
MDGs国連首脳会合 成果文書(主要ポイント)
平成22年9月22日
1.約束を守る-ミレニアム開発目標達成に向けた団結(パラ1~18)
- ミレニアム宣言及び世界サミットから生じる開発目標及びコミットメントを想起し,すべての人々の経済的,社会的進展の促進のため協働する決意を再確認。(パラ1)
- ミレニアム開発目標が相互に関連し補強し合う関係にあることを認識。全体的で包括的なアプローチを通じこれらの目標を追求する必要性を強調。(パラ13)
- 市民社会,民間セクター,そして現地社会,国家,地域及び世界的なレベルにおけるその他の関係者に対し, MDGsの2015年までの達成に向けた貢献の強化を求める。(パラ17)
2.混沌とした状況―成功,一様でない進展,課題と機会(パラ19~35)
- MDGsのいくつかのターゲットの実現に向け重要な成功を収めたことを認識。極度の貧困との闘い,就学率と乳幼児の健康の改善,乳幼児の死亡率の削減,水へのアクセス拡大, HIV/エイズの予防,治療及びケアへのアクセス拡大等において成功。(パラ19)
- 地域間,国家間,そして国内で進展が一様でないことから,更なる取組の必要性を認識。特に,妊産婦の死亡削減,妊産婦及び生殖に関する健康の改善における進展の遅れに重大な懸念。他のMDGsの進展も不安定であり,逆行を阻止すべく進展を持続させなくてはならない。(パラ20)
- 総会議長によって開催され,加盟国から人間の安全保障に関する異なる見解が表明された初の公式討論,及び人間の安全保障概念の定義付けに向けて続けられている努力に留意。その定義について総会において引き続き議論し,合意に達する必要性を認識。(パラ25)
- アフリカ諸国,特に2015年までのMDGs達成に向け,最も軌道を外れた国々へより関心を払うべきと認識。近年の対アフリカ援助の増大に留意。(パラ33)
3.今後の道筋―2015年までにMDGsを達成するための行動指針(パラ36~69)
- すべての国に,持続的かつ参加型で衡平な経済成長,貧困削減及び持続的開発の目的と一貫する政策を立案し実施するよう要請。(パラ41)
- 革新的資金調達メカニズムは,途上国支援において開発のための資金調達に向けた任意による追加的資金の動員について積極的な貢献ができる。このような資金調達は伝統的な資金調達源を代替すべきではなく,補完すべき。(パラ61)
目標1 極度の貧困と飢餓の撲滅(パラ70)
目標1の達成に向け,以下を含む進展の加速にコミットする。
- 効率的な水管理及び灌漑を含む適切な農村インフラを通じた途上国における農業生産,生産性及び持続可能性の強化のために強く,よい環境を推進し,農民の市場及び土地へのアクセスを改善。(パラ70o)
- ラクイラ食料安全保障イニシアティブを含む二国間及び多国間のチャネルを通じて十分で予測可能な資金を提供。(パラ70s)
目標2 初等教育の完全普及の達成(パラ71)
我々は,目標2達成に向け,以下を含む進展の加速にコミットする。
- すべての子どもに平等な教育及び学習機会を提供するため,教育システム内外の障壁を除去。(パラ71c)
- 質の高い教育と学校制度における進学を保証。学習者に優しい学校や機関の設立,包括的な教員政策を通じた教員の数及び質の向上等が必要。(パラ71e)
- 初等教育からの移行,中等教育へのアクセス,職業訓練そしてノンフォーマル教育及び労働市場への参入により焦点を当てる。(パラ71i)
- 人道的な緊急事態への対応及び備えの基本的要素として初等教育を保証する努力を強化し,国際社会からの支援を保証。(パラ71j)
目標3 ジェンダー平等推進と女性の地位向上(パラ72)
目標3達成に向け,以下を含む進展の加速にコミットする。
- キャパシティー・ビルディングを含む的を絞った活動,ジェンダー主流化等を通じ,ジェンダー平等の推進及び女性と女児のエンパワーメントにおける開発援助の効果を高める。(パラ72i)
MDGs達成に向けたすべての人に対するグローバルな公衆衛生の促進(パラ73)
グローバルな公衆衛生の促進における,以下を含む進展の加速にコミットする。
- 国家計画及び戦略を支援して,影響の大きい施策の優先パッケージをスケールアップし,女性と児童の健康のための事務総長のグローバル戦略を観迎する。(パラ73p)
目標4 幼児死亡率の削減(パラ74)
目標4達成に向け,以下を含む進展の加速にコミットする。
- 小児疾患統合管理を達成するための努力,特に肺炎,下痢,マラリア,栄養不良といった新生児及び幼児死亡の主原因を防止,対処するための行動をスケールアップ。(パラ74a)
目標5 妊産婦の健康の改善(パラ75)
目標5達成に向け,以下を含む進展の加速にコミットする。
- リプロダクティブ・ヘルスや妊産婦,新生児,乳幼児の健康に対応するため,特に,家族計画,産前健診,熟練助産師立会いの出産,産科救急と新生児ケア,HIVを含む性感染症の予防と治療を包括的に行う。これらをアクセス可能で,入手可能が統合的保健サービスを供給できるような強化された保健システムの下で行う。(パラ75b)
目標6 HIV/エイズ,マラリア,その他の疫病の蔓延防止(パラ76)
目標6達成に向け,以下を含む進展の加速にコミットする。
- HIV予防,治療,ケアとサポートへのユニバーサル・アクセスを達成するための努力を増大させ,世界エイズ・結核・マラリア対策基金への十分な資金提供や,国連の機関,基金,プログラム及び他の多国間及び二国間経路及び革新的資金を通じ,マラリア,結核及びその他の疾病との闘いを強化する。(パラ76j)
目標7 環境の持続可能性の確保(パラ77)
目標7達成に向け,以下を含む進展の加速にコミットする。
- 生物多様性条約の3つの目的の,より効率的で一貫した実施を引き続き追求。名古屋で開催される生物多様性条約COP10の成功を期待。(パラ77e)
- 安全な飲料水及び基本的な衛生への持続可能なアクセスを引き続き拡大。(パラ77h)
- 衛生のギャップを埋めるための努力を倍増させ,特に貧困層の基本的な衛生の普及を拡大するため適切な資源を動員し,「持続可能な衛生の5年」を実現するためのグローバルな取組に留意。(パラ77 j)
目標8 開発のためのグローバルなパートナーシップの推進(パラ78)
我々は,目標8達成に向け,以下を含む進展の加速にコミットする。
- 2015年までに途上国に対するODAのGNP比0.7%目標を達成するという多くの先進国によるコミットメントを含む,すべてのODAコミットメントの履行が重要。ドナー国は既存のコミットメントを達成するよう援助支払いの割合を上げるために必要で適切なすべての措置をとるべきである。未履行の先進国に対して,彼らのコミットメントに従い0.7%目標等に向けた更なる具体的努力を求める。また,民主的ガバナンスや,透明性及び説明責任の改善の重要性を強調。(パラ78f)
- グレンイーグルズ・コミットメント,及びドナー国による,多様な手段を通して援助を拡大させるとの他の実質的コミットメントの実現を迅速に進展。(パラ78g)
- MDGsの達成に貢献する潜在能力にかんがみ,新たな革新的資金調達メカニズムを探求し,既存のものを必要に応じ強化,スケールアップさせる。開発のための革新的資金調達に関するリーディンググループ及び開発のための国際金融取引に関するタスクフォースを含む現在の取組に留意。(パラ78h)
ミレニアム開発目標を達成するための取組を続ける(パラ79~81)
- 総会に,本成果文書の実施におけるものを含め,引き続きミレニアム開発目標達成に向けた進展を毎年見直すことを要請。第68回国連総会議長に,ミレニアム開発目標達成に向けた取組をフォローアップするための特別イベントを2013年に開催することを要請。(パラ79)