国連

前原外務大臣の第65回国連総会出席
(概要)

平成22年9月28日

 前原外務大臣は,9月21日から25日まで,第65回国連総会及び多国間会議出席のためニューヨークを訪問したところ,概要以下のとおり。

1.多国間会議

  1. (1)ミレニアム開発目標(MDGs)

     MDGsに関するアジア諸国閣僚級非公式会合,革新的資金調達に関するハイレベル非公式会合,MDGs国連首脳会合ラウンド・テーブルに出席。アジア諸国との会合では,アジアの経済成長の経験を共有するとともに,成長に伴い現れた格差にも焦点を当てることが重要であると述べた。革新的資金調達については,国際的な議論を拡大する意思を表明し,各国に対し議論へ積極的に参加するよう促した。ラウンド・テーブルにおいては,MDGs達成に向けた課題である最脆弱層への対応に関し,人間の安全保障の考え方の重要性を主張。最脆弱層のニーズに配慮した支援策の例として我が国の基礎教育支援モデル(「スクール・フォー・オール」)を紹介。

  2. (2)生物多様性

     生物多様性ハイレベル会合に出席。開会式にて演説を行い,COP10の議長国として,COP10における諸課題の合意に向けて最大限努力する旨表明し各国の支持を求めた。また,生物多様性の保全と持続可能な利用のための国際的取組である「SATOYAMAイニシアティブ」を紹介し,COP10で新たな世界共通の目標が合意されれば,日本は途上国支援を行う用意がある旨表明した。

  3. (3)核軍縮・不拡散

     日豪共催核軍縮・不拡散に関する外相会合(計10カ国が参加),包括的核実験禁止条約(CTBT)フレンズ外相会合及び国連事務総長主催軍縮会議(CD)ハイレベル会合に出席。日豪共催核軍縮・不拡散に関する外相会合では,共同議長として,核兵器の数と役割の低減及びカットオフ条約の早期交渉開始を,新たに形成するグループの重要テーマとした。また,同会合参加国は,核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議の成果を前進させ,「核兵器のない世界」実現への途上における移行期戦略として,「核リスクの低い世界」に向けた実践的措置に取り組むことで一致した。CTBTフレンズ外相会合では,NPT体制を支える不可欠な要素であるCTBTに関し,発効要件国による早期批准を呼びかけた上で,CTBT早期発効に貢献すべく我が国として協力を惜しまない旨表明した。さらに,国連事務総長主催CDハイレベル会合では,兵器用核分裂性物質生産禁止条約(カットオフ条約)の即時交渉開始等に向け,CDが一定の期限を設けて議論を進めるべきこと等を強調した。

  4. (4)アフリカ関連

     ソマリア・ハイレベル会合に出席。対ソマリア支援における国際社会の連係強化等につき,アフリカのイニシアティブを評価するとともに,我が国がこれまで実施してきた治安の強化及び人道支援・インフラ整備を2本の柱とする約1億2,440万ドルの支援に言及しつつ,今後とも国際社会と協力して,ソマリア和平プロセスの進展に向けた支援を続ける旨を表明した。

  5. (5)安保理改革

     安保理改革に関するG4(日本,インド,ドイツ,ブラジル)外相会合を主催した。安保理が正統性と実効性を有するため早期の安保理改革の実現が不可欠であること,そのための推進力たるG4の結束が重要であることを確認した。また,来年9月までの国連総会の会期中に安保理改革についての具体的な成果を出すべく協力していくことで一致した。会合後に共同プレス・ステートメントを発出した。

  6. (6)気候変動

     メキシコ政府主催気候変動に関する閣僚級会合に出席。気候変動交渉に関する日本の従来の立場を述べるとともに,短期支援の着実な実施と10月26日の名古屋における「森林保全と気候変動に関する閣僚級会合」の主催により,国際交渉の打開を図る決意を述べた。

  7. (7)G8

     G8外相会合に出席。同会合では,イラン,パキスタン,アフガニスタン,中東和平,ラテンアメリカ及び西アフリカ地域の麻薬・テロ等の各種政治課題について,最新の状況を踏まえて議論が行われた。前原大臣からは,尖閣諸島周辺領域内での中国漁船の我が国巡視船に対する衝突事件について,事実関係及び我が国として冷静に対処していることを説明。また,核問題等北朝鮮を巡る問題も極めて重要であることを提起。

2.二国間会談

 前原大臣は,ポーランド,アフガニスタン,メキシコ,パキスタン,韓国(外相代行),南アフリカ,EU(外務・安全保障政策上級代表),トルコ,米国,コロンビア,セネガル,英国,カザフスタン,アラブ首長国連邦(UAE),クウェート,ノルウェー,カメルーン,ブラジルの外相,及び国連事務総長との間で計19の会談を行った。
 日米外相会談では,日米安保,牛肉輸入再開問題,高速鉄道,子の親権といった日米二国間関係に加え,中国や北朝鮮情勢などのアジア太平洋地域情勢,そしてイランの核問題,アフガニスタン・パキスタン,軍縮・不拡散を含むグローバルな課題についても意見交換を行った。申珏秀(シン・ガクス)韓国外相代行との会談では,日韓EPAを含む日韓二国間関係,北朝鮮問題などにつき協議を行った。更に,潘基文国連事務総長との会談では,前原大臣よりMDGsや核軍縮・不拡散に関する我が国の取組を紹介した。
 主要事項に関する各国とのやりとりは以下のとおり。

  1. (1)インフラ輸出

     南アフリカ,トルコそしてUAE及び湾岸協力理事会(GCC)との外相会談においては,我が国による基幹インフラ整備への協力を含めた二国間関係の強化について意見交換した。また,ブラジルとの外相会談において,我が国企業も関心を有しているブラジルにおける高速鉄道の入札について取り上げた。

  2. (2)安保理改革

     南アフリカ,セネガル,カメルーンとの外相会談において,安保理改革の必要性につき一致し,引き続き緊密に協力していくことで合意した。その他,ノルウェー,メキシコ,パキスタン,コロンビアといった国との外相会談においても安保理改革に関する意見交換を行った。

  3. (3)FTA/EPA等経済協定

     日英外相会談,日ポーランド外相会談において,前原大臣は日EU・EPAの早期締結に取り組む我が国の方針を伝え,先方の理解と協力を求めた。また,日・GCC戦略対話において,前原大臣は日・GCC・FTA交渉再開を働きかけた。その他,コロンビア,カザフスタンとの外相会談では,経済関係強化を目指し,投資協定を早期に締結したい旨述べた。

参考:日程(ニューヨーク時間)

21日(火曜日)

午前
ニューヨーク着
午後
日ポーランド外相会談
ミレニアム開発目標(MDGs)に関するアジア諸国閣僚級非公式会合
革新的資金調達に関するハイレベル非公式会合
日アフガニスタン外相会談

22日(水曜日)

午前
生物多様性ハイレベル会合
日メキシコ外相会談
日パキスタン外相会談
MDGs国連首脳会合ラウンド・テーブル
午後
申珏秀(シン・ガクス)韓国外相代行との会談
日南アフリカ外相会談
日EU外相協議
日湾岸協力理事会(GCC)戦略対話(クウェート,アラブ首長国連邦(UAE)両外相他)
日豪共催核軍縮・不拡散に関する外相会合
日トルコ外相会談

23日(木曜日)

午前
日米外相会談
G8外相会合
午後
日コロンビア外相会談
包括的核実験禁止条約(CTBT)フレンズ外相会合
日セネガル外相会談
ソマリアに関するハイレベル会合

24日(金曜日)

午前
日英外相会談
事務総長主催軍縮会議ハイレベル会合
ウォール・ストリート・ジャーナル紙インタビュー
午後
日カザフスタン外相会談
日アラブ首長国連邦(UAE)外相会談
日ノルウェー外相会談
日カメルーン外相会談
(総理一般討論演説傍聴)
安保理改革G4(日本,インド,ドイツ,ブラジル)外相会合
日ブラジル外相会談

25日(土曜日)

午前
気候変動に関する非公式閣僚会合
潘基文(バン・キムン)国連事務総長との会談
午後
ニューヨーク発
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