平成22年9月24,25日の両日,ニューヨーク国連本部において,小島嶼国開発ハイレベル会合が開催され,我が国から,菅総理大臣ほかが出席したところ,概要は以下のとおり。本会合は,自然災害や気候変動などの小島嶼国の脆弱性への取組に関するモーリシャス実施戦略から5年となる機会に,その実施をレビューするために開催されたもので,小島嶼国を始め,多くの国から首脳レベルが出席した。
1.概要
- (1) 開会式においては,国連総会議長,国連事務総長に続き,計15のグループ及び国の代表として,各国の大統領,首相,外相ほかが演説を行った。これらの演説の多くは,小島嶼国の種々の脆弱性に対する国際社会の取組の必要性を指摘するとともに,特に,気候変動による海面上昇のため,小島嶼国が深刻な脅威に直面していることを強調した。
- (2) 我が国からは,菅総理大臣が開会式において演説を行い,日本は,自らも島国である立場から,小島嶼国の脆弱性克服のための努力を支援したいとして,小島嶼国の力強いサポーターであり続けると表明した。また,ハイチ地震に対する復興支援や防災に関する日本の支援をアピールするとともに,気候変動枠組条約COP16を成功させるため,小島嶼国と協力したいと述べた。更には,人間の安全保障の考え方の下,太平洋・島サミットや日・カリコム外相会議など,小島嶼国との対話や協力を行っていることを紹介した。
- (3) 初日の午後には,ラウンドテーブル1「小島嶼国の脆弱性の削減とその回復力の強化」,2日目の午前には,ラウンドテーブル2「小島嶼国への国際的支援の向上」が開催された。ラウンドテーブル2には,我が国からは,角国連大使が出席し,太平洋及びカリブ海の島嶼国に対する我が国支援について説明した。また,2日目の午後には,パネル討論が行われた。
- (4) 2日目夕の閉会式においては,小島嶼国の持続可能な開発を支援する国際社会のコミットメントを再確認する成果文書がコンセンサスで採択された。
2.評価
- (1) 今回の会合は,小島嶼国の脆弱性の克服のための国際社会の支援に関するモメンタムを高めるとともに,気候変動の影響に脆弱な小島嶼国に対する支援を強化する必要性や,気候変動に関する新たな法的枠組みの構築の重要性を改めて認識する機会となった。
- (2) 菅総理大臣の出席は,主要なドナー国の中で最もハイレベルの出席となったところ,開会式における演説を通じて,太平洋及びカリブ地域を始めとする37か国の小島嶼国に対し,日本が力強いサポーターであり続けることを印象づけることができた。