安倍総理大臣
日・シンガポール首脳会談(概要)
平成25年5月22日


本22日午前11時15分頃から約40分間、安倍晋三内閣総理大臣は、来日中のリー・シェンロン・シンガポール首相との間で日・シンガポール首脳会談を行い、引き続いて約60分間、昼食会を主催したところ、概要は以下のとおりです。
1.冒頭、安倍総理から、リー・シェンロン首相の訪日を歓迎するとともに、シンガポールとは地域の安定と繁栄について基本的な考え方を共有しており、互いに「信頼できるパートナー」として、二国間関係の強化にとどまらず、地域・国際社会の諸課題にも共に取り組んでいきたい旨述べました。これに対し、リー・シェンロン首相からは、日本を再び訪れることをうれしく思う旨述べるとともに、長年にわたり友好的な二国間関係を一層強化したい旨述べました。
2.二国間関係
(1)安倍総理から、本年に入り、両国ハイレベルで緊密な意思疎通が図られていることを歓迎する旨述べ、両首脳は二国間関係の更なる発展のため、経済、安全保障、交流の3分野で協力を強化していくことで一致しました。
(2)経済分野では、安倍総理から、日本経済の再生に向けた取組について紹介し、「アベノミクス」の3本目の矢として、近く民間投資を喚起する成長戦略を発表する予定であり、新興国の経済成長を取り込んでいく上でシンガポールの存在は大きい旨述べました。これに対し,リー・シェンロン首相からは、1本目と2本目の矢で日本人は心理的な転換を果たし、アニマル・スピリットを取り戻した旨述べ、3本目の矢で経済のファンダメンタルズを改善し、民間のイニシアティブが高まることへの期待が表明されました。また、安倍総理から、インフラ整備・連結性強化、バイオ・医療関連産業等の新興国への国際展開で協力を進めていきたい旨述べ、両首脳は、日・シンガポール経済連携協定の下、両国の貿易・投資を一層促進していくことで一致しました。
(3)政治・安全保障分野では、両首脳は、物品役務相互提供協定(ACSA)の可能性を含め、同分野での協力を一層強化していくことを確認しました。
(4)交流分野では、安倍総理から、ジャパン・クリエイティブ・センター(JCC)を日本の情報・文化の発信拠点として一層活用したい旨述べるとともに、「JENESYS2.0」の下でシンガポールからも多くの青少年を招聘したい旨述べ、両首脳は、文化交流・人的交流を通じて友好関係を一層発展させていくことで一致しました。また、安倍総理から、多様な文明・文化を包括するアジアとの関係を文化面でも強化するため協力していきたい旨述べ、本年4月に政府内に「アジア文化交流懇談会」を立ち上げたことを紹介しました。
3.地域情勢等
(1)安倍総理から、日本は、地域の平和と繁栄のために積極的な役割を果たすべく、1月に表明した「対ASEAN外交5原則」に基づき、ASEAN諸国との協力関係を強化していく旨を表明しました。また、安倍総理から、2015年のASEAN共同体構築を積極的に後押しすべく、ASEAN連結性強化、災害管理及び青少年交流の分野で具体的な協力を進めていく旨述べたのに対し、リー・シェンロン首相から、日本の取組に対する歓迎の意が表されるとともに、日本が今後も地域において積極的な役割を果たすことへの期待が表明されました。また、両首脳は、10月のASEAN関連首脳会議及び12月の日・ASEAN特別首脳会議の成功に向けて緊密に連携していくことで一致しました。
(2)環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉に関し、安倍総理から、シンガポールの協力もあり交渉参加の見通しが立ったとして、引き続きシンガポールからの協力をお願いしたい旨述べたのに対し、リー・シェンロン首相からは、日本の交渉参加を歓迎するとともに、日本が能動的な役割を果たすことへの期待が表明されました。また、両首脳は、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)についても、包括的かつバランスのとれた高いレベルの協定を目指し、連携していくことで一致しました。
(3)また、両首脳はアジア太平洋地域情勢についても意見交換を行いました。