平成23年9月23日
原子力安全強化等に向けた国際社会の努力をハイレベルで支持し,モメンタムを与えるために開催され,福島第一原発事故の影響,原子力安全の強化,原子力安全及び核セキュリティ,緊急事態対応の強化等について発言が行われた。開会セッションでは,潘国連事務総長による開会挨拶の後,ナスル国連総会議長,天野IAEA事務局長(ビデオ・メッセージ),ルーセフ・ブラジル大統領,サルコジ・フランス大統領,野田総理,ナザルバエフ・カザフスタン大統領,李明博韓国大統領,ヤヌコーヴィチ・ウクライナ大統領による演説が行われた。
発言者からは,我が国に対する連帯の表明,原子力安全の国際的強化のための国際原子力機関(IAEA)の強化の必要性,IAEA総会で確定した原子力安全に関するIAEA行動計画の重要性等が表明された。また,本件会合には,多くの国の外相が出席し,異口同音に,事故に遭遇した日本への連帯,原子力安全向上の必要性,事故の際の情報共有の重要性,そのためのIAEAの重要な役割等々が述べられた。
総理夫妻は,各国の首席代表,国際機関職員,日系企業関係者ほかを招待し,レセプションを主催した。冒頭,野田総理からは,レセプションの開催目的は2つ,即ち,第一には,今般の震災に際し,日本が160以上の国・地域,40以上の国際機関から受けた温かい支援に日本人,日本国の感謝の気持ちを代表として示すこと,第二は,世界への「恩返し」として日本が困難を乗り越え,地球規模の課題に果敢に取り組み,世界の平和と繁栄に貢献していく旨述べた。また,野田総理より,スピーチの最後に,日本の感謝と復興への決意を感じてほしいとして,被災地産の日本酒を提供していることを紹介。
レセプションには,キバキ・ケニア大統領,オトゥンバエヴァ・キルギス大統領,ラージャパクサ・スリランカ大統領,多数の首脳,外相級を含む75か国の代表のほか,国際機関幹部職員,日系企業関係者など,約170名が出席した。
21日(水曜日)から始まった一般討論演説では,「紛争解決における調停の役割」のテーマの下,各国の首脳,閣僚等が演説を行った。
野田総理は23日(金曜日)に演説を行い,(1)日本が東日本大震災から再生し,平和で繁栄したより良い未来の実現のため一歩一歩前進する決意,(2)世界経済の成長と日本経済の再生,原子力安全,グローバルな諸課題への対処,そして国連改革などの分野で国際貢献に取り組む決意,(3)新たな3つのコミットメントを表明し,概要以下を述べた。
東日本大震災において世界中より示された友情と連帯に感謝。復旧・復興に最優先に取り組み,一日も早い日本の再生を実現する,東京電力福島原発事故については想定した工程の予定を早めて作業を進展させるべく全力を挙げる。
中間層の育成を重視しつつ,引き続きODA等の途上国支援を推進する。財政健全化と経済成長の両立に向け取り組む。日本と世界の経済連携を強化する。また,持続的な経済成長のため,グリーン経済への移行を推進,来年の夏を目途に大胆なエネルギーシフトを目指した戦略を打ち出す。
防災については,来年に国際会議を被災地の東北で開催,2015年の第3回国連防災世界会議を日本に招致し,国際社会で主導的役割を果たす。原子力安全については,緊急的に行うべき安全対策や更なる規制体制の強化を進め,事故から得た教訓を生かし,国際的な原子力の安全性強化のため貢献する,また,来年,IAEAとともに国際会議を開催し,事故の総点検の結果を国際社会と共有する。
ソマリア沖海賊問題に対処する。テロの根絶のため,アフガニスタン支援を継続。国連PKOへの積極的な参加を通じ,平和構築に取り組む。「核兵器のない世界」の実現に向けて全力を尽くす。北朝鮮の核及びミサイルの問題の解決に向けて北朝鮮の具体的行動を求めるとともに,人権侵害という普遍的な問題である拉致問題については,すべての被害者の一日も早い帰国に向けて全力を尽くす。
国連の実効性と効率性を更に高めるために支援していく,国連強化のためには安保理改革が不可欠,日本は今会期において,改革の実現に向けた真の交渉を開始させ,具体的成果を得ることを目指す。
第1に,南スーダンの国づくりと地域の平和の定着のための支援を実施,国連南スーダン共和国ミッションへの司令部要員派遣の準備を進めるとともに,施設部隊派遣に関心があり,必要な現地調査を早急に実施する。
第2に,アフリカの角の子どもたちを直撃する干ばつ問題への対処として,既に実施した約1億ドルの支援に加えて,更なる人道的な支援を実施する。
第3に,中東・北アフリカ地域の改革・民主化努力を支援,インフラ整備・産業育成に資する事業に対し,新たに総額約10億ドルの円借款を実施する。チュニジア・エジプトの選挙支援,新生リビアの国づくり支援を行う。貿易・投資促進にも取り組む。また,中東和平については,二国家解決実現のためパレスチナ支援を含め取り組む。