26日(木曜日)午後6時10分(日本時間27日午前1時10分)から約1時間(共同プレス機会15分,会談45分),G8ドーヴィル・サミット出席のためフランス訪問中の菅総理は,オバマ米大統領との間で日米首脳会談を行ったところ,会談の概要以下のとおり(米側:デイリー大統領首席補佐官,ドニロン国家安全保障担当大統領補佐官,バーンズ国務次官ほか,日本側:福山官房副長官,藤崎駐米大使,河相官房副長官補,別所外務審議官ほか同席)。
1 日米関係
(1)日米関係総論
オバマ大統領から,再会できて嬉しく思う,復旧・復興に大半の時間を費やしておられると思うが,米国として更に何ができるか伺いたい旨発言。菅総理から,震災後米国から多大な支援を受けたことに改めて感謝するとともに,米国の支援もあって,原発も少し安定してきており,来年1月には冷温停止させたい旨述べた。
菅総理から日本は必ず復旧・復興して世界の諸問題につき米国と共に色々な活動に参加し,一層力を発揮していきたい旨述べた上で,グローバル及び地域の課題に取り組むためにも,引き続き安全保障,経済,文化・人材交流といった分野で日米同盟を深化させていきたい旨述べた。
オバマ大統領から,復興と再建の最中であると思うが,強い日本は非常に重要であり,日本が大震災にもかかわらず,世界の舞台で経済や平和にかかわる様々な問題に効果的に参加していくとの菅総理のメッセージを評価したい,米国として日本の復興を支援していきたい旨述べた。
(2)外交日程
オバマ大統領から菅総理に対し,9月前半の訪米につき招待があり,菅総理から,ご招待に感謝する,しっかりと準備を進め,良い訪問としたい旨述べた。
「2+2」については,国会の了承が得られるとの前提で6月下旬に開催することで一致。
また,現在検討されている今夏のバイデン副大統領の訪日について,菅総理から歓迎する旨発言した。
これらについて,今後更に日程調整を行っていくこととなった。
(3)普天間飛行場移設問題
菅総理から,震災後の現在においても,昨年5月の日米合意に沿って進めていくとの方針に変わりはない,日米合意に基づき日米で協力して本件を前に進めていきたい旨述べた。
オバマ大統領から,政治的に難しい面があることは理解するが,日米同盟の長期的な安定のために是非進展させたい旨述べた。
(4)復興・経済
菅総理から,震災復興に関しては,先月クリントン長官が訪日した際に発表した官民パートナーシップの下で,日本経済の信認強化に繋がる様々な取組を進めていきたい,いずれは復興関係機関との意見交換等も検討したい旨述べた。
菅総理から,「包括的経済連携に関する基本方針」の基本的考え方は維持しつつ,具体的な手順については改めて検討する,アジア太平洋地域の貿易・投資促進に向け,ホノルルAPECをはじめ,日米協力を引き続き進めていきたい旨述べた。
菅総理から,TPPについては,被災地の農業の復興にも関係しており,その点を踏まえ,しっかり議論し,TPP交渉参加の判断時期については,震災のため遅れているが,改めて総合的に検討し,できるだけ早期に判断したい旨述べた。
オバマ大統領から,TPPがアジア太平洋地域の発展に寄与すると米国は認識している,震災で遅れていることは理解しており,日本が震災にもかかわらず引き続きTPPについて検討されていることを評価する旨述べた。
(5)文化・人材交流
菅総理から,震災で犠牲となった米国人JETプログラム参加者2名にお悔やみを述べるとともに,両名を記念した青少年招聘事業等を実施予定である旨,また,昨年11月に発表した若手英語教員派遣を7月から実施する旨紹介した。また,日米のさらなる人的交流強化が必要であり,両国による更なる措置につき検討していきたい旨述べた。
(6)子の親権(ハーグ条約)
菅総理から,20日の閣議でハーグ条約の締結に向けた準備を進めることにつき,政府としての方針を決定した旨述べた。
2 中東情勢
(1)中東・北アフリカ情勢
菅総理から,オバマ大統領が中東演説で表明した民主化への移行を支援していく方針を支持する旨述べた。
オバマ大統領から,中東や北アフリカ情勢は変化が激しいが,この問題について日米で緊密に連携していきたい,また,イランへの対応についても引き続き日本と緊密に連携したい旨述べた。
(2)アフガニスタン・パキスタン
菅総理から,アフガニスタン支援について,従来のコミットメントを維持し着実に実施する,パキスタンの役割が重要との認識を米国と共有しており,パキスタン支援を継続する,それがアフガニスタンにも良い影響を与えるようにしたい旨述べた。
オバマ大統領から,アフガニスタン・パキスタンに対する日本の継続した支援表明に大変感謝している旨述べた。
3 アジア太平洋地域情勢
(1)日中韓サミット
菅総理から,先週,日中韓サミットを東京で開催した,昨年後半に比べ日中関係は改善の軌道にある,中国の発展が地域の平和と安全に建設的な影響を与えるよう,日米で連携していきたい旨述べた。
(2)北朝鮮
菅総理から,特にウラン濃縮活動を強く懸念する,中国に対しても北朝鮮が非核化に向かうように働きかけを強めることを求めていきたい,拉致問題についての米国の引き続き力強い支援をお願いしたい旨述べた。
オバマ大統領から,北朝鮮情勢の見方については日本と同様の認識であり,日米で緊密に連携したい,また,中韓とも連携し非核化のプロセスを進めていきたい旨述べた。