(写真提供:内閣広報室)
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本19日(月曜日)午後5時30分から約30分間,野田佳彦内閣総理大臣は,来日中のシャナナ・グスマン東ティモール首相(H.E. Mr. Kay Rala Xanana Gusmão,Prime Minister and Minister of Defense and Security,The Democratic Republic of Timor-Leste)と総理官邸において会談したところ,概要は以下のとおりです。なお,日本側から,長浜官房副長官,長島総理補佐官,浜田外務大臣政務官ほかが,東ティモール側から,ピレス財務大臣,コエーリョ駐日大使ほかが同席しました。
また,首脳会談終了後に,両首脳立ち会いの下,ピレス財務大臣及び浜田外務大臣政務官との間で,円借款「国道1号線整備計画」に係る交換公文への署名が行われました。
- 冒頭
野田総理から,東日本大震災に係る東ティモールからの支援に謝意を表明するとともに,東ティモールの独立10周年及び両国の外交関係樹立10周年という節目の年に,大統領,外相に続きグスマン首相が来日したことを歓迎しました。また,3月17日(土曜日)に行われた大統領選挙の平穏裡の実施は,同国に民主主義が定着した証であり,紛争を乗り越え,民主主義に立脚した国づくりを着実に進めてきたグスマン首相のリーダーシップを称えました。
これに対し,グスマン首相からは,御指摘のとおり本年は10周年という重要な年である,東ティモールは過去に厳しい状況を経験したが,現在,情勢は正常化しており,3月17日(土曜日)の大統領選挙も平穏裡に実施することができたと述べました。また,先日の駐日大使主催による独立10周年・日・東ティモール外交関係樹立10周年記念レセプションには300名もの招待客が集まって記念すべき年を祝った旨の言及がありました。 - 二国間関係
野田総理から,両国は,未来志向で良好かつ緊密な二国間関係を構築していることを歓迎し,10周年を更なる関係強化の好機としたく,今後1年間で東ティモールから約160名の青少年を招待することを含むスポーツ・伝統文化を通じた交流を計画している旨伝えました。また,東ティモールの国づくりが,紛争後の復興から本格的な開発段階へと移行している点に触れつつ,我が国は,引き続き,経済協力,人的貢献,人材育成支援を軸に,東ティモールの国づくり努力を全面的に後押ししていきたい旨述べました。 この一環として,東ティモールにとっては初の借款となる約53億円に上る「国道一号線整備計画」に係る円借款供与の決定を伝えました。
これに対し,グスマン首相から,これまでの日本からの支援に対する謝意が表明され,日本は東ティモールにとって特別なパートナーである旨述べました。また,同首相は,特に日本からの円借款供与への感謝を述べ,円借款を通じた両国及び両国民のパートナーシップのさらなる強化のほか,今後の同国の開発において,日本が特別な役割を果たすであろうことを確信している旨述べました。さらに,同首相は,東ティモールは,いまだ学習段階にあり,日本からの善意の支援に感謝するとともに,日本国民及び東ティモール国民が落胆しないよう,社会・経済開発に尽力しなければならないと考える旨述べました。加えて,グスマン首相から,若い人材の育成の観点から,海外と積極的に交流することは意義が高く,約160名の青少年の招待に深甚なる感謝の意が表明されました。 - このほか,野田総理から,今回の大統領選挙に続き,本年6月に予定される国民議会選挙にも我が国から選挙監視団を派遣することを検討中であること,また,国づくりの基本は「人づくり」であり,士官候補生の防衛大学校受入れ等,様々な分野で東ティモールの人材育成を支援していきたい旨述べました。加えて,我が国はこれまで同様,東ティモールの円滑な東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟を支持する旨述べました。
これに対し,グスマン首相から,士官候補生の防衛大学校受入れに感謝するとともに,今後とも派遣を続けたい旨言及があり,また,東ティモールはASEANへの加盟を外交目標にしており,現在,事務局との間で加盟に向けてのロード・マップを作成中であるが,同ロード・マップに沿って加盟を実現すべく,人材育成に努めたい旨の発言がありました。