安倍総理大臣
日加首脳会談(概要)
平成25年9月24日



9月24日(火曜日)、オタワを訪問した安倍総理は、約1時間半にわたり、ハーパー首相と日加首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおり(カナダ側は、ニコルソン国防大臣、リッツ農務大臣、ファスト国際貿易大臣、オリバー天然資源大臣、日本側は、加藤官房副長官、奥田在カナダ大使等が同席)。
1. 冒頭
安倍総理から、ケニアにおけるテロ襲撃事件において、カナダ人が亡くなったことにつき、哀悼の意を表明した。
2. 日加関係
(1) 全般
両首脳は、基本的価値を共有するアジア太平洋地域のパートナーであるとして、政治・安全保障分野においても連携・協力を深めていくことを確認した。
安倍総理から、東日本大震災の際のカナダからの支援に感謝するとともに、震災後、カナダが日本産食品輸入規制や旅行制限をいち早く撤廃したことに改めて謝意を伝達した。多くの日本人がカナダに対し親しみをもっているとして、自分が大学時代にBCのペンティクトンに1週間等夏休みに滞在した経験がある旨紹介した。
(2) 安全保障協力
安倍総理は、厳しさを増すアジア太平洋地域の安全保障環境を踏まえ、カナダとの安全保障協力を重視しており、地域の平和と安定のために様々な取り組みを行う予定であるとして、カナダとの協力も強化していきたい旨述べた。これに対し、ハーパー首相から、かかる日本の安全保障政策を歓迎し、支持するとの発言があった。
具体的には、両首脳は、第二回次官級「2+2」対話をできるだけ早期に実施し、意思疎通を強化することを確認し、また、物品役務相互提供協定(ACSA)の実質合意を歓迎した。また、サイバーセキュリティの分野でも協力を強化することについても意見の一致があった。
(3)経済
安倍総理から、アベノミクスについて説明し、ハーパー首相から高い評価を受けた。
また、安倍総理から、TPPや日加EPA交渉等を通じて、貿易・投資関係を更に拡大していきたい、TPPは戦略的観点からも重要でありカナダとも協力していきたい、日加EPA 交渉についても、TPP交渉の進捗状況も見つつ、引き続き取り組んでいくと述べた。
安倍総理から、カナダからの低廉かつ安定的なLNG輸入を実現したい、そのための具体的方策につき、両国の資源エネルギー担当大臣(注:当方は茂木経産大臣)の間で早期に協議を進めるようお互い指示したいと述べ、先方からも同意が得られた。
安倍総理から、LNG輸入価格の低減のための債務保証優先枠や、シェールガス事業に対する出資支援等を紹介し、対カナダの案件でも活用したいと述べ、また、日本企業参画事業の早期輸出承認、外国労務者のビザ発給要件の緩和、連邦政府と州政府の効果的連携を図ってほしい旨求めた。これに対し、カナダ側から、エネルギーの分野では日加関係は補完的であり、連携を進めていきたい旨述べた。
(4)航空関係の拡大
両首脳は、観光促進のため、羽田空港の昼間の時間帯の双方の航空企業の就航開始に向けて協議を開始することで一致した。
(5)北極及びその他交流
北極評議会の現議長国でもあるカナダとの間で、北極に関する協議を強化することで一致した。安倍総理は、青少年交流、姉妹都市交流、科学技術交流の進展を歓迎した。
3. 地域情勢
(1)北朝鮮
安倍総理から、北朝鮮については、(1)核保有を断じて認めない、(2)一連の安保理決議を誠実かつ完全に実施すべきとの強いメッセージを送り続ける必要があることを指摘すると共に、拉致問題についての理解と協力を引き続き求めた。
(2)中国
安倍総理から、日中関係は日本にとって最も重要な二国間関係の一つであり、大局的観点から協力を進めていく用意がある、対話のドアはいつもオープンであるとの日本の基本的立場につき説明した。
(3)シリア
両首脳は、14日に米露間で合意されたシリアにおける化学兵器の完全な廃棄に向けた枠組みが合意されたことを歓迎。安倍総理から、シリア政府に対して真摯な対応を求め、その行動を注視したいとの基本的立場を説明。また、暴力の停止と政治的対話の開始、劣悪な人道状況の改善は喫緊の課題であり、今後、ジュネーブ2を始めとするプロセスへの参加・貢献を通じて,シリア情勢の改善・正常化に向け,国際社会と連携して取り組んでいきたい旨述べた。
さらに、安倍総理から、日本は、人道支援について追加的支援を検討中であることを説明し、国際機関を通じた人道支援の面で日加両国が引き続き連携していくことを確認した。
(4)イラン
安倍総理から、日本の取り組みを説明した。
4.国際場裡での協力
安倍総理から、女性が一層輝く社会の実現のための国内での取り組みを説明し、また、開発についても、ポスト2015年開発目標の策定に当たって、人間の安全保障を指導理念として進めるよう我が国の考え方を説明し、カナダと緊密に協力していきたい旨述べた。
5. その他
安倍総理から、東京オリンピック・パラリンピック開催決定に際してのカナダの支援に謝意を表したのに対し、ハーパー首相から日本開催が決定されたことに祝意の表明があった。