国連

ダイス第65回国連総会議長の訪日(概要と評価)

平成22年11月1日

  • ダイス第65回国連総会議長は,10月26日から30日まで,外務省賓客として訪日。滞在中,名古屋にて開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)ハイレベル・セグメント開会式に出席,また,広島を訪問し,平和記念資料館視察や「非核特使」との対話等を行った。
  • ダイス議長は,松本外務副大臣,菅総理,前原外務大臣,横路衆議院議長,西岡参議院議長,国連関係議員連盟の国会議員等と意見交換し,安保理改革やグローバルな諸課題の解決に向けて,日本と国連が連携を一層推進していくことを確認。
  • その他,ダイス議長は,名古屋及び広島訪問の機会や国連大学での講演や記者会見を通じて,国民の幅広い層と対話し,国連の取組を紹介するとともに,日本の関心事項について理解を深めた。

1.主要行事の概要(実施順)

(1)松本外務副大臣との夕食会

 松本副大臣より,国際社会の中で国連が有用性を高める観点からも安保理改革が必要であり,国際社会において安保理改革について幅広い賛同を得るべく議論を進めていきたい旨述べた。ダイス議長より,加盟国間で緊密な協議を行っていくことが重要である旨発言。また,グローバルな課題への取組について,気候変動,MDGs,人間の安全保障,核軍縮・不拡散,PKO・平和構築分野等での連携を確認した。

(2)COP10ハイレベル・セグメント開会式

 10月27日,名古屋にて行われたCOP10ハイレベル・セグメント開会式に出席。ダイス議長より,開会式の挨拶において,9月に行われた生物多様性ハイレベル会合の報告を行い,COP10にて生物多様性の実質的な保護と持続可能な利用に向けた戦略計画を採択するべく会議の成功への期待を示した。

(3)菅総理大臣への表敬

 菅総理から,ダイス議長のCOP10ハイレベル・セグメントの開会式への出席及び広島における非核特使との対話を歓迎したところ,ダイス議長より,広島では,核軍縮に向けたメッセージのみならず,被爆者の方に心からの追悼のメッセージを捧げたい旨述べた。ミレニアム開発目標(MDGs)について,ダイス議長より,日本がフォローアップ会合を開催することを支持する旨発言したのに対し,菅総理より,「菅コミットメント」の今後の実施に向けてフォローしていきたいと述べた。また,安保理改革について協力していくことを確認した。

(4)前原外務大臣との会談

 核軍縮・不拡散について,前原大臣より,日本の取組について述べたのに対し,ダイス議長より,日本の核軍縮・不拡散分野でのリーダーシップを評価する旨発言。安保理改革については,前原大臣より,現在の安保理の枠組みは,今日の国際関係を反映していない旨述べたところ,ダイス議長より,加盟国の間で種々の立場の違いはあるが,プロセスを前に進めるために協力したい旨述べた。

(5)広島訪問

 10月28日,広島を訪問し,原爆死没者慰霊碑への献花,平和記念資料館視察,また,広島及び長崎で被爆した「非核特使」との対話を実施。ダイス議長より,これらの行事において被爆者に対する哀悼の意とともに,「核兵器のない世界」に向けて核軍縮・不拡散を進めていくとのコミットメントが示された。

(6)横路衆議院議長及び西岡参議院議長への表敬

 ダイス議長は,衆参両院議長をそれぞれ表敬。両議長より,ダイス議長のCOP10への参加及び広島訪問を歓迎。ダイス議長より,両議長に対し,国連の「核兵器のない世界」に向けた強いコミットメントを示すことを目的として広島を訪問した旨述べた。また,開発や人間の安全保障等のグローバルな諸課題についても意見交換を行った。

(7)国連関係議員連盟の国会議員との懇談

 ダイス議長より,日本の国連関係議員連盟の代表者と懇談し,第65回国連総会で取り上げる優先課題として,MDGsの達成,持続的な開発に向けての取組及び国連改革を含むグローバル・ガバナンスの3点を挙げた上で,出席議員と意見交換を行った。意見交換では,教育,安保理改革,軍縮,環境といった分野での取組や関心事項についてやりとりがなされた。

(8)その他

 国連協会関係者との夕食会が実施されたほか,国連大学において,「グローバル・ガバナンスにおける国連の中心的役割の強化に向けて」をテーマとする講演を行った。

2.評価

(1)グローバルな諸課題の解決に向けた協力関係の構築

 生物多様性,MDGsを含む開発といったグローバルな諸課題の解決に向けた,我が国の取組をアピールするとともに,これら課題の解決に向けて国連とともに取り組んでいくことの重要性が確認された。

(2)安保理改革を含む国連改革の進展に向けた協力関係の構築

 菅総理や衆参両院議長をはじめとする我が国の要人との会談等を通じて,安保理改革に関する我が国の考え方について,ダイス議長の理解を得るとともに,改革プロセスの進展に向けて協力していくことが確認された。

(3)「核兵器のない世界」に向けた機運の維持・強化

 8月の潘基文国連事務総長の訪問に続き,ダイス議長が広島を訪れ,「非核特使」との対話を通じて,核軍縮・不拡散への取組に対する国連のコミットメントを示したことは,我が国が目指す「核兵器のない世界」に向けた機運を高める機会となった。

3.日程

10月26日(火曜日)
本邦到着
松本外務副大臣主催夕食会
10月27日(水曜日)
COP10ハイレベル・セグメント開会式出席
菅総理への表敬
前原外務大臣との会談
千玄室日本国連協会会長主催夕食会
10月28日(木曜日)
原爆死没者慰霊碑への献花
平和記念資料館視察
広島及び長崎の「非核特使」との対話
マルセル・ジュノー博士記念碑及び原爆ドーム視察
広島県・市主催夕食会
10月29日(金曜日)
横路衆議院議長表敬
西岡参議院議長表敬
国連関係議員連盟の国会議員との懇談
駐日スイス大使主催昼食会
記者会見
国連大学での講演
駐日国連機関代表との懇談
国連大学学長主催夕食会
10月30日(土曜日)
本邦出発
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