ODAと地球規模の課題

令和2年6月16日

 日本政府は,これまで各開発途上国や経済発展段階や地域の実情に応じた人材育成ニーズに合わせて,理数科などの基礎教育や工学系高等教育の拡充に加え,技術者,エンジニア,研究開発者,経営人材,将来の産業政策の策定を担う若手行政官等の幅広い分野で人材育成を支援してきました。また,日本での研修プログラムの中では研究・実学・ビジネス実践等の機会を提供し,日本との架け橋としても貢献する人材を育成してきました。

 外務省及びJICAは,「日本再興戦略2016(PDF)別ウィンドウで開く」(2016年6月閣議決定)および「未来投資戦略2017(PDF)別ウィンドウで開く」(2017年6月閣議決定)に基づき,2017年度から「イノベーティブ・アジア」という新たな高度人材育成事業を実施しています。
 この事業は,アジアの開発途上国等の優秀な理系人材が日本の企業等で就労してイノベーションの促進に貢献することに加え,いずれは自国の産業発展を担う中核人材ともなるよう,アジアの高度人材の育成及び環流を促進させるためにODA等を活用するものであり,アジアのトップレベルの大学を「パートナー校」として指定し,下記の3つの取組を行うものです。

イノベーティブ・アジア事業の取組

  • アジア途上国の特定のトップレベルの大学(「パートナー校」として指定)で主に情報技術(IT),IoT(Internet of Things),人工知能(AI)等に関連する理系分野に従事する優秀な人材を対象に,日本の大学院等での留学や日本企業でのインターンシップの機会を提供します。2017年度から2021年度までの5年間でアジア全体から約1,000人の受入れを目指します。
  • 在外公館,JETRO,JICA等が有機的に連携して,日本企業への就職に関心を持つ者を対象にしたジョブフェアの開催や情報提供サービスを国内外で実施します。
  • 2017年6月から,本事業で一定(1年以上の研修契約期間)の研修を了した参加者や「パートナー校」の卒業生が日本での就職を希望する場合,(1)在留資格取得上の優遇措置(高度人材ポイント制の特別加算別ウィンドウで開くや(2)提出書類の簡素化(PDF)別ウィンドウで開く)を講じます。
    • (1)高度人材ポイント制の特別加算:
      イノベーティブ・アジア事業の下,(ア)本邦でJICAが実施する研修(研修期間が1年以上のもの)を修了した学生については5点,(イ)「パートナー校」として指定を受けている大学の卒業者(当該大学の大学院の修了者を含む。)については10点の加算の対象となります。
    • (2)提出書類の簡素化:イノベーティブ・アジアの研修員として,JICAが発行する研修修了証明書を提出した場合は,学歴及び職歴その他の経歴等を証明する資料は原則として提出を省略できます。

1 事業目的

 本事業は,来日したJICA研修員が,高い水準のイノベーション環境を有する日本の大学院での研究や日本企業又は母国に所在する日系企業での就労を通じて産業のイノベーションの促進の一翼を担うことや,そのような経験を活かして母国の更なる発展を担う中核人材となってアジアの開発途上国が抱える「中所得国の罠」等の課題の克服に資することを目指すものです。本事業によって,日本を含むアジアにおいて知と人材の還流が一層活発になり,持続的な経済発展の基礎となるイノベーションが引き起こされ,日本と各国の紐帯がより強化されることが期待されます。

2 対象国及びパートナー校

  • (1)対象国及びパートナー校(PDF)別ウィンドウで開くについては,アジア地域のODA対象国12か国(インド,インドネシア,カンボジア,スリランカ,パキスタン,タイ,バングラデシュ,フィリピン,ベトナム,マレーシア,ミャンマー,ラオス)における60校とします。
  • (2)日本企業への就職等に関する情報提供の実施及び在留資格取得上の優遇措置(「高度人材ポイント制」の特別加算)の付与については,上記の12か国に加え,シンガポール及びブルネイにおける4校のパートナー校も含むものとします。(計14か国,64校)

3 研修内容

 本事業の研修は,アジア諸国にて産業開発を担う優秀な若手人材がJICA研修員として,高い水準のイノベーション環境を有する日本の大学院及び研究機関における研究活動や,本邦企業における視察・インターンシップ体験を通じて産業開発に貢献する技術や知識を習得・向上します。

4 研修員の受入期間及び事業実施期間

  • (1)2017年度から2021年度までの5年間にわたって新規研修員の受入れを行います。大学院での受入時期は,基本的に秋入学となります。
    • (注)研修期間は,修士課程の場合は最大3年間,博士課程の場合は最大4年間まで認めます。
      (正式履修前の研究生としての滞在期間(最長6か月)と大学院修了後のインターンシップ実習(最長6か月)を合わせた期間です。ただし,3年次~5年次(2019年度~2021年度)は研究生の受入れはなく正規課程のみで,博士課程,修士課程,専門職学位過程が対象となります。)
    • (注)そのため,事業全体の実施期間は,2017年9月~2025年3月となります。
  • (2)2018年度から,研修員の受入れは,滞日期間が1年以上の長期研修(修士課程・博士課程留学)のみならず,滞日期間が1年未満のインターンシップを含む短期研修も実施しています。

5 研修員のインターンシップに関する企業向け情報 

 インターンの受入れ(基本的に英語で実施)を希望する企業・研究機関は,下記のJICAの担当窓口まで御連絡ください。

6 研修員の受入れに関する本邦大学関係者向け情報

  • (1)1年次(2017年度)及び2年次(2018年度)の本邦受入大学はこちら(PDF)別ウィンドウで開くです。
  • (2)受入大学の必須要件や研修員の待遇等については,第2バッチ実施要領(PDF)別ウィンドウで開く第3~第5バッチ実施要領(PDF)別ウィンドウで開くを御確認ください。
  • (注)3年次(2019年度受入)~5年次(2021年度受入)は,学位取得部分に関しては文部科学省国費留学生制度を活用します。2018年度「国費外国人留学生・特別プログラム」採択プログラムはこちら(PDF)別ウィンドウで開くです。

7 担当窓口

  • 外務省 国際協力局政策課 TEL:03-5501-8357
  • 国際協力機構(JICA)国内事業部大学連携課(イノベーティブ・アジア事業担当)
    Email:tatuc_university@jica.go.jp TEL:03-5226-8734
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