北極・南極
第38回南極条約協議国会議(ATCM)
平成27年6月30日
6月1日~6月10日,第38回南極条約協議国会議がソフィア(ブルガリア)において開催されたところ,概要は以下のとおり。
1.南極条約体制の運用等
第37回協議国会議からの期間に,南極条約にモンゴル,カザフスタンが締結し,締約国数が52に,また,南極条約環境保護議定書にベネズエラ,ポルトガルが締結し,締約国数が37となった。また,南極条約協議国会議と環境保護委員会との関係,情報交換および協力関係を深めていくための議論が行われた。
2.観光,非政府活動対策,安全,救難等
- (1)ヨットによる観光,無人飛行機(UAV)等,南極における観光の多様性や,技術の進歩による新たな課題への取り組みに関する議論が行われた。
- (2)認証に関する特別作業部会が設置され,各国の南極観測,観光の際の主管担当官庁の認証,許認可に関して,各国の法制度の相違に基づく情報交換,経験の共有,協力体制の構築につき議論された。
3.教育及びアウトリーチ活動に関するワークショップ
南極の環境問題に向けて,各国の国民への教育,啓蒙活動が重要であるという観点から,ワークショップが開催され,各国の南極問題に関する教育及びアウトリーチ活動の情報や経験が共有された。また,我が国の教育およびアウトリーチ活動に関してプレゼンテーションを行った。
- 参考資料(英語)(PDF)
(2.7MB)
4.環境保護に関する南極条約議定書採択25周年記念シンポジウムの開催
第39回協議国会議において,南極地域の環境問題に更に取り組むために,25周年となる2016年に記念シンポジウムを開催するとともに,25年間の成果及び今後の課題をとりまとめたオンライン出版の取組を進めていくことになった。
5.環境保護に関する課題(第18回環境保護委員会)
- (1)17件の南極特別保護地区(ASPA)の管理計画改定案及び1件の特別管理地区(ASMA)の管理計画改定案が合意された。また,ベラルーシから基地建設に関する最終的な包括的環境影響評価(CEE)が提出された。2件の南極史跡記念物(HSM)の新規設定が合意された一方,新たなガイダンスが策定する必要となり,それまで,HSMの新規設定を凍結することとなった。
- (2)南極に関する情報を集積した南極環境ポータルの開発の完了が報告され,その運用が開始された。また,南極の気候変動問題に取り組む気候変動対応作業プログラムが合意され,今後フォローアップしていくことになった。
- (3)第39回協議国会議まで、環境影響評価(EIA)ガイドライン及び非在来種マニュアルの見直しに関する会期間コンタクトグループが設置され,継続議論されることになった。