15日午前8時45分(現地時間)から約40分間,G8外相会合出席のためパリを訪問中の松本外務大臣は,クリントン国務長官との間で日米外相会談を行ったところ,概要下記の通り(先方:バーンズ国務次官,セルヴァ統合参謀本部代表,サリヴァン政策企画部長他,当方:藤崎駐米大使,別所外務審議官,梅本北米局長他同席)。
1 東北地方太平洋沖地震
冒頭,松本大臣から,今回の地震・津波は想像を絶する規模であり,捜索救援,復旧,原子力発電所対策に全力で当たっている,米国からは,オバマ大統領から菅総理,貴長官から自分(大臣)に対して電話でお見舞いの電話を頂いたほか,在日米軍による協力,米国際開発庁(USAID)のレスキューチーム派遣,原子力専門家の派遣などの支援を頂いており,日本政府及び日本国民を代表して,米国政府及び米国民に感謝する旨述べた。また,被災地には多くの米国人も在留していると考えられ,安否確認について在京大使館とも連携し全力を尽くしたい旨述べた。
これに対し,クリントン長官から,このような困難にあたって,日本を支援することは米国としても光栄である,米国政府は,在日米軍や専門家派遣も含め,必要ないかなる支援も惜しまない旨述べた。
引き続き,松本大臣から,原子力発電所を含めた日本政府の地震・津波への取り組みについて説明した。また,松本大臣から,米国の原子力専門家の受け入れについては,先刻,自分(大臣)からも受け入れと緊密な連携を指示した旨述べた。
2 日米関係
- (1)松本大臣から,「2+2」を適切な時期に開催したい旨述べ,クリントン長官からも同様の意志が示された。
- (2)普天間飛行場の移設問題について,松本大臣から,日米合意に基づき真剣に取り組んでいきたい旨述べ,クリントン長官から,解決に向けて日本側と協力したい旨述べた。
3 子の親権
松本大臣から,自分(大臣)はこれまでも副大臣として本件に関与してきており,可能な限り早く結論を得るべく真剣に検討を進めていきたい旨述べ,クリントン長官からは,松本大臣の取り組みに感謝する,ハーグ条約は子の奪取について国際法に基づき各国が協力する枠組みであり,日本の加盟を期待するとの発言があった。
4 アジア太平洋情勢
- (1)クリントン長官から,北朝鮮についても引き続き日米で協力していきたい,北朝鮮に対しては南北対話を進めるよう求めていく必要がある,ウラン濃縮問題への対応について日本の協力に感謝する旨述べた。松本大臣から,ウラン濃縮は安保理決議及び六者会合共同声明違反であることを主張していく必要がある旨述べた。
- (2)また,クリントン長官から,オバマ大統領が出席する本年の東アジア首脳会議(EAS)の成功に向けて日米でも協力してきたい旨述べた。
- (3)松本大臣からは,東アジア情勢が厳しい中で,日米の連携が一層重要である旨述べるとともに,ロシアとの北方領土問題について米側の強い支持に感謝する旨述べた。
5 結語
会談の最後に,松本大臣から,地震・津波を受けた現在の厳しい状況の中で,日本国民が倫理感を持って助け合っていることを誇りに思う,米国をはじめとする各国の支援を得て,必ずや困難を乗り越える決意である旨述べ,クリントン長官から,米国は日本と連帯する旨の発言があった。