地球環境

令和3年12月24日

 令和3年11月29日(月曜日)から12月3日(金曜日)まで、第57回国際熱帯木材理事会がオンラインで開催されたところ、概要は以下のとおりです。

1 出席者

 約40の加盟国及びEUの政府関係者、及びオブザーバーとして国連食糧農業機関(FAO)等が参加しました。我が国からは、外務省、林野庁及び環境省の担当者が出席しました。

2 要点

(1)国際熱帯木材協定の延長

  「2006年の国際熱帯木材協定」は、持続可能かつ合法的に管理された熱帯木材の貿易拡大・多角化や熱帯林の持続可能な経営の促進等を目的とした国際商品協定で、国際熱帯木材機関(ITTO)は同協定に基づいて設置されています。同協定は、2011年12月7日に発効し、有効期間が2021年12月6日までとなっておりましたが、今次理事会において、同協定第44条の規定に基づき、同協定の有効期間を更に5年間延長し、2026年12月6日までとすることが決定されました。

(2)ITTO戦略的行動計画2022-2026の策定

   ITTOの活動において戦略的に取り組むべき優先事項を定めた「戦略的行動計画」について、今次理事会において、2021年まで延長されていた現行計画に代わる新しい「戦略的行動計画2022-2026」に関する議論が行われ、承認されました。新計画では、ITTOの活動における4つの戦略的優先事項及び4つの横断的項目が決定されています。

【戦略的優先事項】

  • ア 持続可能な森林経営と合法で持続可能なサプライチェーン・貿易を推進するガバナンス措置の向上及び投資の拡大
  • イ 熱帯木材セクターによる国・地域の経済や生計向上への貢献
  • ウ 熱帯林の減少・劣化の削減、生物多様性・生態系の保全への貢献
  • エ 木材市場・貿易・統計情報の向上と活用

【横断的戦略】

  • ア 本行動計画を進めるための加盟国の能力向上を支援
  • イ 効果的・効率的なITTO組織運営の実施
  • ウ 新型コロナからの回復における森林セクターの役割強化
  • エ ジェンダー平等と女性の社会的地位の向上の促進

(3)ITTOと他機関の連携強化

 ITTOの役割や重要性が今後ますます国際社会に認識されるために、日本の提案により、国際熱帯木材協定第15条に基づき、他の関連国際機関や地域機関との協議及び連携状況について情報共有が行われ、今後の方向性が議論されました。ITTOプロジェクトが他の国際機関や多国間組織による大規模なフォローアップ・プロジェクトの資金調達に役立った例が紹介され、ITTOの先進的な事業取組/ガイドライン等が世界の森林セクターにおいて大きな波及効果を生むことが認識されたほか、今後、新戦略的行動計画や新しい資金調達構造の試行の下で、他機関との連携を通じて影響力を世界に発揮していくことが決定されました。

(4)ITTO事務局長の選出

 2021年3月末のディタレ前事務局長の任期満了に伴い空席となっていた事務局長ポストについて、今次理事会において、3名の最終ショートリスト候補者の中から次期事務局長を選出するプロセスが行われた結果、最終的にシャーム・サックル氏(マレーシア出身)がコンセンサスにより選出されました。


地球環境へ戻る