平成21年9月22日
9月22日、国連気候変動首脳会合が、潘基文(パン・ギムン)国連事務総長のイニシアティブにより、ニューヨーク・国連本部にて開催され、我が国から鳩山総理、岡田外務大臣、小沢環境大臣、松野内閣官房副長官が、また、米、中、仏、英、伊、加、豪、韓国、南ア等の主要経済国を含む約90か国の首脳等が出席した。
今次会合においては、鳩山総理が開会式においてステートメントを行うとともに、潘事務総長主催気候変動首脳夕食会においてCOP15の成功に向けて各国首脳と意見交換を行った。
(1)開会式
(イ)潘事務総長が開会の挨拶を、また、パチャウリ・IPCC議長、オバマ米大統領、ナシード・モルディブ大統領、胡錦涛中国国家主席がステートメントを行った後、鳩山総理が概要以下(ロ)のステートメントを行い、COP15における成果に向けて協働していくことを各国首脳に呼びかけた。また、カガメ・ルワンダ大統領、ラインフェルト・スウェーデン首相、アリアス・コスタリカ大統領及びサルコジ仏大統領もステートメントを行った。
胡錦涛国家主席は、中国が、GDP単位あたりの温室効果ガス排出量を、2020年までに2005年比で顕著な割合で減少させる旨表明し、サルコジ大統領は、主要経済国の首脳が、11月半ばに会合を開き、コペンハーゲンにおける成果を確実にするためのコミットメントを明らかにすべきである旨提案した。
(ロ)鳩山総理のステートメント概要(日本語版・英語版
)(首相官邸ホームページへリンク)
(i)我が国の中期目標については、1990年比で言えば2020年までに25%削減をめざす。ただし、この国際社会への約束は、すべての主要国の参加による意欲的な目標の合意が「前提」である。これを政治の意志として、あらゆる政策を総動員して実現をめざしていく。
(ii)特に脆弱な途上国や島嶼国の適応対策への支援について、1)先進国が相当の新規で追加的な官民の資金で貢献することが必要、2)とりわけ支援資金により実現される途上国の排出削減について、測定・報告・検証可能な形でのルール作りが必要、3)資金支援につき、予測可能な形の革新的なメカニズムの検討や、バイ・マルチ資金についての情報提供やマッチングに関するシステムが必要、また、4)低炭素技術の移転を促進するため、知的所有権の保護と両立する枠組みを創ること、を含む「鳩山イニシアティブ」を提案、これを具体化する中でCOP15の成功のために尽力していく。
(iii)世界の中で相対的に高い技術開発のポテンシャルと資金力をもっている我が国が、率先して削減目標を掲げ、その削減を実現していくことが世界における役割であり、我が国が国民、企業及び政治においても持続可能な社会をつくることが次世代に対する責務。
(2)ラウンドテーブル
参加首脳等が25名程度のグループに分かれ、持続可能で低排出の成長のための経済の変革、特に、(イ)最貧国・最脆弱国の気候変動の影響への適応、(ロ)先進国の野心的な中期目標、(ハ)支援を受けての途上国の排出緩和行動、(ニ)途上国の適応・緩和行動のための規模が拡大された財政的・技術的支援、及び(ホ)途上国の必要性に対応する制度的アレンジメント及びガバナンス、に関し、議論の進展を見ることを目的に討議した。日本からは小沢環境大臣が出席。参加国は、それぞれの国や地域を代表して、意見を述べた。緩和と適応に関しての資金及び技術、科学的知見を踏まえた対策、REDD+等について言及がなされた。特に、資金については、予測可能で追加的かつ十分なものであるべきという意見や、適応についての資金は緩和のための資金と別に考えるべきであるということが強調された。
小沢環境大臣からは、鳩山総理のステートメントに言及しつつ、気候変動問題につき、日本が新しい政府の下で主導的役割を果たしたいと考えている旨表明。また、京都議定書は極めて歴史的意義のあるものであるが、世界全体の温室効果ガス排出量の約3割しかカバーしていないため、さらに排出削減を拡大することが必要であり、特に主要排出国の参加が必須である旨説明。先進国が温室効果ガスの削減に一層コミットする必要がある、との観点から、鳩山総理は1990年比で言えば、2020年までに25%削減を目指す旨表明したが、この国際社会への約束は、すべての主要国の参加による意欲的な目標の合意が前提である旨説明。途上国への支援については、鳩山イニシアティブとして表明した4項目を改めて説明。出席首脳においても、このような原則に則って今後協力して欲しい旨発言した。これに対し、今後の交渉に向けて賞賛すべきステートメントであったとの趣旨の発言があった。
(3)閉会式
潘事務総長から議長サマリー(テキスト:英文(PDF)、仮訳(PDF)
)が発表された他、ラスムセン・デンマーク首相がスピーチを行い、COP15に各国首脳を招待したいとの発言があった。
(4)気候変動首脳夕食会
事務総長の主催により各国首脳が参加。我が国からは鳩山総理が出席し、活発な議論が行われた。COP15の成功に向け、各国首脳が政治的意志を示すことの重要性が強調されるとともに、緩和、適応、途上国支援を中心に、自由な意見交換が行われた。
(1)潘事務総長がイニシアティブをとり、非常に多くの国の首脳が集まり、丸1日を費やし、気候変動に関し集中的に議論。その結果、COP15に向けて交渉の進展を強化、加速化する必要性を、多くの首脳の間で確認することができたことは有意義。
(2)鳩山総理は、開会式でステートメントを行った8か国の首脳の一人として、新しい中期の削減目標を表明した。これに対し、潘事務総長からは、歴史的で力強い削減目標が表明された旨言及があった他、サルコジ大統領は、日本政府の新しいコミットメントに賛意を表明し、他の先進国に対しても同等の中期目標にコミットすることを訴えた。また、この他にも各国から、COP15に向けての交渉を前進させる意欲的な表明である等、高い評価及び期待が寄せられた。今回の鳩山総理の本会合出席により、日本政府の気候変動問題に対する積極的な姿勢が、ハイレベルの国際的な場で強く印象付けられることとなった。
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