国際保健
グローバル・ヘルス・サミットにおける菅総理大臣スピーチ
5月21日、21時43分(日本時間)から約5分間、菅義偉内閣総理大臣は、グローバル・ヘルス・サミットにおいて、ビデオメッセージの形式でスピーチを行いました。
菅総理大臣のスピーチの全文は以下のとおりです。
「ご列席の皆様、
まず、世界中で感染症との闘いの最前線に立ち続ける医療従事者をはじめとした多くの方々の献身的な御努力に対し、深い敬意とともに、心からの感謝の意を表します。
そして、本日、この時宜を得た会議を主催される、ドラギ首相、フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長の指導力に、敬意を表します。
今回の感染症の危機を克服し、将来の健康危機への備えを整えること、そして、世界を「より良い回復」に導いていくこと。こうした我々の重要な責務をしっかりと果たすべく、我が国は、多国間主義を重視しつつ、保健分野における国際的な取組をリードしていく決意です。
新型コロナの収束には、世界全体におけるワクチン等への公平なアクセスが要です。開発から配布・接種に至る包括的なプロセスを確保する必要があります。
我が国は、そのための国際的な枠組みであるアクト・アクセラレータの創設を呼びかけた国の一つとして、その仕組み作りに貢献してきました。
資金面では、コバックスへの2億ドルを含め、3億4,600万ドルを拠出するとともに、診断や治療の普及を支援してきました。
アクト・アクセラレータの中でも、安全で、効果的で、質の保証されたワクチンの公平なアクセスの確保は、喫緊の課題です。
そのため、私は、6月2日にコバックス・ワクチン・サミットをガビと共催します。我々は、途上国などにおいても、ワクチンへの公平なアクセスを確保するために必要な資金を調達すべく、さらに力強い一歩を踏み出す必要があります。このサミットを通じて、国際社会の結束を示し、世界に希望を届けることができるよう、皆様からの力強いコミットメントを呼びかけたいと思います。
我が国は、長年にわたり、世界中で誰もが安心して保健医療サービスを享受できるよう、最前線で支援してきました。この蓄積を活かし、途上国の一人ひとりにワクチンを届ける「ラスト・ワン・マイル支援」を始めとした取組も、関係機関と連携しながら、スピード感を持って進めています。
新型コロナへの対応の経験を通じ、我々は、人間の安全保障の理念の下、「誰の健康も取り残さない」との観点から、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを実現することの重要性を再認識しました。
また、保健システムの強化や、栄養、水・衛生などの感染症に強い環境の整備、持続的な保健財源の確保の必要性を改めて認識することとなりました。
こうした教訓を踏まえ、我が国は、本年12月、東京栄養サミットを開催し、世界の人々の栄養改善を推進します。
そして、最後に、将来のパンデミックに備えるためには国際保健システムのあり方を見直すことも必要と考えます。
国際保健課題への対応にあたっては、地理的空白を生じさせるべきではなく、世界各国・地域の情報や知見が、自由・透明・迅速な形で、広く共有されることが重要です。
こうした認識の下、我が国は、健康危機への対応におけるWHOの役割を重視しており、これまでWHOの検証・改革の議論に積極的に貢献してきました。引き続き国際社会と手を携えながら、効果的かつ実践的な対策の実施に向け全力で取り組んでいく決意です。
6月のコバックス・ワクチン・サミット、12月の東京栄養サミットに多くの皆様をお迎えできるのを楽しみにしています。
御清聴ありがとうございました。」