気候変動

アジア太平洋地域におけるCOP23準備ワークショップ

(第26回気候変動に係るアジア太平洋地域セミナー)の開催

平成29年10月6日

  • (写真1)全体写真
  • (写真2)オープニング
  • (写真3)グループディスカッション

1 会合の経緯

 気候変動に係るアジア太平洋地域セミナーは,日本の環境省およびオーストラリア外務・貿易省の共催により,アジア太平洋地域における気候変動問題に係る取組,認識の向上,対策に関する経験の共有,国際協力の促進等に貢献することを目的として1991年より地域内各国で開催されてきました。
 今年はこのセミナーを,11月にドイツのボンで開催される国連気候変動枠組条約第23回締約国会議(COP23)の議長国を務めるフィジーを支援するべく,COP23準備ワークショップとして位置付け,日本の環境省,外務省およびオーストラリア外務・貿易省の共催で開催されました。このワークショップは,小島嶼国の担当官を中心に招聘し,適応計画策定・実施を効果的・効率的な実施,2020年以降の透明性の枠組み等について技術的・実務的な観点から議論を行うことを目的に行われたものです。

2 日時・場所・主催

  • (1)日時:9月26日(火曜日)・27日(水曜日)
  • (2)場所:フィジー・スバ
  • (3)主催:環境省,外務省,オーストラリア外務・貿易省(共催)

3 参加国・機関

 豪州,EU,フィジー,日本,キリバス,マーシャル諸島,ナウル,ニュージーランド,サモア,ソロモン諸島,ツバル,タイ,インドネシア,その他国際機関及び研究機関等。

4 議論の概要

(1)COP23議長国としてフィジーへの期待

 フィジーはCOP23の議長国の役割として以下のような説明を行いました。まず,科学に基づいた気候変動対策,国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局の取組,実施指針策定プロセスを促進すること,そして,2018年の促進的対話のデザイン,脆弱国のレジリエンス(強靱性)強化を進め,非政府主体と連携し,イノベーション・投資を活用していく旨表明しました。また,海洋関連の取組と気候変動の影響を関連付ける必要性についても言及しました。フィジーは,COP23におけるBula Spirits(Bulaは,フィジー語で友愛,包括を意味)とTalanoa(Talanoaは,フィジー語で経験や知見を共有するとの意味)の促進を議長国としての役割として改めて表明しました。

(2)適応計画における気候リスクアセスメント

 アジア太平洋地域では,これまでにも各国の適応計画策定作業に前進が見られます。気候に関するリスクアセスメントは,脆弱性に関する共通理解を持ち,こうした課題への取組において,どのような優先順位を付けていくかについて,各国間で合意するための基礎となります。
 近年は,気候変動と安全保障について,気候変動の影響がアジア・太平洋地域を含む世界の脆弱な国・地域における人々の暮らしと経済を脅かすという脆弱性リスクが,国際的関心を集めています。こうした脆弱性リスクに対応するためには,国際的なレジリエンスを強化し,従来の適応分野にとどまらない政策が求められます。また,各国間の協調と,民間セクターを含む様々なステークホルダーの関与が必要です。最近の研究結果によれば,気候に関するリスクアセスメントの関連データによりアクセスしやすくなっていますが,こうしたデータを適応計画にどう活用していくかについては,各国の知見が十分ではないことが課題としてあげられました。

(3)適応計画の推進と実施における課題

 適応計画の推進と実施には,政府と,国内の様々な当事者・利害関係者(ステークホルダー)の連携が必要です。一方で,多くの国では省庁間,機関間の連携において課題を抱えています。国内の適応計画は地域の適応計画と関係が深く,中央政府は地域政府を含めた様々なステークホルダーとパートナーシップを構築していくことが,適応計画を進めていく上で重要であることが確認されました。

(4)透明性枠組

 パリ協定における透明性枠組に関し,各国の取組がそれぞれ紹介されました。各国がこの透明性枠組に関する取組を通じて得た教訓や課題を他国に共有し,これらについて互いに助言や提案をすることで,今後の取組を改善していくことが期待されています。透明性枠組に基づいた国際的な報告制度は,すべての締約国に求られていますが,それぞれの国内事情によって目指すべき形態は様々です。特に小島嶼国はこうした取組における,報告のための能力(キャパシティ)の確保,維持に関し課題を抱えており,解決策の一つとして,国単位ではなく地域単位で取組んでいくことが有効との意見が出されました。近年は,非政府主体による気候変動対策に関する取組の透明性確保についても,関心が高まりつつあり,こうした取組の透明性確保に務めることは,政府が民間セクターと連携を進める上で有効な機会となると考えられます。

5 会合の意義

  • (1)このワークショップは,フィジーの国内における気候変動週間(Climate Change Week)の最中に開催され,フィジー政府からも,COP23に向けたフィジー及び大洋州島嶼国の関心を高め,知見を強化する上でも有意義な会合であったとの評価を得ました。日本がCOP23議長国であるフィジーを積極的に支援していく姿勢を,フィジー政府の気候変動関係部局に強く印象づけることができたと評価できます。フィジーの気候変動週間の最終日である9月29日の閉会イベントにおいては,バイニマラマ・フィジー首相が,COP23議長国のフィジーに対して支援を行った国々の名前を挙げた中に,日本を含めていたことも,この表れと言えます。
  • (2)また,会合に出席した他の大洋州諸国の気候変動問題担当者からも,今回のワークショップ開催に当たっての日本のイニシアチブを評価し,感謝するとの意見が多数表明されました。今回のワークショップでは,パリ協定に基づく各国の義務の実施に当たっての様々な課題について,率直な意見が表明されると共に,お互いの知見が共有され,参考になったとの声も聞かれました。こうした取り組みが,COP23を含む今後の気候変動交渉における実効的な国際ルール作りの基盤となっていくと考えられます。
  • (3)今回のワークショップにおいては,気候変動がもたらす脆弱性のリスクについて,日本国内だけでなく,アジア太平洋諸国が被る中長期的な課題や問題点についても,率直な意見が交換されました。日本が公表した気候変動と脆弱性に関する報告書についても,その内容について各国から高い関心が示されるとともに,気候変動と安全保障を関連づけ,自然災害等を含む気候変動がもたらす影響を,どのように対処し,各国のレジリエンス(強靱性)を高めるかについても意見交換をすることができました。こうした議論は,日本の気候変動分野における対外的な発信を強化するだけでなく,持続可能な開発(SDGs)や国際協力,防災をはじめとする様々な外交分野における協力の素地となることが期待されます。

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