安倍総理大臣

平成25年10月7日
日・露首脳会談(1) (写真提供:内閣広報室)
日・露首脳会談(2) (写真提供:内閣広報室)
 10月7日午後6時20分(インドネシア時間)から約40分間,安倍総理は,APEC首脳会議出席のため訪問中のインドネシア・バリにおいて,プーチン・ロシア連邦大統領と首脳会談を行った。和やかな雰囲気で内容のある会談となり,両首脳間の個人的信頼関係の深まりを感じさせるものとなった。

1 冒頭発言

 会談の冒頭,プーチン大統領から,本年4度目の会談を喜ぶとともに,東京オリンピック招致決定に祝意を述べた。安倍総理からは,4月の共同声明に基づき首脳間のコンタクトが強化されており喜ばしい,オリンピック招致への理解と支援に感謝する旨述べた。

2 政治対話

 プーチン大統領から,11月のラヴロフ外相・ショイグ国防相訪日の際にいよいよ「2+2」がスタートする旨言及。安倍総理から,「2+2」は,安全保障分野を中心に協力を深化させ,日露関係に厚みを持たせる絶好の機会である,実りある「2+2」とするよう双方外務・防衛両大臣に指示したい旨述べ,プーチン大統領も賛同した。

3 人的交流

(1)プーチン大統領から,人的交流の拡大,特に日本におけるロシア文化フェスティバル,学長,学生の交流の進展,下村文科大臣による交流拡大のイニシアティブ等に触れた。

(2)これに対して安倍総理から,人的交流は日露関係発展のための重要な鍵の一つであり,若い世代に重点を置いて交流を拡大したい旨述べ,現在,日本で学ぶロシアからの留学生は約300人,ロシアで学ぶ日本人留学生は約100人にとどまっていることを指摘した上で,2020年までにそれぞれ5倍に増やすことを目指したい旨述べた。また,留学のインセンティブを高めるべく,日露大学間の単位互換・学位取得等を含む協力を支援したい,近くモスクワで行われる日露学長会議の機会も使って双方で知恵を出し合い協力したい旨述べた。これに対してプーチン大統領は大きくうなずいていた。

(3)4月の総理訪露の際に一致した2014年を「日露武道交流年」とすることについて,プーチン大統領から,日本においてロシアのサンボが普及することを期待する旨述べた。安倍総理から,精神的な営みである武道を通じて両国民の相互理解を深めるものであり,柔道,合気道,空手,サンボの交流など,充実したものにしたい旨述べた。また,2014年秋に予定されている日本武道館代表団のロシア派遣が大きな目玉となることを述べ,その演武会にプーチン大統領を招待した。

(4)プーチン大統領から,2月のソチ・オリンピックに安倍総理をお迎えしたいとの招待があり,安倍総理は,ご招待に感謝する,国会開会中なのでしっかり検討したいと応答した。

4 日露経済関係

(1)プーチン大統領から,両国間の貿易高は本年前半7.2%増加し,日本の対露投資総額も増加している旨指摘しつつ,エネルギー,交通インフラ,農業,医療等各分野における協力の進展について詳しく言及があった。

(2)安倍総理からは,科学技術分野の協力に言及し,8月の下村文科大臣の訪露を踏まえ,高速炉研究や北極研究,宇宙分野等様々な分野の協力を推進するよう指示を出すことを提案し,プーチン大統領から賛同を得た。

5 平和条約締結問題

 平和条約締結問題については,G20の際の首脳会談における議論を踏まえ,今後の交渉につき意見交換を行った。特に,安倍総理から,次回の次官級協議をできるだけ早く開催すべきとの考えを伝えたところ,プーチン大統領から,11月のラヴロフ外相訪日の際に議論してはどうかとの話があった。

6 シリア情勢

 シリア情勢については,安倍総理から,シリアの化学兵器の国際管理に向けたプーチン大統領のイニシアティブを評価し,米露合意,安保理決議採択を歓迎した。また,安倍総理から,引き続き暴力の停止と政治対話の促進,劣悪な人道状況の改善は喫緊の課題であり,自分は国連総会で約6000万ドルの追加的人道支援を表明するとともに,化学兵器の廃棄にも可能な限りの協力・貢献を行うことを表明した旨述べた。続けて,安倍総理は,ジュネーブ2の開催は極めて重要であり,日本も参加し,今後の貢献につなげる用意があるので,引き続き両国間で連絡を取り合いたい旨述べた。これに対してプーチン大統領から,日本が果たす役割を評価し,日本からの支援,日本との連携に期待したい旨述べた。

7 その他

 10月7日はプーチン大統領の誕生日(61歳)であり,会談の最後に,安倍総理はプーチン大統領にお祝いのプレゼントを渡した。

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