
菅総理大臣の国際連合首脳会合出席(概要と評価)
平成22年9月22日
菅総理は,第65回国際連合総会の冒頭に開催された首脳会合に出席するため,9月22日にニューヨークを訪問したところ,概要は以下のとおり。
1.日程
9月22日(水曜日)
ニューヨーク着
国連首脳会合演説
2.概要
国連首脳会合は,ミレニアム開発目標(MDGs)を中心テーマとし,保健や教育などMDGs各分野の進捗状況や促進策が議論するため開催されたもので,開催期間は9月20日(月曜日)~22日(水曜日)。元首・首脳レベルが参加し,演説が行われ,首脳会合の成果として,MDGsの進捗における成功,引き続き残る課題,2015年までの行動指針を含む成果文書の採択が行われた。我が国からは菅総理が参加し,演説を行った。
国連首脳会合演説
- 菅総理は,国連総会首脳会合の3日目に演説を行った。その中で,菅総理は,最小不幸社会の理念に則り,MDGsの中でも保健医療,教育分野で具体的な貢献を表明。これを両分野に対する自身の決意を込めた「菅コミットメント」とした。
- より具体的には,菅総理は,国際社会への我が国の「約束」として,MDGs目標達成に向けた我が国の世界エイズ・結核・マラリア対策基金への当面最大8億ドルを含む保健分野への50億ドルの支援,教育分野への35億ドルの支援をそれぞれ2011年からの5年間で行うことを発表した。また,支援のあるべき姿を国際社会に示すべく,母子保健支援モデル"EMBRACE"(Ensure Mothers and Babies Regular Access to Care)及び基礎教育支援モデル「スクール・フォー・オール」を提案。併せて,幅広い関係者の連携強化のために,日本は国際的な対話の場を提供することも発表した。MDGsは次世代への,守られるべき約束であるとし,残された時間がわずかな中,加盟国が,2015年までの達成に向けた決意を新たにし,共に行動するよう訴えた。
3.評価
- 5年に一度の首脳会合の場に多数の首脳級がNYに集まり,我が国からも,菅総理が出席して演説を行い,開発分野における主要なプレーヤーとして,MDGsの達成に向けた強い決意を示すことができた。我が国は保健,教育分野における具体的な貢献を示したことで,途上国を始めとする多くの国や関係機関から感謝や評価が表明された。
- また,我が国が保健と教育の両分野で国際社会に提示した支援モデルは,途上国政府が導入し,ドナー国や国際機関も一体となって,結果をきちんと出すことを目指す国際潮流を作る上で重要な役割を担うものであり,我が国が先頭に立って国際社会の議論を主導する姿勢を示した。
- 首脳会合で採択された成果文書には,我が国が外交の柱として推進する「人間の安全保障」への言及,我が国が主張してきた各ゴールに対する包括的な取組や市民社会,民間セクターを含んだすべてによる取組の強化が含まれた。また,支援モデルにおいて我が国が重視した保健,教育の分野支援における要素にも言及があった。首脳会合の機会に,国際社会が2015年に向けた重要な要素に合意し,今後の方向性を明らかにしたことは大きな成果。