
麻生大臣のバングラデシュ訪問について
(概要と成果)
平成18年7月25日
I.訪問の意義
政治的・経済的重要性が増し、注目されている地域である南アジアにおいて、もう一つの成長の核となりつつあるバングラデシュは、親日かつ穏健なイスラム国家として重要な位置を占める。昨年のジア首相の訪日などを通じて関係強化の気運が高まっている機会を捉え19年ぶりの外相訪問により、二国間及び地域・国際社会における協力に進展を図った。
II.バングラデシュ側要人との会談の成果と概要
7月24日~25日、麻生外務大臣はバングラデシュを訪問し、アーメド大統領、ジア首相への表敬、カーン外相、ハシナ・アワミ連盟(野党第一党)総裁との会談などを行ったところ概要は以下の通り。
1.二国間関係
(1)バングラデシュの政治的発展への日本の支援表明
- 麻生大臣よりバングラデシュ側に対し、明年1月実施予定のバングラデシュ総選挙において、自由かつ公正な選挙の重要性を強調。選挙監視団を派遣する用意がある旨表明。バングラデシュ側はこれを歓迎した。ハシナ・アワミ連盟総裁との会談では選挙の結果に拘わらず、日本関連のプロジェクトの継続性が確保されるべき旨申し入れ、先方も同意した。
- 麻生大臣より、バングラデシュ治安改善の努力を評価。更なる強化のための警察官研修等の支援を表明し、カーン外相は謝意を表した。
- 麻生大臣よりバングラデシュ行政能力向上のための協力を表明。
(2)二国間関係の強化
- 対話の強化:日バングラデシュ両外相は、二国間関係強化のため、政府間の「政策協議」及び日本からの投資促進など経済関係強化の方途につき協議する「官民経済対話」の設置につき合意した。
- 経済協力:麻生大臣より、防災協力等を含め経済協力を継続していくこと、バングラデシュへの円借款供与額を250億円と倍増したこと、また、新たに導入した金利0.01%、償還期間40年とほとんど無利子に近い条件を初めて適用する旨表明した。
- カーン外相及びジア首相からパドマ橋建設に対する支援要請がなされ、麻生大臣より各種調査の結果につき積極的な評価が得られ、ADB、世銀を含む国際的支援の枠組みが構築されれば日本としての適切な協力を検討したい旨表明した。その他、ダッカ地下鉄建設のためのフィージビリティスタディ調査、チッタゴン港深港化計画についても協力要請が出され、今後検討することになった。
2.地域・国際社会における協力
(1)SAARC
- 日バングラデシュ両外相は、SAARCを通じた域内協力の強化の重要性につき確認し、麻生大臣より、デリーでの明年の首脳会議にハイレベルの代表を派遣したい旨表明。また、本年7月末に日本・SAARCシンポジウムのダッカ開催を表明し、カーン外相の参加に謝意が表された。
(2)国連改革
- 日バングラデシュ両外相は安保理改革は国連改革に不可欠である旨認識が一致。カーン外相は日本の常任理事国入り支持を再確認した。
(3)海賊協定
- カーン外相より、バングラデシュが加入を決定した旨表明。
(4)北朝鮮のミサイル問題
- 麻生大臣より安保理決議に従った対応を北朝鮮に働きかけていくよう協力を求めたのに対し、カーン外相より、北朝鮮の問題は重大な懸念事項であり、北朝鮮に対してバングラデシュとしての懸念を直接伝えていきたい旨発言。
(5)レバノン情勢
- 日バングラデシュ両外相は自制と建設的な話し合いによって問題解決がなされることの重要性を確認した。