外務大臣

日米韓三か国共同プレス声明(仮訳)

カンボジア,プノンペンにて
2012年7月12日

平成24年7月12日

英語版

 2012年7月12日,金星煥・大韓民国外交通商部長官,クリントン・アメリカ合衆国国務長官,及び玄葉光一郎・日本国外務大臣は,カンボジアのプノンペンにおいて,ASEAN地域フォーラム閣僚(ARF)会合の機会を利用して会合を開催した。過去2年間のうちに,このような三か国の会合が行われるのは三度目となる。この会合は,2011年7月23日にインドネシアのバリにおいて成功裡に行われた三か国外相会合に続くものであり,共有された価値に基づく三か国協力を強化し,アジア太平洋地域及び世界の課題に対処するための我々の取組を拡大することを目的としたものである。

 三外相は韓米間,及び日米間の同盟,並びに日韓間のパートナーシップが,アジアの平和と安定の維持に不可欠であることを認識した。三外相は,韓米相互防衛条約及び日米安全保障条約の下での,それぞれの二国間の相互の責任と確固たるコミットメントを再確認し,共通の安全保障上の脅威に効果的に対処するための緊密な協議を継続していくことを決意した。

 三外相は北朝鮮に対し,すべての核兵器及びウラン濃縮活動を含むすべての既存の核計画を,完全,検証可能かつ不可逆的な方法で放棄すること,及び弾道ミサイル計画に関連するすべての活動を停止することを求めた。三外相は,北朝鮮の非核化に対するコミットメントを再確認した。三外相は,4月16日の国連安保理議長声明において示されたとおり,更なる核実験やミサイル発射を含む,北朝鮮によるいかなる挑発行為に対しても,国際社会の確固とした,かつ協調された対応がとられることを改めて強調した。三外相は,北朝鮮が挑発行為を自制し,非核化に向けた具体的行動をとることを含め,2005年の六者会合共同声明,国連安保理決議第1718号及び第1874号に基づく自らの国際的な義務及びコミットメントを遵守すれば,異なる道が引き続き開かれることを指摘した。

 三外相は,北朝鮮の人々の福利及び北朝鮮の深刻な人権状況に対し,深い懸念を表明した。三外相は,これらの問題に対する国際社会の懸念の増大を共有し,北朝鮮に対し,人々の人権を尊重し,人々の人道的ニーズに取り組み,特に栄養及び健康に関する人々の福利に対して投資することによって,人々のことを最優先に考えることを求めた。三外相は,離散家族再会の実施やすべての拉致及び拘禁事案の解決を含めて,人道上の問題に対処するために,北朝鮮がこれ以上の遅滞なく行動をとるべきことを強調した。

 三外相は,対北朝鮮政策に関して緊密に協議すること,及び,この問題に関する中国及びロシアとの協力の強化を継続していくことを約束した。三外相は,関連する国際的な制裁の完全な履行の確保,及び北朝鮮の人権状況の改善のための,国際社会との持続的な協力の重要性についても強調した。三外相は,北朝鮮に対して国際的な義務及びコミットメントに従って行動するよう求めるための中国及びロシアの関与を歓迎した。

 三外相は,地域の多国間主義の基盤としての,ASEAN,ARF,及び東アジアサミット(EAS)を含む地域協力メカニズムを増強するための協力を強化することを約束した。三外相は,アジア太平洋における災害対処に関する協力を向上させるために,韓国がタイと2013年に第3回ARF災害救援実動演習(DiREx)を共催することを歓迎し,米国及び日本は,これまでの共同開催国として,DiREXの成功に向けた全面的な支援を約束した。三外相は,自然災害及び世界的流行病に備えるための三か国協力の機会を模索することに合意し,「世界防災閣僚会議in東北」の結果を歓迎した。

 三外相は,南シナ海における関係者の行動をマネージし規制することを期待し,すべての当事者に対して,国際法及び南シナ海に関する行動宣言(DOC)の精神に則ったASEAN・中国間の行動規範(COC)を前進させることを促した。三外相は,とりわけ,メコン河下流地域フレンズの枠組みを通じてメコン地域を特別に重視しつつ,世界における開発援助の効率性を高めるために協調することを決意した。

 ミャンマーに関して,三外相は,最近の前向きな情勢変化を歓迎し,ミャンマーの民主主義,開発,人権保護,及び国民和解に向けた進展の継続のために協働し,ミャンマーの不拡散を含む国際的な義務の完全な遵守を達成するためのコミットメントを改めて強調した。

 三外相は,対テロリズム対策,人権,海賊対策,軍縮・不拡散,開発協力,海上安全保障,航行の自由,エネルギー安全保障を含むグローバルな問題に関する緊密な連携の継続に対するコミットメントを確認した。

 三外相は,シリア情勢の悪化に対する深い懸念を表明し,民主化を要求する活動家や市民に対する無差別な暴力を行使するシリアの体制を強く非難した。三外相は,シリアの体制及び関連する他の全ての団体に対し,あらゆる暴力を直ちに停止し,関連する国連安保理決議を直ちに実施し,民主的かつ複数制の政治システムへの移行を促進するコフィ・アナン共同特使の取組を支援することを求めた。

 三外相は,中東・北アフリカにおける民主的移行を支援するコミットメントを表明し,スーダンと共存する,平和的かつ安定した南スーダンに向けて取り組むことを約束した。

 三外相は,イランの核問題のP5+1プロセスを通じた平和的解決に対する支持を再確認し,イランに対し国連安保理決議を含む国際的な不拡散義務を遵守し,誠実かつ前向きにIAEAと協力することを求めた。米国は,韓国及び日本による国連安保理決議の制裁及び国内の措置の双方の実施に関する取組に対して謝意を表明した。三外相は,イランによる核に関する国際的な義務違反の継続には甚大な経済的コストをもたらすとの明確なシグナルを送るために,グローバル市場に対する経済的圧力を最小化しつつ,イランに関する緊密な協力を継続することの重要性を強調した。

 三外相は,2010年のワシントン,及び2012年のソウルにおける核セキュリティ・サミットが,核及び放射能テロリズムを防止するためのグローバルな取組を強化するための有意義な機会であったとの認識で一致し,核セキュリティ分野における三か国協力を強化していくことを約束した。

 2012年5月のシカゴサミットにおいて決定されたとおり,三外相は,権限移譲期終了後以降のアフガニスタンに対する国際的な支援の継続的な必要性について強調した。三外相は,7月8日に開催されたアフガニスタンに関する東京会合が,権限移譲から「変革の十年」までのアフガニスタンの持続可能な経済発展のための国際的な支援の強化という観点から,非常に時宜を得たものであり,かつ,成功裡に行われたものであったとの認識で一致した。

 三外相は,本日の三か国外相会合が非常に時宜を得た有益なものであったことについて一致し,アジア太平洋及びこれを超えた地域の平和,繁栄及び安定を促進するための,共通利益に基づいた三か国協力を更に発展させていく必要性を認識した。この目的のために,三外相は,三か国の協力を円滑化するために,ワシントンに拠点を置く実務レベルの運営グループを設置することを発表した。

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