総理大臣

日・パレスチナ首脳会談

平成24年4月14日

  • (写真)アッバース大統領と握手する野田総理
    (写真提供:内閣広報室)
  • (写真)日・パレスチナ首脳会談
    (写真提供:内閣広報室)

 本14日(土曜日)午前11時35分から約30分間,野田佳彦内閣総理大臣は,官邸において,来日中のマフムード・アッバース・パレスチナ自治政府大統領(H.E.Dr. Mahmoud Abbas, President of the Palestinian Authority)と会談を行い,引き続き午後1時20分頃まで昼食会が行われたところ,概要は以下のとおりです。

  1. 冒頭,野田総理より,アッバース大統領の2年ぶりの訪日を歓迎する旨述べるとともに,今次訪日の際の宮城県名取市への訪問を含め,東日本大震災に対するパレスチナの人々からの支援のメッセージに感謝する旨述べました。これに対してアッバース大統領より,改めて震災の被害に対するお見舞いの言葉とともに,急速に復興を進める日本の姿に驚嘆しているとの発言がありました。

  2. 中東和平問題について,アッバース大統領より,和平に向けた唯一の選択肢はイスラエルとの交渉であり,入植地の建設停止や1967年国境の遵守を条件として,直接交渉再開に向けて努力しているが,未だ結果に結びついていないとの説明がありました。これに対して野田総理より,イスラエルとの共存を目指すアッバース大統領の和平路線を高く評価している,中東地域が歴史的変革によって流動化する中,中東和平問題の解決は一層喫緊の課題となっているにもかかわらず,イスラエル・パレスチナ間の直接交渉が途絶えている現状を憂慮している,現在の状況の下ではいずれの当事者も交渉再開に向けた環境を整えることが重要である旨述べました。また,野田総理より,日本は二国家解決を通じた中東和平実現のために,引き続き,政治・経済の面で関与していく,日本としては,イスラエルの入植活動は完全に凍結されるべきであるとの立場であり,イスラエル側にも働きかけを続けている,日本はパレスチナの民族自決権を支持し,その究極の目的である国家樹立に向けたパレスチナ人の努力を支援してきている旨述べました。

  3. さらに,野田総理より,日本は93年度以降12億ドル規模のパレスチナ支援を実施しており,特に「平和の繁栄の回廊」構想を通じてパレスチナの産業育成,雇用創出に貢献していきたい旨述べました。これに対してアッバース大統領より,日本は約束した支援を必ず実施する,信頼のできるドナーであり,その支援に大いに感謝している,上記回廊構想は経済的効果のみならず,政治的にも当事者を結びつける効果があり,大いに期待している,イスラエルとも友好関係を維持している日本の発言にはいずれの当事者も耳を傾けており,飯村中東和平担当特使(政府代表)の任命を始めとする政治的な役割にも感謝しているとの発言がありました。

  4. その他,「アラブの春」がパレスチナ情勢に与える影響,パレスチナ内部の和解の状況,イランの核開発問題等についても意見交換を行いました。特に北朝鮮のミサイル発射問題について,アッバース大統領から,北朝鮮によるミサイル発射は失敗に終わったが,こうした挑発的行為は非難されるべきであるとの発言があり,野田総理から,発射は地域と国際社会の平和と安定を損なう安全保障上の重大な挑発行為であるとともに,関連する国連安保理決議の明白な違反であり,容認できず,極めて遺憾である,安保理を含む国際社会が確固たる姿勢を示すことが極めて重要であると述べました。
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