カナダ

平成28年9月21日

 9月16日、薗浦健太郎外務副大臣は、カナダ・モントリオールにて開催された世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)第5次増資会合に出席するとともに、その機会に出席した各国の関係閣僚等と会談しました。また、国際民間航空機関(ICAO)本部を訪問し同理事会議長との会談や日本人職員との意見交換を行った他、モントリオール在住の日系企業関係者と懇談したところ、概要は以下のとおりです。

1 グローバルファンド第5次増資会合

グローバルファンド第5次増資会合におけるスピーチ
  • (1)薗浦副大臣は、スピーチの中で、日本は昨年末に第5次増資準備会合を主催して以降、G7伊勢志摩サミット議長国、TICAD VI共催国として継続的に国際保健を大きく取り上げ、着実に成果を挙げてきた旨、また、安倍総理がG7伊勢志摩サミットに先立ち、第5次増資向けに8億ドルの拠出を発表した旨言及の上、日本としてこの拠出を着実に進め、国際保健分野に一層の貢献を行っていく決意を表明しました(スピーチ全文へのリンク(英語(PDF)別ウィンドウで開く和文(PDF)別ウィンドウで開く))。
ダイブル・グローバルファンド事務局
  • (2)薗浦副大臣は、同会合期間中、各国の関係閣僚等と意見交換を行いました。
ミミツァ国際協力・開発担当欧州委員との会談において、両者は、昨年採択された持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向け、日EUの緊密な連携が重要であることを確認の上、アフリカや中東地域における支援のあり方につき意見交換を行いました。
アリ・バングラデシュ人民共和国外相との会談において、薗浦副大臣から、日本は先般のテロの邦人犠牲者の志を受け継ぎ,バングラデシュに対するODAを今後も継続する旨言及するとともに、バングラデシュ側に、在外邦人の安全確保の徹底,事件の真相究明,関連情報の共有等への協力を求めたのに対し、アリ外相は、改めて連帯の意を表明するとともに、テロ対策・治安維持のための同国政府の取組について詳細に説明しました。
アミナ・ケニア外務長官との会談において、両者は、初のアフリカ開催となったTICAD VIの成功や、両国首脳が発表した共同声明、モンバサ経済特区(SEZ)開発に関する覚書(MOU)の署名等、協力関係の深化を歓迎するとともに、今後もTICAD VIIに向けたフォローアップ等に向け協力していくことで合意しました。
ダイブル・グローバルファンド事務局長との会談においては、同事務局長から、日本が資金面の多大なる貢献に加え、国際保健分野で強いリーダシップを発揮していることへの評価と謝意が表されました。薗浦副大臣からは、グローバルファンドが、保健システムの強化を打ち出したことを評価しつつ、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)促進のためには、現場に強いグローバルファンドの役割が重要であるとして、緊密に連携していきたい旨述べました。
トルドー・カナダ首相
  • (3)以上の他に、下記の政府要人と短時間の意見交換を行いました。
    • トルドー・カナダ首相
    • ディオン・カナダ外相
    • ムシキワボ・ルワンダ外務協力相
    • パテル英国国際開発大臣
    • グールド・カナダ国際開発大臣付政務官

2 国際民間航空機関(ICAO)本部視察

アリウICAO理事会議長
  • (1)16日、薗浦副大臣は、モントリオールに所在するICAO本部を視察しアリウ同理事会議長との会談を行ったほか、ICAO事務局の日本人職員との意見交換を行いました。
  • (2)アウリ理事会議長との会談においては、薗浦副大臣から、日本は,北朝鮮のミサイル問題を始めとする民間航空の安全や国際民間航空秩序に関する地域情勢への対応を重視しており,ICAOとの協力関係を引き続き促進したい旨,また日本人職員の積極的登用の必要性について述べました。これに対し、アリウ理事会議長から日本のこれまでの協力に謝意が述べられるとともに、北朝鮮によるミサイル発射等については、ICAOとしては国連本部とも連携を図りつつ、国際民間航空の安全を確保する立場から今後も協力する旨、また、日本人職員については今後多く採用されるよう努めていきたい旨、更に、技術協力分野は今後TICADとリンクさせたい旨発言がありました。
  • (3)薗浦副大臣は、ICAOに勤務する日本人職員との間で、国際機関における日本人職員の増加や日本のプレゼンス強化等について意見交換を行いました。

3 日系企業関係者との意見交換

 16日、薗浦副大臣は、モントリオール商工会のメンバーである、製造業、運輸業等様々な日系企業関係者との意見交換を行い、出席者から、現地事情や企業関係者がもつ問題意識について説明を受けました。

【参考1】世界エイズ・結核・マラリア対策基金第5次増資会合

  1. グローバルファンドは,2000年のG8九州・沖縄サミットで,サミット史上初めて感染症対策が重要議題として取り上げられたことを契機として,2002年1月,ジュネーブに設立された。三大感染症(エイズ,結核,マラリア)の予防,治療に加え、強靱で持続可能な保健システムの実現に資金を供与している。我が国は設立以来25.3億ドルを拠出し,米,仏,英,独に次ぐ第5位のドナー。これまでにグローバルファンドの支援によって救われた命は累積2,000万以上と推定される。
  2. 今時増資会合は、2017-19年の期間に、三大感染症対策・保健システム強化に必要な資金を動員することを目的に開催された。9月16日に実施されたプレッジング・セッションにおいて、総額129億ドルの拠出表明が行われた。

【参考2】国際民間航空機関(ICAO)

 ICAOは、1944年採択の国際民間航空条約(シカゴ条約)に基づき設立された国連専門機関の一つ。国際民間航空の安全かつ整然とした発達、機会均等主義の下での国際航空運送業務の確立及び健全・経済的な運営のための国際協力を主たる目的とし、そのための国際ルールの策定・実施確保に取り組む。日本は1953年に加盟。最高意思決定機関としての総会、主要執行機関としての理事会、分野別の委員会及び専門家会合のほか、モントリオールに本部を置く事務局から成る。



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