外交政策

平成26年5月9日

1.日程・場所

5月8~9日、メキシコ・メキシコシティ

2.参加国

(1) 世界の排出の大部分をしめる主要経済国を中心とする23カ国(日、米(共同議長)、英、仏、独、伊、加、露、中、印、韓、豪、墨(共同議長)、南ア、伯、インドネシア、EU(ギリシャ(議長国)及び欧州委員会(EC))、ニュージーランド、ポーランド(COP19議長国)、ペルー(COP20議長国)、サウジアラビア、シンガポール、マーシャル)、国連、及びADP共同議長が参加した。(我が国からは、香川外務省地球規模課題審議官他が出席。)
(2) 議長は、グエラ・アブド墨環境資源大臣とアトキンソン米大統領次席補佐官が共同で務めた。

3.議論の概要

(1) MEFアクション・アジェンダ
 「MEF建築物エネルギー効率性向上イニシアティブ」は、前回会合を踏まえ、MEFからIPEEC(International Partnership for Energy Efficiency Cooperation:国際省エネルギーパートナーシップ)に対し、建築物のエネルギー効率に関するMEFにおける協力分野の特定等についての検討を委託しており、右結果が報告書として取りまとめられるところ、各国が右報告書を検討し、次回MEF19において議論することになった。
 
(2) 2015年合意
(イ) 緩和
 COP19決定を踏まえ、各国がCOP21に十分に先立って、準備のできる国は2015年第一四半期に提出することが招請されている約束草案(nationally determined contributions)の提出に向けた各国の準備状況につき、冒頭、議長である米国より、主要経済国であるMEF諸国が2015年第一四半期の提出に向けて取り組むことが重要と述べた後、各国が総選挙等、提出に影響しうる国内事情を説明しつつ国内準備の状況を説明した。
また、約束草案に含まれるべき情報の内容、約束の期間を統一すべきか否か、提出にあたって定めるべきルールの在り方、各国の約束草案に対するCOP21までの検討プロセスの在り方等について、各国が意見を述べ合った。
 
(ロ) 差異化(differentiation)
 気候変動枠組条約4条1の共通だが差異のある責任と能力の原則(CBDR-RC)を、2015年合意にいかに反映すべきかを議論した。
各国が自己決定に基づいて約束草案を提出するとのCOP19決定を踏まえつつも、長期目標と各国が提出する目標を足し合わせた削減量との乖離が予想される中、同条約の二分論に基づき先進国からなる附属書I国の義務と途上国を中心とする非附属書I国の義務は峻別されるとの主張が、一部の新興国からなされた。これに対し、同条約発効後の国際社会の現実が大きく変化し、世界の温室効果ガス排出量に占める先進国と新興国等の排出の割合も変化する中、単純な二分論は当てはまらず、各国が自己決定に基づいて最善の約束草案を提示することによる自ら差異化されるべきとの主張が、先進国を中心に行われた。
 
(ハ) 適応
 最新のIPCC第五次報告書(第1,2,3作業部会)を踏まえ、地球温暖化に対する適応は重要課題であるとの認識が強まっており、適応は2015年合意の重要な要素である点につき各国が言及した。適応への脆弱性等は各国事情により異なることを踏まえて、各国が自国の開発戦略を含む政策に適応の視点を主流化すべき、あるいは開発援助において適応への支援を重点化する等、各国が取組や考え方を述べた。
 適応への支援の重要性の関連で、緑の気候資金(Green Climate Fund)の早期の完全稼働への期待と、これに対する拠出への考え方に一部の諸国が言及した。
 
(ニ) COP20及び21に向けて
 COP20主催国のペルー、及び2015年合意を採択するCOP21主催国のフランスをはじめとする各国が、今後の約1年半のプロセスと各々COPに向けた課題を述べた。各国は、COP20で議論される約束草案提出に際する情報と、2015年合意の要素の検討、本年9月の国連気候サミットなどを通じて2015年合意に向けた機運を高めることや主要経済国首脳が参加するG20における気候変動の議論の重要性等に言及した。
 
(3) 次回会合
 MEF19は7月にパリにて開催予定。「MEF建築物エネルギー効率性向上イニシアティブ」に加え、2015年合意の要素につき、資金やその他の要素を含め議論される予定。
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