平成18年6月30日
(6月28日15時過ぎから約1時間半、於:ロシア外務省)
(1)サンクトペテルブルク・サミットの際の日露首脳会談に向けた準備
(イ)両大臣は、サンクトペテルブルク・サミットの際に日露首脳会談を行うことを改めて確認するとともに、来る首脳会談の議題やその成果につき意見交換を行った。
(ロ)麻生大臣より、来る首脳会談は小泉総理の対露外交の総括であり、「日露行動計画」に基づく幅広い分野における協力の進捗状況と今後の方向性を両首脳が確認するような会談にしたい旨述べた。これに対しラヴロフ大臣は同意した。
(2)平和条約問題
(イ)麻生大臣より、昨年11月の日露首脳会談において、これまでに達成された諸文書及び諸合意に基づき、引き続き双方に受入可能な解決策を見出す努力を行っていくことで一致したことを確認した上で、この諸文書及び諸合意には1956年の日ソ共同宣言、1993年の東京宣言、2001年のイルクーツク声明及び2003年の日露行動計画が当然含まれ、両国政府はこれら諸文書に基づいて問題の最終的な解決に向けた努力を継続すべきである旨述べた。
(ロ)また、麻生大臣より、27日のロシア大使会議においてプーチン大統領が、平和条約締結に向けた真摯な努力を継続するとの姿勢を示したことに言及し、日本側としても同じ立場である旨述べた。
(ハ)これに対しラヴロフ大臣より、第二次世界大戦後の国際社会の現実を考慮しつつ麻生大臣が言及した諸文書に基づき交渉するというのがロシアの立場であり、27日のプーチン大統領の発言もこれを改めて確認したものである旨述べた。
(3)漁業問題
(イ)ラヴロフ大臣より、6月1日から開始予定であった貝殻島周辺昆布操業に関し、開始予定日までに諸問題を解決できなかったことにお詫び申し上げたい、ロシア側としては来年の操業までには長期的、安定的な解決ができるよう努力したい旨述べた。
(ロ)これに対し麻生大臣より、ロシア側内部手続の問題により操業開始が遅れたことはまことに遺憾である旨強く申し入れた上で、来年の操業に向けて改善すべく努力するとのラヴロフ大臣の発言に期待する旨述べた。
(4)太平洋パイプライン
(イ)麻生大臣より、昨年11月の日露首脳会談の合意を踏まえて行われている太平洋パイプラインに関する具体的な協力についての交渉の加速化に向け、ラヴロフ大臣を始めロシア外務省としても協力してほしい旨述べた。
(ロ)これに対しラヴロフ大臣より、この協力案件は重要であり、ロシア外務省としても協力したい旨述べた。
(5)人的交流
(イ)ラヴロフ大臣より、査証簡素化は日露間の人的交流の拡大に資するものであり、査証簡素化に関する協定を締結したい旨述べた。
(ロ)これに対し麻生大臣より、本年2月に査証簡素化に関する第1回作業グループ会合を開催したが、2回目の協議をできる限り早期に開催したい旨述べたところ、ラヴロフ大臣は同意した。
(6)国際情勢
(イ)イランの核問題
麻生大臣より、日本としても様々な努力を行っている旨説明したのに対し、ラヴロフ大臣より、ロシアもイランにしっかりと働きかけを行っている、29日のG8外相会合でしっかり議論したい旨述べ、日露間でも引き続き意見交換や情報交換を緊密に行っていくことで一致した。
(ロ)北朝鮮
麻生大臣より、北朝鮮によるミサイル発射に向けた様々な動きを強く懸念している、拉致問題をはじめとする人権問題についても深刻に懸念している、G8として全体で取り上げてきちんと取り組んでいくべきである旨述べた。
これに対しラヴロフ大臣より、ミサイル問題に関しては、ロシアとしても北朝鮮に対し慎重に行動するよう様々な働きかけを行っていく、日本人の拉致問題という深刻な人権問題を解決すべきとの考えに完全に同意する、これらの問題はG8で話し合われることになるだろうと述べた。
(ハ)中央アジア
ラヴロフ大臣より、上海協力機構の活動について説明があったのに対し、麻生大臣より、「中央アジア+日本」の活動について言及し、両大臣は、今後、中央アジアの問題について両国外務省間で緊密に協議していくことで一致した。
(6月29日17時半過ぎから約1時間、於:クレムリン)
(1)アジア太平洋情勢
麻生大臣より、現在のアジア太平洋の戦略的環境はかつての冷戦時代と違って変化してきている旨述べた上で、日米関係の重要性、日露間での幅広い分野の協力の重要性を指摘し、額賀防衛庁長官の訪露等の防衛分野での協力、5月のウラジオストクにおける海上保安庁と国境警備局との間のテロ対策等を目的とした合同演習に触れ、アジア太平洋の戦略環境における日露の防衛・治安分野の協力の必要性を強調した。その上で、安全保障問題、日露双方が関心を持つ戦略的問題に関して意見交換を行うことが重要であるとの認識で一致した。
(2)北朝鮮
北朝鮮の核・ミサイル・拉致問題について意見交換を行った。北朝鮮問題について、これまで日露間で緊密に意見交換を行うとともに、必要に応じて政策調整を行ってきたが、これは有意義であるとの認識で一致し、今後ともこのような意見交換・政策調整を継続することを確認した。
(3)中国
日露両国にとって重要な隣国である中国との関係に関して意見交換を行った。
(4)イランの核問題
イワノフ書記より、ロシアによるイランに対する働きかけや努力についての説明があった。