安倍総理大臣
安倍総理大臣のカンボジア及びラオス公式訪問(主な成果)
平成25年11月17日
1 カンボジア
1 日本・カンボジア共同声明(首脳会談の主な成果をまとめたもの)(日本語(PDF)
/英語(PDF)
)
安倍晋三日本国総理大臣は,フン・セン・カンボジア王国首相の招待により,2013年11月16日から17日にかけてカンボジア王国を公式訪問した。この訪問中,安倍総理大臣とフン・セン首相は会談を行った。両国首脳は外交関係樹立60周年を祝し,カンボジア和平プロセス以来の強固な協力関係や両国の「新たなパートナーシップ」を礎とし,以下の分野を中心に関係を一層拡大していくことで一致した。
(1)政治・安全保障
安倍総理大臣は,カンボジア和平プロセスにおける主導的役割を含めた地域の平和と安定に対する日本のこれまでの貢献を踏まえつつ,国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の立場から,地域及び国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献していくとの日本の安全保障政策について説明した。フン・セン首相は日本の平和国家としての歩みを高く評価し,日本の一層の貢献を支持した。
両国首脳は,外務防衛当局間協議等を活用しつつ,政治や安全保障に関する対話を一層強化していくことで一致した。また,両国首脳は,能力構築支援を始めとした両国の防衛当局間の協力を一層促進していくことで一致した。
(2)民主主義と法の支配
フン・セン首相は,2013年9月25日にフン・セン首相が発表した選挙改革を通じた更なる民主主義の強化,汚職対策を含む法の支配の強化など諸改革を断行し,グッドガバナンスの強化に今後とも全力で取り組む決意を表明した。安倍総理大臣は,カンボジアにおける総選挙後の情勢が関係者の対話と協力により速やかに正常化し,国民和解の下で国造りが進展することに期待を表明し,カンボジアの改革の取組を,引き続き支援することを表明した。
両国首脳は,クメール・ルージュ裁判の円滑な進展と成功裡の完結に向けて引き続き協力することで一致した。フン・セン首相は日本の特別法廷に対する資金及び能力開発両面におけるこれまでの多大な支援に謝意を表明した。
(3)経済関係・開発協力
フン・セン首相は,これまで日本が長年実施してきた経済・社会インフラ,農業,教育,人材育成,保健,女性,ガバナンス等の分野における政府開発援助を始めとした協力に謝意を表明した。安倍総理大臣は,今後の経済発展が見込まれるカンボジアへのこれらの分野に関する継続的な支援を表明した。また,両国首脳は,メコン地域の連結性強化の観点から,南部経済回廊の着実な整備が重要との認識で一致した。
両国首脳は,カンボジア内戦を経て残存する地雷・不発弾が同国の経済・社会発展の障害となっているとの認識で一致し,地雷・不発弾除去についての支援の重要性につき認識を共有した。
両国首脳は,日本の先進的な医療技術・制度を活かしたカンボジア保健医療向上に向けた協力を強化することで一致した。
両国首脳は,カンボジアに対する日本企業の投資の増大を歓迎し,更なる投資促進のため,日カンボジア官民合同会議等を活用した投資環境の一層の改善が重要との認識で一致した。フン・セン首相は,今後とも投資環境整備に向けた努力を行うとともに,中長期的かつ高度な都市インフラ整備への日本企業の参入に期待する旨表明した。
(4)人的交流・文化交流
安倍総理大臣はJENESYS2.0による青少年交流を含め,今後5年間で約3000名の交流を実施する方向である旨表明し,フン・セン首相はこれを歓迎した。
両国首脳は,人的交流促進の観点から,査証緩和措置の相互実施を歓迎した。
両国首脳は,両国間の直行便の開設に向け,航空協定締結の可能性の検討を含め、需要の開拓及び条件整備に一層努力していくことで一致した。
両国首脳は,これまでのアンコール遺跡群保存修復支援の成果を歓迎し,両国の相互理解を一層増進させるべく,文化芸術スポーツ分野の交流・協力及び日本語教育を引き続き推進していくことで一致した。
(5)地域・国際社会における協力
両国首脳は,地域・国際社会の平和と繁栄のために一層協力していくことで一致した。
フン・セン首相は,本年12月の日ASEAN特別首脳会議及び日メコン首脳会議への参加を確認した。両国首脳は,これら会議の成功に向け,緊密に連携していくことで一致した。この観点から,安倍総理大臣は二国間公式訪問としてフン・セン首相を訪日招待し,フン・セン首相はこれを受け入れた。
海洋を巡る問題については,両国首脳は,アジア太平洋地域における「法の支配」の原則を確立するために,1982年の国連海洋法条約を含む国際法の普遍的な原則に従って平和的に解決することの重要性を強調し,南シナ海における効果的な紛争解決に資する実効的な行動規範(COC)の早期締結に期待を表明した。
北朝鮮問題に関し,両国首脳は,北朝鮮が,関連の国連安保理決議の下の義務及び2005年9月19日六者会合共同声明の下のコミットメントを完全に遵守し,非核化に向けた具体的な行動を取るよう強く求め,拉致問題の解決に向け協力していくことで一致した。
安倍総理大臣は,日本の国連安保理常任理事国入りに対するカンボジアの継続的な支持に感謝し,両国首脳は,国連創設70周年を迎える2015年を念頭に置き,国連安保理の早期改革を実現すべく積極的に協力することで一致した。
プノンペン
2013年11月16日
2 国際連合平和維持活動の分野における教育及び訓練のための協力に関する日本国政府とカンボジア王国政府との間の協定
(署名者: 隈丸優次駐カンボジア大使、ハオ・ナムホン外務・国際協力大臣)
カンボジア政府からの要請を踏まえ,我が国の自衛官等の専門家をカンボジアに派遣し,同国の要員に対して,国際連合平和維持活動の分野における教育及び訓練を提供するための法的枠組みを設定するもの。
3 日本国厚生労働省とカンボジア王国保健省との医療分野の覚書
(署名者: 田村憲久厚生労働大臣、モム・ブンヘーン保健大臣。但し、署名式については、日本側は田村厚生労働大臣の代理が出席。)
(1)医療保険制度に係る経験の共有、(2)医療サービスの強化に係る協力、(3)先進的な医薬品・医療機器の導入といった分野において、相互に協力を行うことを確認するもの。
2 ラオス
1 日本・ラオス共同声明(首脳会談の主な成果をまとめたもの)(日本語(PDF)
/英語(PDF)
)
安倍晋三日本国総理大臣は,トンシン・タマヴォン・ラオス人民民主共和国首相の招待により,2013年11月17日,ラオス人民民主共和国を公式訪問した。この訪問中,安倍総理大臣とトンシン首相は首脳会談を行った。両国首脳は,両国の伝統的友好関係を確認するとともに,「包括的パートナーシップ」を一層強化するため,以下の分野を中心に協力を進めていくとの認識で一致した。
1.政治・安全保障
安倍総理大臣は,地域の平和と安定に対する日本のこれまでの貢献を踏まえつつ,国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の立場から,地域及び国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献していくとの日本の安全保障政策について説明した。トンシン首相は説明に留意し,日本の平和国家としての歩みを評価し,日本の一層の貢献を支持した。
両国首脳は,二国間の協力を一層強化させるべく,外務・防衛当局間の安全保障(PM)対話を追求していくことで一致した。
2.経済関係・開発協力
トンシン首相は,政府開発援助を始めとする日本の開発協力に謝意を表明し,協力継続への期待を表明した。安倍総理大臣は,インフラ,農業,教育,保健,女性等の分野を含め,ラオスの経済・社会発展に向けた取組を引き続き支援していく旨述べるとともに,ビエンチャン国際空港ターミナル拡張計画及び第9次貧困削減支援オペレーション(PRSO)への支援を表明した。また,両国首脳は,メコン地域の連結性強化の観点から,日本が支援する東西経済回廊(EWEC)を含め,運輸・交通インフラ整備支援の着実な実施が重要との認識で一致した。
両国首脳は,ラオス全土に残存するインドシナ戦争当時の不発弾が同国の経済・社会の発展の障害となっているとの認識で一致し,不発弾除去についての支援の重要性を確認した。
トンシン首相は,これまで日本が実施してきた保健医療分野に対する協力を評価した。また,両国首脳は,同分野での協力を強化していくことで一致した。
両国首脳は,ラオスに進出している日系企業数が最近増加していることを歓迎するとともに,更なる投資促進のため,日ラオス官民合同対話等の場を活用した,ラオスにおける投資環境の一層の改善が重要との認識で一致した。この観点から,両国首脳は,JETROラオス事務所の開設が決定されたことを歓迎した。
3.人的・文化交流
安倍総理大臣は,JENESYS2.0による青少年交流を含め,今後5年間で約1,500名の交流を実施する方向である旨表明し,トンシン首相はこれを歓迎した。
両国首脳は,人的交流促進の観点から,査証緩和措置の相互実施を歓迎した。
両国首脳は,両国間の直行便開設に向け,航空協定締結の可能性の検討を含め,需要の開拓及び条件整備に一層努力していくことで一致した。
両国首脳は,両国の相互理解を一層増進させるべく,文化芸術スポーツ分野の交流・協力及び日本語教育を引き続き推進していくことで一致した。
4.日・ラオス外交関係樹立60周年
両国首脳は,日・ラオス外交関係樹立60周年にあたる2015年に向け,双方が緊密に連携・協力し,ハイレベルの相互の人的交流を含め,両国間の幅広い交流を促進していくことを確認した。
5.地域・国際社会における協力
両国首脳は,地域・国際社会の平和と繁栄のために一層協力していくことで一致した。
トンシン首相は,本年12月の日ASEAN特別首脳会議及び日メコン首脳会議への参加を確認した。両国首脳は,これら会議の成功に向け,緊密に連携していくことで一致した。
両国首脳は,世界の平和と安定を維持し,国際協力に適した環境を創出するとのコミットメントを再確認した。アジア太平洋地域については,両国首脳は,地域の平和,安定及び繁栄の維持の重要性を強調するとともに,国際法の普遍的な原則及び国連憲章に従って紛争を平和的に解決することを含め,安定と海洋安全保障の重要性を強調した。両国首脳は,海上航行の自由と安全を確保することに資する効果的な行動規範(COC)の早期締結に期待を表明した。
朝鮮半島について,両国首脳は,平和,安全及び安定の維持は非常に重要であるとの見解で一致した。これに関連して,両国首脳は,朝鮮半島の非核化を求めた。両国首脳は,関連の国連安保理決議に基づく義務の完全な遵守を支持するとのコミットメントを再確認した。また,両国首脳は,拉致問題を含む人道上の懸念に対処することの重要性を強調した。
両国首脳は,国連安保理は改革されるべきであるとの見解で一致した。トンシン首相は,改革された国連安保理における日本の常任理事国入りに対するラオスの支持を改めて表明した。安倍総理大臣は,ラオスの継続的な支持に謝意を表明した。両国首脳は,国連創設70周年を迎える2015年を念頭に置き,国連安保理の早期改革を実現すべく,協力することで一致した。
ビエンチャン
2013年11月17日
2 日本国厚生労働省とラオス人民民主共和国保健省との医療分野の覚書
(署名者: 田村憲久厚生労働大臣、エークサワン保健大臣。但し、署名式については、両大臣の代理が出席。)
(1)医師・看護師・保健師等の人材開発、(2)日本の公的医療保険制度に係る経験の共有、(3)医療サービスのケアの質の向上のための専門知識の交換、(4)病院・保健所管理のノウハウの移転、(5)遠隔医療や電子カルテといった日本の経験や技術の紹介といった分野において、相互に協力を行うことを確認するもの。