小泉総理大臣

小泉総理のインド・パキスタン訪問の足取り

 小泉総理は、4月28日から30日にかけてインドを訪問し(主な行事は29日)、30日から5月1日にかけてパキスタンを訪問しました(主な行事は30日)。

 総理の訪問としては、森総理(当時)が2000年に南アジアを訪問して以来5年ぶりです。訪問中に、日本とインド及びパキスタンとの関係の今後の方向性を示す共同文書として、それぞれ「日印共同声明」、「日パキスタン共同宣言」がそれぞれ発表されました。また、総理はインドとパキスタンにおいて、主に以下の行事に出席しました。

【インド】4月29日

 総理は、「日本にはアジアにインドという友人がいる」ことを強調しました。マンモハン・シン首相との首脳会談では、日本にとって戦略的に重要な国であるインドと一層関係を強化していくことで意見が一致しました。

9時30分~ ラージガートでの献花

総理は、ラージガートを訪問し、厳粛な音楽の流れる中、マハトマ・ガンディーの記念碑にて献花を行った後、黙祷を捧げました。一連の儀式の後、小泉総理は記帳を行い、日付と自分のサインとともに、「愛と平和(Love and Peace)」のメッセージを書き残しました。ラージガード委員会よりは、記念品としてマハトマ・ガンディーの胸像、自伝、及び、「七つの社会的な罪(Seven Social Sins)」が書かれた掛け軸が贈呈されました。

10時35分~ デリー・パブリック・スクール・R. K. プーラム校訪問

 総理は、デリー・パビリック・スクール(私立学校)のR. K. プーラム校を訪問し、日本語や数学の授業を参観しました。また、生徒たちからは、日本の歌や日印の舞踏を融合させた踊りなどで歓迎を受けました。

12時~12時30分 カラーム・インド大統領表敬

 総理は、カラーム大統領と会談を行い、経済関係、科学技術交流、青少年交流等の面での日印関係強化の重要性につき意見が一致しました。総理は、日印関係の潜在的可能性を顕在化していけるよう努力したい旨発言しました。

13時~14時30分 インド3経済団体主催昼食会への出席

 総理はインド3経済団体主催昼食会に出席し、スピーチを行いました。スピーチで、総理は日印間の永い友情の歴史を紹介しつつ、今日、日印が力強く、繁栄する両国をお互いに必要としていることを指摘しました。また、日印が戦略的な利益を共有していること、「日印グローバル・パートナーシップ」を発展させていく上での中心的な課題は経済関係の強化であり、現在の前向きな動きが進展するよう、両国ビジネス界に期待している旨を述べました。

14時40分~15時 デリー・メトロ視察について

 総理は、日本の円借款で日印友好関係の象徴的な存在ともなっているデリー・メトロ(地下鉄)のうち、6月末頃開業予定のデリーメトロ・セントラルセクレタリアート駅をデリー・メトロ総裁のエスコートにより視察し、事業概要の展示パネル、停車中の車内等を見学しました。

15時30分~16時 日印民間関係者との懇談会

 総理は榎駐インド大使同席の下、在インドの日印民間関係者との懇談を行い、今後、企業関係者のみならず、日本語や文化、芸術などで幅広く交流を行っていくことへの期待を表明しました。

18時20分~19時40分 マンモハン・シン首相との日印首脳会談

 総理はシン首相と首脳会談を行いました。右会談では、日本とインドがアジア新時代の主要国として協力を強化していくことに合意し、経済関係強化や安全保障分野、エネルギー、文化・学術交流、国連改革等で協力していくことを確認し、「日印共同声明」を発出しました。また、最後に総理からマンモハン・シン首相に対し、近い将来の訪日を招請し、マンモハン・シン首相も招請を有り難くお受けする旨返事がありました。

20時30分~21時55分 マンモハン・シン首相主催晩餐会への出席

 引き続き行われた晩餐会には、ソニア・ガンディー・コングレス党総裁やバジパイ前首相、日本企業関係者も参加しました。冒頭、マンモハン・シン首相が歓迎スピーチを行い、総理も返礼のスピーチを行いました。返礼スピーチで、総理は、今次訪問へのインド側の歓待に感謝するとともに、「日本とインドは、深い友情と共通の価値観、さらには寛容の精神で強く結ばれた同志であることを改めて確認することができました。」と述べました。また、「日本とインドは、責任と能力を有するアジアの主要国として『日印グローバル・パートナーシップ』に戦略的方向性を与えていきたいと思います。」と表明しました。

【パキスタン】4月30日(土曜日)

10時5分 インドからイスラマバード・チャクララ空軍基地に到着

11時5分 首相公邸にて歓迎式典

12時30分 ムシャラフ大統領との会談

 田中駐パキスタン日本大使と通訳だけが同席の下、テロとの闘い、インド・パキスタン関係、軍縮・不拡散問題、国連改革等について率直な意見交換を行いました。特にテロとの闘いについては、小泉総理から、ムシャラフ大統領が毅然とした態度で臨んでいることに敬意を表し、ムシャラフ大統領は、引き続きこれに取り組んでいく旨述べました。

 ムシャラフ大統領主催昼食会

 会談に引き続き行われた昼食会は、両国政府関係者も同席の下、終始友好的な雰囲気の中行われました。

17時30分 日本企業製品展示会

 小泉総理が宿泊しているセレナホテルの中庭において、パキスタンで生産された日本企業製品展示会(自動車や電化製品等)が開催され、総理はアジーズ首相の案内の下これを見学しました。総理は見学後、プレスに対し、日本企業の方々がパキスタンの方々と一緒に汗を流してパキスタンの発展に貢献していることは素晴らしいと述べました。

19時15分 アジーズ首相との会談

 冒頭、田中駐パキスタン日本大使と通訳だけが同席の下、率直な意見交換が行われました。その後、両国政府関係者も同席の下、日本の対パキスタン経済協力等につき意見交換しました。特に、小泉総理からは、テロとの闘い等国際社会の中で重要な役割を果たしているパキスタンが引き続き安定的に発展することを支援していきたいと述べました。

 ODA関連署名式

 会談に引き続き、田中大使とパキスタン経済省次官の間で無償資金協力2案件(上水道整備計画と灌漑用堰の改修計画)、技術協力協定の署名式が行われ、総理とアジーズ首相がこれに立ち合いました。

 共同記者ぶら下がり

 署名式に引き続き、総理はアジーズ首相とともに、記者との質疑応答を行いました。総理は、記者からの質問に答え、ムシャラフ大統領及びアジーズ首相と大変有意義な会談を行うことができたと述べました。また、新しい段階に入った日本・パキスタン関係を政務・経済等多方面で強化していくことを首脳レベルで確認する「日本・パキスタン共同宣言」を発表しました。

20時 アジーズ首相主催晩餐会

 晩餐会には、パキスタン政府の閣僚がほぼ全員参加した他、両国政府関係者や日本企業関係者等も参加するなど、両国から大勢の人が参加して、パキスタンの伝統音楽が流れる中、終始和やかな雰囲気の中行われました。総理は、晩餐会に続き、首相公邸内でパキスタン各地からの伝統舞踊を鑑賞し、パキスタンの文化的多様性に強い関心を寄せていました。

5月1日(日曜日)10時 イスラマバード・チャクララ空軍基地発

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