外交政策

平成26年2月26日
出席委員の集合写真 出席委員の集合写真
(写真提供:UNAIDS)
2月12日から15日,安倍総理夫人は,UNAIDSランセット委員会第2回会合に出席するため,英国を訪問したところ,概要は以下のとおりです。総理夫人は会合において,社会的弱者との共生を訴えるスピーチ,エイズ対策への日本の貢献,及び,国際保健のあり方に関する発信を行いました。

1.UNAIDSランセット委員会と,安倍総理夫人の就任経緯

マハマ・ガーナ大統領と
各委員と共に
(1)UNAIDSランセット委員会は,今後の国際的なエイズ対策のあり方について議論を行うため,シディベUNAIDS事務局長と医学誌『ランセット』のホートン編集長が呼びかけ人となり,2013年5月に立ち上げられました。野口賞受賞者のピオット博士やズマAU委員長が議長を務め,各国首脳や首脳夫人,国際機関の長,NGO等,エイズの取組みを支える様々な分野から委員が就任しています。
シディベUNAIDS事務局長と
(写真提供:UNAIDS)
2)エイズ対策は国連ミレニアム開発目標(MDGs)の1つにも掲げられ,世界規模で取り組むべき重要課題として,この10年間に著しい成果をあげました。しかし,現在も,エイズは年間160万人の死因であるほか,HIV感染者の半数近くには治療アクセスがありません。また,医学の進歩によって,HIV感染は長期療養の疾病へと変化してきたため,生活習慣病等の非感染症疾患で死亡する人が増加していることも課題となっています。
(3)委員会は,エイズの終焉に向けた取組を加速化させるとともに,今後の国際保健のあり方に関する議論を方向付けるため,これまでのエイズ対策の取組を整理し,国際社会にその内容を発信し,政治的機運を喚起し,具体的行動につなげることを目的としています。
(4)安倍総理夫人は,これまでエイズ啓発活動に携わってきました。一例として,2013年6月のTICADVでは,国際シンポジウム「エイズを考える-アフリカと日本の共通課題」を主催しています。このような経緯から,シディベUNAIDS事務局長から,委員への就任招請がありました。

2.会合における議論内容

会議の様子
発言する安倍総理夫人
(写真提供:UNAIDS)
(1)各委員及び世界各地から寄せられた意見を踏まえた議論の中で,エイズ対策推進のためには,ジェンダー格差,教育の欠如,経済力,性的指向に基づく差別といった社会的要因の解消が重要であることが指摘されました。特に,女性及び青少年や社会的弱者に対する一層の取組強化が求められることに,多くの参加者が言及しました。
(2)また,エイズ対策のための資金調達のあり方,医薬品の知的財産権や生産の問題,中所得国が直面している援助の先細りと保健分野への投資増強といった課題等に関する議論が行われました。
(3)委員会の最終提言書は,2014年9月の公表を目指して,取りまとめ作業を進めることになりました。

3.今次会合における総理夫人のメッセージ

安倍総理夫人は,会合冒頭セッションにおいて,HIV感染が広がりやすい弱い立場の人々の声に耳を傾けるよう呼びかけるスピーチを行いました。これに対して,参加者から大きな拍手と,心に響く素晴らしい内容だったとの評価が寄せられました。

また,HIV/エイズに対する無知・無関心が差別を助長することを指摘し,多様性を認め,全ての人が尊厳をもって共生できる社会の実現に尽くすべきであること,エイズは女性により大きな負担を強いる問題であること,対策を地域単位で進めることの必要性,エイズの知見をより良い保健の実現に活用すべきである旨等を提言しました。さらに,総理夫人は,日本及びアジアにおけるエイズに対する意識啓発を,HIV感染率が世界的に上昇傾向にある若者の関与を得て進めていきたいとの考えを示し,その際は,委員会関係者の協力も得たいと述べました。

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