ODAと地球規模の課題

平成26年6月1日
4月28日~5月7日,第37回南極条約協議国会議がブラジルのブラジリアにおいて開催されたところ,その概要は次のとおり。
 
1.南極条約体制の運用等

前回(第36回)で協議国となったチェコが,今回から初めて協議国会議に参加した(協議国数29)。南極条約協議国会議と環境保護委員会,南極海洋生物資源保存条約(CCAMLR)他の組織との関係等,南極条約体制における情報交換および協力関係を深めていくための議論が行われた。特に,本会議の今後数年間にわたる重点項目に,協議国間の協力強化が盛り込まれた。
 
2.環境保護に関する課題 

(1)11件の南極特別保護地区(ASPA)の管理計画改定案、2件の新規ASPAの新設及び2件の特別管理地区(ASMA)の管理計画改定案が合意された。また、1件のASPA及び2件のASMAの指定解除が合意された。

(2)ワークショップ(WS)開催については、2015年の教育・アウトリーチ活動に関するWS、2016年の南極海洋生物資源保存科学委員会との共催による気候変動モニタリングに関するWSの開催についてそれぞれ合意。会期間コンタクトグループ(ICG)については、気候変動対応事業プログラム策定のためのICGの継続、南極の海洋環境の顕著な価値を検討していくためのICG設置等が合意された。その際, CCAMLRの海洋保護区(MPA)との役割分担についても整理していくこととなった。また、南極環境情報ポータルについては、次年での完全施行に向けデモンストレーションが実施された。

(3)南極条約環境保護委員会(CEP)においては、新たな議長に豪州のEwan McIvor(ユアン・マッカイバー)氏が選出された。任期は2年間であり,1回のみ再任可能。
 
3.観光・非政府活動対策等

(1)観光作業部会において、(ア)観光政策のレビュー:陸域型観光及び冒険旅行,(イ)勧告3及び6に関するCEPの会期間業務、(ウ)その他政策関係事項、(エ)ヨットその他の活動及び(オ)2013/2014年期の南極観光の概要について議論。

(2)観光の多様化に伴い、活動申請に関する各協議国による確認が困難に直面しつつある中にあって、各協議国の経験の共有、課題の整理を次年度の優先事項とし、次期ATCMにおける「活動申請の確認」に関する特別ワークショップ(SWS)の開催及びSWSのためのICG設置が合意された。また、議定書に批准していない第3国(パナマやマルタ等)船籍の大型船による南極航海が増加しつつある中で、第3国の責任のあり方を整理・検討していくためのICG設置が合意された。その他、確認申請を行わず南極で活動した事例の報告等がなされた。
 
4.南極の活動,安全など

南極地域における船舶の活動などが増加してきたことを背景にその対策が議論され,南極地域の航海の安全および環境保護の観点から,IMO(国際海事機関)で交渉されている「極海コード」への支援,無人飛行機システムの利点とリスクの調査,南極地域における水路情報収集,海図作成に関する協力について合意された。
 
5.バイオプロスペクティングの定義について,議論されたが合意されず,本件は,来年以降引き続き議論されることになった。

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