地球環境

平成29年6月15日
(写真1)持続可能な開発目標(SDG)14実施支援国連会議
(写真2)持続可能な開発目標(SDG)14実施支援国連会議

 6月5日から9日まで,持続可能な開発目標(SDG)14実施支援国連会議が,ニューヨーク・国連本部で開催され,190か国以上の国や,国際機関,NGO等が出席し,海洋の保全や持続可能な利用について議論が行われたところ結果概要以下のとおり。

1 概要

  • (1)本会議は,2015年9月に国連総会で合意された2030アジェンダに掲げられている17の持続可能な開発目標(SDGs)のうち,特に海洋・海洋資源の保全及び持続可能な利用に焦点を当てたSDG14の実施推進を目的として開催された。本会議開催に向けてイニシアティブを発揮したフィジー及びスウェーデンが共同議長(バイニマラマ・フィジー大統領,ロウィン・スウェーデン副首相)を務め,各国政府代表,海洋に関係する国際機関,有識者及びNGO等が参加した。
  • (2)本会議冒頭,グテ-レス国連事務総長及びトムソン国連総会議長によるオープニング・スピーチが行われ,海洋に関する取組は地球規模の喫緊の課題であるとして,国際社会全体による取組の重要性が強調された。
  • (3)全体会合では,各国代表によるスピーチが行われ,SDG14の達成に向けた取組及び支援等が表明された。なお,パリ協定に関して、多くの国がその重要性を述べる一方,同協定を離脱した米国を明示的に批判する国もあった。
  • (4)我が国を代表して,森外務省国際協力局審議官がスピーチを行い,パリ合意の実施に向けたCOP23の議長国としてのフィジーを支持すること、更に、海洋ごみ,海洋酸性化及び持続可能な漁業に対する我が国の取組や,太平洋・島サミット(PALM)及び小島嶼開発途上国(SIDS)国際会議等に係る我が国の協力等を紹介しつつ,SDG14をはじめとするSDGs全体の達成に向け,日本として引き続き貢献していく旨述べた(スピーチ英文(PDF)別ウィンドウで開く和文骨子(PDF)別ウィンドウで開く)。
  • (5)全体会合と並行して開催されたパートナーシップダイアログにおいては,海洋に関する主要7議題(ア 海洋汚染対策,イ 海洋・沿岸の生態系の管理,ウ 海洋酸性化対策,エ 持続可能な漁業に向けた取組,オ SIDS等の漁業資源及び市場へのアクセス向上,カ 科学技術の開発・技術移転,キ 国連海洋法条約(UNCLOS)に基づく海洋保全・持続可能な資源の利用)についての専門的な議論が行われた。
  • (6)最終日の9日,SDG14の実施促進に向けて全てのステークホルダーが取り組むべき具体的な行動を列挙した成果文書“Call for Action“別ウィンドウで開くが採択されるとともに,SDG14の実施促進に向けた各国等による合計1300以上の自主的取組(Voluntary Commitment)が本会議ウェブサイトに登録された旨が発表された。

2 評価

  • (1)海洋・海洋資源の保全及び持続可能な利用という地球規模の課題に関し,全てのステークホルダーが取り組むべき行動を列挙した成果文書“Call for Action”が採択されたこと,また,各国による1,300以上の自主的取組が公表されたことは,SDG14の達成に向けての国際社会における大きな進展と評価し得る。
  • (2)本会議は,SDGsの中でも個別の目標の実施支援を対象にした初めての国連会議。本会議の成功は,SDGsの他の個別目標の達成に向けた今後のロールモデルとなり,SDGs全体の達成プロセスに大きく貢献し得るものと考えられる。
  • (3)各国代表によるスピーチが行われる中で,我が国からは,個別分野の取組のみならず,PALMやSIDS国際会議等に係る我が国の外交努力を発信するとともに,今次会議に際して,政府全体として11の自主的取組を登録し,SDGsの達成に取り組む姿勢をアピールした。
  • (4)我が国は,SIDS諸国からの本件会議への参加費用支援として,合計4.4万ドルを国連信託基金に拠出した。

【参考】我が国が登録した11件の自主的取組(Voluntary Commitment)別ウィンドウで開く

  1. APECプロジェクト海洋観測と科学的根拠に基づく持続可能な海洋ガバナンスワークショップの開催
  2. 大洋州地域廃棄物管理改善支援プロジェクト(フェーズ2)
  3. コーラル・トライアングルにおけるブルーカーボン生態系とその多面的サービスの包括的評価と保全戦略
  4. 沿岸・海洋資源管理アドバイザー派遣
  5. アジア太平洋3R推進フォーラムの開催
  6. アフリカきれいな街プラットフォーム・プログラム
  7. マイクロX線CTを用いた炭酸塩骨格密度測定技術の国際標準化に向けた取組
  8. SDGs14に向けた海洋観測網の拡充のための取組
  9. SDG14に貢献する海洋生物や海ごみに関するデータの公開・共有・利用に向けた取組
  10. 北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)を通じた海洋環境保護活動の実施
  11. 日中韓3か国環境大臣会合(TEMM)を通じた海洋ごみ管理活動の取組


Get Adobe Reader(別ウィンドウで開く) Adobe Systemsのウェブサイトより、Acrobatで作成されたPDFファイルを読むためのAdobe Readerを無料でダウンロードすることができます。左記ボタンをクリックして、Adobe Systemsのウェブサイトからご使用のコンピュータに対応したソフトウェアを入手してください。

地球環境へ戻る