麻生外務大臣

ASEAN+3外相会談等の際の日韓外相会談(概要)

平成17年12月10日

 12月10日、ASEAN+3外相会談等への出席のためにマレーシア(クアラルンプール)出張中の麻生外務大臣は、潘基文(パン・ギムン)韓国外交通商部長官と日韓外相会談を行ったところ、やりとりの概要は以下のとおり。

1. 総論・歴史認識

(1)冒頭、潘長官より、先般の釜山APECにおける麻生大臣の様々な貢献に対して謝意が述べられたのに対し、麻生大臣より、釜山に引き続き会談が行えることは有意義である、釜山での会談でも申し上げたとおり、日韓友好協力関係の構築に誠心誠意努力していく旨述べた。

(2)続いて、麻生大臣より、以下のとおり述べた。

(イ)7日のスピーチでも強調したとおり、我が国のアジア戦略において、韓国との関係を極めて重視している。基本的価値観を共有し、東アジアの安定と繁栄のために重責を担う日韓両国が対話と交流を一層強化し、具体的協力を積み重ねていきたい。

(ロ)米国の同盟国であり、OECDの一員でもある韓国は、民主主義と市場経済のレベルで他のアジア諸国にとってのモデルである。この基礎の上に立ち、東アジアのために具体的協力をすすめる余地は極めて大きく、韓国との関係は大切である。

(ハ)立場の相違はあるが、韓国国民の過去をめぐる心情を重く受け止め、過去に起因する問題についても人道的観点から真摯に対応していきたい。その上で、未来志向の関係構築に努力していきたい。

(ニ)このような状況であるからこそ、貴長官との対話の継続は極めて重要である。

(3)これに対し、潘長官より、良い話に感謝するとした上で、以下のとおり述べた。

(イ)今般ASEAN+3の機会に日中韓首脳会談が開催できないことは残念である。また、12月を想定していた盧武鉉大統領訪日が依然未定であることも残念に思う。

(ロ)日本の政治指導者の発言により、外交責任者としての自分が困った状況に置かれていることを理解してほしい。しかし、このような会談を通じ、貴大臣と協力してともに困難を克服していきたい。

(ハ)7日の貴大臣のスピーチにおける日韓関係への言及を評価している。そのような方向で引き続き進んでほしい。また、1日付の貴大臣からの書簡(注:釜山APECでの接遇への感謝の書簡)でも歴史問題につき言及されたことを評価している。

(ニ)歴史認識に関連し、既に首脳間で合意を見ている第二期歴史共同研究につき、年末までに立ち上げの目途をつけたい。

2. 日韓二国間関係

(1)日韓友情年2005

 潘長官より、12月6日の記念コンサート及び7日のフィナーレ・レセプションの成功に言及しつつ、日韓関係が停滞する中で、日韓友情年の多くの行事が滞りなく行われたことを嬉しく思う旨述べた。

(2)過去に起因する問題

(イ)潘長官より、過去に起因する諸問題の一部につき具体的進展が見られることを評価しているとしつつ、具体的に、1)在韓被爆者支援の一環として、11月30日より在外公館での健康管理手当申請受付が開始されたこと、2)遺骨調査・返還問題に関し、11月28・29日の第3回政府間協議等を通じて具体的進展が見られることに言及があった。また、在サハリン「韓国人」への支援を引き続きお願いしたいとの要望が示された。

(ロ)これに対し、麻生大臣より、在サハリン「韓国人」への支援については、韓国側と協力しつつ検討していきたい旨述べた。

(3)韓国人に対する査証免除

 潘長官より、来年2月末まで暫定的に行われている韓国人への査証免除を3月以降も継続・恒久化してほしいとの要望が示された。これに対し、麻生大臣より、愛知万博期間中の査免措置の結果を分析した上で、その後の対応を考えたい、このように一つ一つの問題について前進することが重要である旨応じた。

3. 北朝鮮問題

(1)潘長官より、六者会合を早期に再開することが望ましい、関係国間で協力・連携しつつ努力していきたい旨述べるとともに、KEDOの今後のあり方についても緊密に協議していきたい旨の言及があった。また、日朝間の協議が進展することは、六者会合再開に向けた雰囲気の改善に資すると考えている旨述べた。

(2)これに対し、麻生大臣より、六者会合の早期再開の必要性及び関係国間の協力の重要性について全く同意する、KEDOについても緊密に協議していきたい、日朝間でも早期の協議再開に向けて努力している旨述べた。

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