平成18年7月23日
フィリピン訪問中の麻生外務大臣は、23日午後3時50分(現地時間:日本時間午後4時40分)より約40分間にわたり、マラカニアン宮殿においてロムロ・フィリピン外務長官と会談を行ったところ概要以下のとおり(当方山崎駐フィリピン大使他、先方マナロ外務省アジア大洋州局長他同席)。
なお、外相会談に先立ち、両国外相はフィリピンの「人材育成奨学計画」に対する我が国の無償資金協力に関する交換公文の署名を行った。
(1)ロムロ外務長官より、日フィリピン国交正常化50周年を祝する日フィリピン友好デーのフィリピン訪問を歓迎し感謝する旨述べた。
これに対し、麻生大臣より、友好デーに貴地を訪問し、先般4月及び今般7月と短期間に二度の外相会談を実施でき喜ばしい旨応じた。
(2)ロムロ外務長官より、日比両国は海洋の面でも協力を拡大すべき旨指摘があった。これに対し、麻生大臣より同意を示し、海洋に関する二国間協議の今後の実施について詳細を調整したい旨述べた。また、4月の日比外相会談を受けその後開催した日比外務・防衛当局者間協議について、有意義であり今後も継続していきたい旨述べた。
(本日のアロヨ大統領への表敬において、麻生大臣より日本人の国際監視団(IMT)への派遣を含むミンダナオ和平への我が国の関与拡大について表明したことを受け)ロムロ外務長官より、日本のミンダナオ和平プロセスへの参加は非常に重要、同問題の根源は宗教問題ではなく貧困問題であり、住民が「平和の配当」を感じることが重要である、ミンダナオの経済社会開発分野で日本が務める主導的役割を歓迎する旨述べた。
ロムロ外務長官より、本日のアロヨ大統領への表敬において、麻生大臣とアロヨ大統領がEPAの早期締結について一致したことを嬉しく思っており、早期に交渉をまとめたい旨述べた。
麻生大臣より、我が国として対フィリピン支援を重視しており、今年はフィリピンからの留学生受け入れ枠を増大し、本日もフィリピンからの留学生受け入れ支援にかかる無償資金協力の交換公文を署名した、引き続き、二国間の架け橋となる人材を育てていきたい、また、エネルギー、テロ、環境等の分野での支援も行っていきたい旨述べた。
これに対し、ロムロ外務長官より、(日本政府の奨学制度により日本での留学経験のある)シアゾン駐日フィリピン大使の例を挙げるまでもなく留学生を通じた人的交流は極めて重要である、エネルギー、環境分野での支援に感謝したい、ODA供与に関し付加価値税の還付の遅延が問題になっていた件については本年中に解決したく、大統領より関係省庁に指示があった旨述べた。
(1)ロムロ外務長官より、アロヨ大統領への表敬において麻生大臣よりASEAN議長国となるフィリピンへの支援の意思が示されたことについての謝意を表明し、ASEAN+3、東アジア首脳会議等の枠組みにおいて日本と協力していきたい旨述べた。
これに対し、麻生大臣よりあらためて議長国となるフィリピンへの最大限の支援の意思を表明し、今週のASEAN関連外相会議において緊密に協力していきたい旨述べた。
(2)麻生大臣より、ミャンマー情勢への憂慮及び同問題に関するフィリピンの果たす役割への期待を表明した。
これに対し、ロムロ外務長官より、アロヨ大統領はミャンマーの民主化の重要性を強く認識しており、ASEANとして強い立場をとっていくことが重要である旨述べた。
(3)ロムロ外務長官より、地域の安定の観点から朝鮮半島の非核化問題は重要である旨述べた。
これに対し、麻生大臣より、北朝鮮の弾道ミサイル発射は極めて憂慮すべき問題であり、ロムロ外務長官がミサイル発射後に発出した声明にもあるように、ARFの信頼醸成努力に背くものである、ついては今週のARF閣僚会合で一致団結して北朝鮮に断固たる姿勢を示したい旨述べ、ロムロ外務長官もこれに同意した。
麻生大臣は、さらに、安全保障理事会で北朝鮮を非難する決議が全会一致で行われたことに関し、決議を得ること自体が目的ではなく、北朝鮮のミサイル、拉致、核の問題を解決することが大切であり、北朝鮮に今後もこれらの問題の解決を求めていきたい旨述べた。