開は喜ばしい、拉致問題等の日朝間の問題の解決は、核問題の解決プロセスに良い影響を及ぼすものであり、拉致問題での日本の立場を支持し、共感する、問題の早期解決を期待する旨述べた。
(1)町村大臣より、安保理改革は第2ステージに入っている、国連の強化に関する日韓間の考えには一致している部分があり、改革を進めるべく韓国と率直に意見交換したい旨述べた。
(2)これに対し、潘長官より、人権理事会、平和構築委員会、事務局改革等については、日韓間で意見が一致しており、また、韓国として特定の国が常任理事国となることにつき反対の意思を表明したことはない旨述べた。今後日韓間で意見交換していくことの重要性について意見の一致を見た。
町村大臣より要請し、潘長官より、竹内佐和子候補への支持表明があった。