国連

第65回国連総会における生物多様性ハイレベル会合
(概要と評価)

平成22年9月23日

  • (写真)生物多様性ハイレベル会合
  • (写真)生物多様性ハイレベル会合で演説する前原外務大臣

 22日、終日にわたりニューヨークの国連本部ビルにおいて標記生物多様性ハイレベル会合が開催され、我が国からは前原外務大臣及び松本環境大臣が出席したところ、その概要以下のとおり。なお、本ハイレベル会合は、本年の「国際生物多様性年(IYB)」への貢献として開催されたもので、その結果は名古屋で開催される生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で報告されることになる。

1.概要

  1. (1) 午前に始まった開会式においては、国連総会議長(主催)、事務総長、イエメン(G77プラス中国代表)、ブラジル、ドイツ(COP9議長国)、日本(COP10議長国)、EUの代表が演説した。その中では、(イ)各国から来10月に名古屋で開催されるCOP10がきわめて重要との認識、(ロ)特に、2010年以降の新たな世界共通の新しい目標(新戦略計画)、遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)に関する議定書、それらを達成するための資金メカニズムについての合意を目指すという決意、(ハ)「生物多様性と生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES:生物多様性に関して科学的見地からの分析を行う新組織)」設立への期待が示された。
  2. (2) 我が国からは、前原外務大臣が開会式にて演説し、(イ)COP10の主催国として、上記主要課題の合意に向けて最大限努力する旨を表明し各国の支持を求め、(ロ)2011年から10年間を「生物多様性の10年」とすることを提唱し、(ハ)また、IPBES設立への国連総会での議決等を訴えた。また、(ニ)農林水産業などの人間の営みを通じて醸成された各地域の自然環境の保全と持続可能な利用のための国際的な取り組みである「SATOYAMAイニシアティブ」を紹介し、(ホ)さらに、COP10で新たな世界共通の目標が合意されれば、日本として途上国支援を行う用意がある旨を表明した。
  3. (3) 引き続き午前のセッションでは、松本環境大臣が演説し、(イ)「自然との共生」をテーマとしているCOP10の議長として、主要課題への合意を目指す決意を表明するとともに、(ロ)COP10では「SATOYAMAイニシアティブ」を提案すること、(ハ)歴代COP議長国の環境大臣会合でCOP10での合意成立にすべての国が努力すべきことが確認されたこと等に言及した。さらに、午前及び午後のセッションでは各国から活発な発言があった。
  4. (4) 22日夜に行われた閉会式では、総会議長が口頭で、上記(1)の諸点に言及するとともに、気候変動と生物多様性の問題の相互連関性、IPBESの設立の重要性等を指摘して議論を総括した(これに対しベネズエラが右議長総括は加盟国のコンセンサスではないと反論する一幕があった。)。

2.評価

  1. (1) 本ハイレベル会合は、生物多様性が国連総会のハイレベルの場で初めて議論された画期的な会合。名古屋でのCOP10への期待が数多く表明され、COP10を前に国際的な合意に向けての努力の気運を高めることとなった。
  2. (2) 我が国からは、前原外務大臣、松本環境大臣が演説し、議長国としての我が国の意気込み及びリーダーシップを印象づけることとなった。
  3. (3)なお、議長が言及したように、幾つもの国が気候変動と生物多様性の問題の相互連関性を強調した。2012年は気候変動枠組み条約及び生物多様性条約が合意された地球環境サミットから20周年ということもあり、今後このような思潮は強まっていくと予想される。

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