安倍総理大臣
日アイルランド首脳会談及び夕食会



2日午後6時00分から約45分,安倍内閣総理大臣は,実務訪問賓客として訪日中のエンダ・ケニー・アイルランド首相(Mr. Enda Kenny, T.D., Taoiseach (Prime Minister of Ireland))と会談し,続いて7時10分から約60分,同首相と夕食会を行ったところ,概要は以下のとおりです。
1 冒頭発言
(1)安倍総理から,6月に日本の総理として初めてアイルランドを訪問し,今度は日本で再会できることを嬉しく思う,本日は,その後の進展を踏まえ,様々な課題について更に共通認識を深めたい旨述べました。
(2)これに対してケニー首相から,日本にお招きいただき感謝する旨述べつつ,震災以降の日本の復興は素晴らしく敬意を表したい,今回の訪問は,貿易・投資関係を中心に二国間関係を深めることを目的としており,日本の多くの関係者と既に有意義な意見交換が行われている,また,2020年東京オリンピック・パラリンピック招致についても祝意を伝えるとともに成功をお祈りする旨述べました。
2 二国間関係
(1)安倍総理から,以下の旨を述べました。
ア 今月15日にアイルランドがEUとIMFの支援プログラムを卒業することを歓迎する。ケニー首相の指導力とアイルランド国民の忍耐力に深く敬意を表する。
イ アイルランドが得意とするIT,農業,ライフサイエンス等は,日本の成長戦略においても重点分野であり,これらの分野でイノベーションを促進する上で,両国間の協力の潜在性は高い。
ウ アイルランド訪問時にケニー首相から強い要請があったことも踏まえ,作業を加速した結果,本日,月齢30か月以下のアイルランド産牛肉の輸入禁止を解除した。
(2)これに対して,ケニー首相から,安倍総理が言及した分野はいずれも両国の協力により大きな成果があげられるであろう,また,牛肉について,私(ケニー首相)からの要請をしっかり受け止めていただき深く感謝する,今回の決定は日本がアイルランド産牛肉に信頼を寄せている証であり,今回の訪日時にこのように重要な成果が達成できて喜ばしい旨述べました。
3 日EU関係
(1)安倍総理から,新興国を含む世界の模範となるような包括的かつ高いレベルのEPAを実現するため,一貫して自由貿易の推進役であり続けてきたアイルランドの役割に期待する旨を述べました。また,イランの核問題等,政治・安全保障分野でも日EU間で緊密に協力したい旨を述べました。
(2)これに対してケニー首相から,御指摘のとおりアイルランドは自由貿易によって発展してきた国であり,これまでも日EU・EPAを強く支持してきた,日本の強い経済は世界経済に不可欠で,そのためにも,EPA交渉の更なる進展を期待し,共に取り組んでいきたい旨を述べました。
4 安全保障,地域情勢
(1)安倍総理から,以下の旨を述べました。
ア 「積極的平和主義」の立場に基づいて,平和外交の旗手であるアイルランドとも,国際社会の平和と安定のために協力していきたい。
イ 唯一の戦争被爆国として軍縮・不拡散分野も重視しており,これらの分野で強い発信力を持つアイルランドと協力していきたい。
ウ 先月末に中国が発表した,「東シナ海防空識別区」は,国際航空秩序の維持,民間航空の安全確保の観点から強く懸念している。
エ 北朝鮮が非核化等に向け具体的行動をとるよう求める断固としたメッセージを送り続けるべき。拉致問題の解決に向けてもアイルランドと協力していきたい。
(2)これに対してケニー首相から,アイルランドはこれまで中立政策を取りながら,国連のPKOや人道支援活動に積極的に参加してきた,この観点からも,安倍総理の「積極的平和主義」を含む安全保障政策を歓迎する,軍縮・不拡散教育については,被爆国である日本と良く協力したい旨を述べました。
(3)両首脳は,海洋及び空域の合法的な使用は国際法によって保証されており,また緊張を高めるようないかなる一方的な行動も回避し,威圧的な行為を放棄し,法の支配に原則に基づき平和的,外交的及び協力的な解決策を追求すべきとの認識で一致しました。
5 会談後の夕食会には,今年5月にアイルランドを訪問した下村博文文部科学大臣や,日アイルランド友好議連会長である山本有二衆議院議員をはじめ,アイルランドに縁のある出席者が加わり,両国の経済の現状,アイルランドの文学や音楽,教育やスポーツの分野での交流等について,和やかな雰囲気の中で懇談が行われました。
● 「イノベーションと成長のためのパートナーシップ」首脳による共同宣言(骨子(PDF)/英文(PDF)
/仮訳(PDF)
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