ODAと地球規模の課題

令和5年12月18日
文書交換式に臨む上川外務大臣 カンボジア王国との文書交換式 (写真提供:内閣広報室)

 12月18日、東京で実施された日・カンボジア首脳会談の後、岸田文雄内閣総理大臣及びフン・マネット・カンボジア王国首相(Samdech Moha Borvor Thipadei HUN Manet, Prime Minister of the Kingdom of Cambodia)の立ち会いの下、我が方、上川陽子外務大臣と、先方、ソック・チェンダ・サオピア・カンボジア王国副首相兼外務国際協力大臣(H.E. Mr. SOK Chenda Sophea, Deputy Prime Minister and Minister of Foreign Affairs and International Cooperation of the Kingdom of Cambodia)との間で、カンボジアに対する計3件の無償資金協力(合計43.00億円)に関する書簡の交換が行われました。対象案件の概要は、それぞれ以下のとおりです。

  1. 電子政府の推進に向けた国立データセンター整備計画【無償資金協力:供与限度額23.00億円】
     カンボジアでは、急速な経済成長を背景に、2022年1月に「カンボジア・デジタルガバメント政策2022-2035」を策定し、行政サービスの電子化を進めています。本計画は、電子政府を推進する同国に対して、その中核となる国立データセンター構築に係る機材を供与することにより、同国政府における電子基盤の整備や行政サービスの向上を図り、同国のデジタル経済社会の発展に寄与するものです。
     昨年3月に発出された日本・カンボジア王国共同声明では、新たな分野としてデジタル分野での協力強化の重要性を確認しており、本計画は同声明の趣旨に合致するものです。さらに、本件は本年6月に改定した開発協力大綱において打ち出した「オファー型協力」としてカンボジアと合意した協力メニュー「デジタル経済社会の発展支援」の一部であり、二国間関係の更なる強化に貢献することが期待されます。
  2. 航海用電子海図作成のための水路測量船建造計画【無償資金協力:供与限度額10.00億円】
     カンボジアでは、急速な経済発展により貨物需要が急増する一方、航路用電子海図の作成に必要不可欠な水路測量を実施可能な船舶を有していない状況にあります。本計画は、同国に対して水路測量船を供与し電子海図を継続的に更新する体制整備を支援することで、我が国が継続的に支援してきたシハヌークビル港を始めとする沿岸域の航行安全を確保し、同国の基幹航路の誘致の促進や国際競争力の強化に寄与するものです。
     昨年3月に発出された日本・カンボジア王国共同声明では、シハヌークビル港を地域の中核港として機能させるべく最大限協力していくことで一致しており、本計画は同声明の趣旨に合致するものです。また、本計画は、同国の貿易の拡大や連結性向上を支える同港の国際競争力の強化を支えるものであり、「自由で開かれたインド太平洋」の実現を後押しすることが期待されます。
  3. 首都圏における上水道施設のデジタル管理システム整備計画【無償資金協力:供与限度額10.00億円】
     発展を続けるカンボジアの首都プノンペンでは、プノンペン水道公社の管理対象が拡大、複雑化しており、より効果的、効率的な水道運営が課題となっています。本計画は、プノンペン水道公社が所有する浄水場の送水や配水に関するデータを統合し、集中制御するための機材及びシステムを供与することで、より効果的かつ効率的な水道運営を促進し、同国の経済社会開発計画に寄与するものです。
     昨年3月に発出された日本・カンボジア王国共同声明でも、デジタル分野における協力推進を確認しており、我が国が継続的に支援してきた上水道分野において、カンボジアが抱える課題を、「プノンペンの奇跡」を支えた我が国のデジタル技術を活用して解決し、同国の更なる発展に貢献する本計画は、二国間関係の更なる強化に貢献することが期待されます。
(参考)カンボジア王国基礎データ

 カンボジア王国は、面積約18万平方キロメートル(日本の約0.48倍)、人口約1,695万人(2021年、世界銀行)、人口1人当たりの国民総所得(GNI)は1,550米ドル(2021年、世界銀行)。


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