気候変動
EU主催気候変動と安全保障に関する閣僚級会合(結果)
平成30年7月2日
6月22日,ベルギー・ブリュッセルにおいてEU主催による気候変動と安全保障に関する閣僚級会合が開催され,各国閣僚や国連関係者や専門家が気候変動に起因する安全保障上の脅威について議論を行った。
本会合の概要は以下のとおり。
1 会合の概要
(1)日程・場所
6月22日 於:ベルギー・ブリュッセル
(2)主催
EU
(3)主要な出席者等
モゲリーニEU外交安保担当委員,カニエテEU気候変動担当委員のほか,インド,スウェーデン他5か国の先進・途上国の閣僚級,ステアWRI所長ほか5国際機関の代表が出席。我が国からはとかしき環境省副大臣,塚田外務省国際協力局参事官の他,環境省関係者が出席した。
2 議論の概要
- (1)本会合は,モゲリーニEU外交安保担当委員の主催により,気候変動が安全保障と平和に与えうるリスクに取り組む喫緊性及び重要性への理解を更に深める目的で開催され,各国閣僚や国連関係者や専門家が気候変動に起因する安全保障上の脅威について議論を行った。
- (2)本会合では,主要論点のプレゼンテーション及びパネル形式での議論が行われ,気候変動による安全保障上の脅威に対する最善の対策が認識されたほか,問題が重大化する前に気候リスクの想定や管理ができるよう,地域社会や国会の強靭性を高めることにより,脆弱性を減少させる方法が確認された。
- (3)多数の出席者より,気候と安全保障に対処するための多国間協力の強化や気候変動対策を平和維持や紛争予防,気候変動に起因する自然災害のリスク削減の手段とするべく更なる行動の重要性が強調された。
- (4)出席者からは以下の発言があった。
ポール・マーシャル諸島共和国環境大臣より,気候安全保障は抽象概念ではなく,気候変動は既に島嶼国にとって最大の脅威であると指摘した上で,多国間での対応の必要性について言及。
スワラジ印外相より,インドにおける再エネの拡大,途上国としてのチャレンジ等につき言及。
ワルストロム・スウェーデン外相より,気候変動の脅威を認識する必要性を指摘の上,国連がEU等と連携しながら国際的な取組を主導すべきと強調。
バイニマラマ・フィジー首相より,気候変動に立ち向かう上で途上国,特に小島嶼国が最も脆弱であり,国際社会からの資金支援が不可欠であることが強調されたほか,フィジーもタラノア対話の創設・主導という形で貢献していることを紹介するとともに,我が国がタラノア対話ウェブサイトを立ち上げ,盛り上げに貢献していることに謝意を表明した。
解振華・中国気候変動代表より,パリ協定の達成に向けた着実な取組の重要性,そのための国際協力の必要性を指摘。 - (5)我が国は,とかしき環境副大臣から,災害の多い日本においては,適応法が成立するなど関係者が一丸となって気候変動の影響に対応していく準備を進めていることを紹介。また,気候変動のリスクを外交に適切に反映させることが重要である旨指摘し,日本は気候変動と脆弱性の影響を踏まえた政策立案を促すことを目指して,アジア・太平洋地域における分析報告書を作成するなど,議論を主導していることを紹介し,今後,ビジネス関係等の幅広いステークホルダーの関与も得ながら対策を進めていくことの重要性にも言及した。