安倍総理大臣

平成25年6月20日
(写真) (写真提供:内閣広報室)
(写真) (写真提供:内閣広報室)
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 6月19日,安倍晋三内閣総理大臣は,公式訪問先のアイルランド(ダブリン市内)において,エンダ・ケニー・アイルランド首相(Mr. Enda Kenny, T.D., Taoiseach (Prime Minister of Ireland))との間で,11時55分(日本時間19時55分)から約45分間首脳会談を,13時15分(日本時間21時15分)から約60分間ワーキングランチを,それぞれ行ったところ,概要以下のとおりです。

1.冒頭

(1)ケニー首相から,日本の現職総理として初のアイルランド訪問を心から歓迎するとの発言がありました。またその際,安倍総理が,アイルランドを象徴する色である緑のネクタイとポケットチーフを着用していることについても感謝の意が示されました。

(2)これに対し,安倍総理から,以下の3点について述べた上で,ケニー首相にも是非訪日していただきたいと述べました。

ア 現職総理として初めてアイルランドを訪問できたことは大変光栄である。
イ 日本とアイルランドは,基本的価値を共有し,また自然と共生する伝統を共有している。
ウ 自分(総理)の訪問を機に,あらゆる層で両国間の交流・協力を深めていきたい。

2.アイルランドの重要性

(1)安倍総理から,以下の2点について述べました。

ア アイルランドが40年前のEC加盟以降,持ち前の勤勉さを発揮して発展してきた歴史,また,現在,自らも債務危機からの脱却に取り組みながら,この半年間,議長国として,困難な時期にあるEUをとりまとめてきたことについて,高く評価する。
イ このように日本とアイルランドは「価値」とともに「勤勉さ」という美徳も共有しており,また,ともに経済再生と成長に向けて取り組んでいるという,共通の立場にある。

(2)これに対して,ケニー首相から,アイルランドの努力を評価していただき感謝すると述べた上で,日本からの投資拡大においてJETROが果たしている役割についても感謝の意が示されました。

3.二国間関係

(1)安倍総理から,安倍政権の経済政策の現状について説明した上で,今後の二国間協力関係について,成長戦略の3つのキーワードに沿った形で次の3点を提案しました。

ア 「チャレンジ」を可能にする人材育成を進めること。本年5月に署名された「教育・科学技術・文化・スポーツ分野における協力に関する覚書」を機に,あらゆる分野・レベルでの交流を促進していきたい。
イ 「オープン」な貿易・投資関係の促進。アイルランドに進出している日本企業が更に活動しやすい環境整備に向け,ケニー首相からも御支援いただきたい。また,日EU・EPAの早期妥結は極めて重要であり,EU内の自由貿易派の旗手たる貴国と引き続き連携して,良い交渉結果を出したい。
ウ 競争力強化のための「イノベーション」。アイルランドで盛んな医療機器・医薬品産業は,まさに「イノベーション」の本丸であり,日本の製薬会社も進出している。この分野での民間経済交流にも期待する。

(2)これに対して,ケニー首相からも,それら3つのキーワードは両国の「共通のDNA」であるとして,強い賛同を得ました。
また,ケニー首相から,世界経済は日本経済の再生を必要としており,安倍総理の経済政策に期待するとした上で,欧州債務危機からの脱却に向けたアイルランドの取組や,経済分野を中心としたEU議長国としてのアイルランドの取組について説明がありました。また,アイルランドはユーロ圏ほぼ唯一の英語国であり,欧州市場へのゲートウェイとしての位置づけにある,最も経済力の強い国の一つである日本からアイルランドへの投資を促進するために支援していきたいと述べました。さらに,日本は世界一の長寿国であり,医療分野での協力の余地は大きいとの発言が大きく,この分野でのイノベーション推進のために協力していきたい旨述べました。

(3)安倍総理から,日本産品に対するEU輸入規制の緩和・撤廃に向け,アイルランドの理解と協力を得たいと述べました。

4.地域情勢及び国際的な課題(ワーキングランチで議論)

(1)アジア情勢

ア 安倍総理から,アジア太平洋地域の目覚ましい成長と厳しさを増す安全保障環境を説明し,アジアの安定と繁栄について利害を共有する欧州との連携が重要である旨述べたのに対し,ケニー首相から,連携強化への強い支持が示されました。
イ 両首脳は,北朝鮮問題についても意見交換を行いました。とりわけ,拉致問題については,安倍総理から,自分の政権で完全に解決する決意であると説明したのに対し,ケニー首相から,理解と支持が示されました。

(2)アフリカ情勢
安倍総理から,TICAD V及びG8サミットで,テロ対策を含め,サヘル地域の平和と安定につき重点的に議論されたことを紹介し,両首脳は,アフリカの平和と安定の実現のため,共に連携していくことで一致しました。

(3)地球規模の課題
両首脳は,安保理改革及び軍縮・不拡散分野における協力を今後一層促進することで一致しました。

(4)その他
両首脳は,開発援助,シリア等について意見交換を行いました。


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