本27日(火曜日),午後6時から約45分間,野田佳彦総理大臣は,ベニグノ・アキノ3世・フィリピン共和国大統領(H.E. Mr. Benigno S. AQUINO III, President of the Republic of the Philippines)と首相官邸において会談したところ,概要は以下のとおりです(フィリピン側から,デル・ロサリオ外務大臣,ロペス駐日大使,ロハス運輸通信大臣,プリシマ財務大臣,ドミンゴ貿易産業大臣他が,日本側から,長浜内閣官房副長官,山口外務副大臣,長島内閣総理大臣補佐官,吉田財務大臣政務官,卜部駐フィリピン大使他が同席。)。
会談後,両首脳により,「特別な友情の絆で結ばれた隣国間の『戦略的パートナーシップ』の包括的推進に関する日・フィリピン共同声明」への署名が行われるとともに,両首脳の立会いの下,卜部敏直駐フィリピン大使とアルバート・デル・ロサリオ外務大臣により,円借款案件「森林管理計画」の交換公文への署名が行われました。また,午後7時10分から約1時間10分,玄葉光一郎外務大臣も加わり,野田総理主催夕食会を行いました。
- 冒頭,野田総理から,東日本大震災に際し,フィリピン政府・国民からの多くの支援を得たことと,昨26日(月曜日)のアキノ大統領の被災地(石巻市)訪問に対して感謝の意を述べました。これに対し,アキノ大統領からは,東日本大震災の犠牲者及びその家族に対する哀悼の意が表され,日本の早期復興を確信している旨の発言がありました。
- 二国間関係に関し,両首脳は,両国は基本的価値観,市場経済及び戦略的利益を共有しているとして,両国の関係を「戦略的パートナーシップ」と位置づけることで一致しました。
- (1) 経済分野では,野田総理から,インフラ整備や投資環境改善を通じてフィリピンの経済発展に貢献していく旨述べ,アキノ大統領からは,ビジネス環境改善に対する強いコミットメントが表明されました。また,両首脳は,日・フィリピン経済連携協定の円滑な実施・運用を評価するとともに,看護師・介護福祉士候補者の受入れの更なる改善のために引き続き協議していくことで一致しました。さらに,経済協力に関し,アキノ大統領から,日本のこれまでの支援に謝意の表明があり,野田総理から,日本は引き続きフィリピンを重要なODA対象国として支援を継続する旨述べました。
- (2) 政治・安全保障分野では,頻繁に首脳・閣僚級の対話を行うこと,次官級戦略対話の立ち上げを含め各種政策対話を重層的に実施すること,海上保安機関間・防衛当局間の交流・協力を強化していくこと等で一致しました。また,野田総理から,ミンダナオ和平支援を引き続き積極的に行いたい旨を述べ,アキノ大統領からは,日本のこれまでの貢献に対する謝意が表明されるとともに,和平達成に対する強いコミットメントが表明されました。
- (3) 人的交流に関し,両首脳は,青少年交流の重要性について一致し,野田総理から,フィリピンの学生400名を来年「東北友好親善大使」として招待したい旨述べました。
- 地域・国際情勢に関し,両首脳は,地域協力の枠組みに積極的に貢献していくことを確認し,特に,本年11月の東アジア首脳会議(EAS)に向けて緊密に連携していくことで一致しました。また,両首脳は,南シナ海,北朝鮮等の地域・国際社会が直面する課題につき意見交換し,その中で,北朝鮮による拉致問題が重大な人権侵害であることについて共通の認識が得られました。