
デスコト第63回国連総会議長の訪日(概要と評価)
平成21年8月11日
- 8月3日から9日まで、デスコト第63回国連総会議長は外務省賓客として訪日し、中曽根外務大臣との会談等を行った他、広島と長崎の平和記念(祈念)式典、長崎での平和市長会議総会に出席し、献花・挨拶やスピーチを行った。
- 16年振りとなる国連総会議長の広島・長崎式典出席や各種行事を通じて、核軍縮・不拡散における日本の役割に対する評価と期待が広く内外に発信された。また、我が国が国連総会で外交を展開するための基盤を一層強化することができた。
1.概要
(1)政府関係者との会談等
- 8月4日、外務省で、中曽根外務大臣との会談を行った。国連安保理改革について、中曽根大臣より日本の最重要外交課題の一つである旨説明したのに対し、デスコト議長は、国連総会で開始された政府間交渉を今後前進させたいと考えている旨述べた。核軍縮・不拡散については、中曽根大臣より「11の指標」の提案など日本の取り組みを説明したのに対し、デスコト議長は、世界的な核軍縮の機運を活用すべきであり、そのための日本のリーダーシップに期待すると述べた。その他、世界経済・金融危機や国連総会の活性化にも議論が及んだ。
- 8月6日、広島平和記念資料館内で、麻生総理大臣と短時間挨拶のやりとりを交わした。麻生総理は平和記念式典でのデスコト議長へのスピーチに日本国民を代表して謝意を伝え、デスコト議長は日本の核軍縮にかける熱意を理解しており核軍縮の実現に向け尽力したいと述べた。
- その他、デスコト議長は、式典等の場で、主要政党代表や広島・長崎両市長他と挨拶や意見交換を行った。
(2)広島での行事出席
- 8月6日、広島平和記念式典(広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式)に出席し、献花と挨拶を行った。挨拶では、日本は唯一の被爆国として、最大限の道義的権威を持って完全な核軍縮へのプロセスに着手できる国であると述べるとともに、カトリックの神父でもある議長は、原爆投下について、自分の教会の名において許しを求めた。
- 広島ではその他、平和記念資料館の視察と記帳、被爆体験証言の聴取、記者会見等を行った。
(3)長崎での行事出席
- 8月9日、長崎平和祈念式典(被爆64周年長崎原爆犠牲者慰霊平和記念式典)に出席し、献花と挨拶を行った。挨拶では、2020年までの核兵器廃絶との呼びかけへの支持を表明し、日本と広島・長崎両市長は核保有国にこれを求める道義的権威を持っている旨述べるとともに、広島同様、原爆投下について、自分の教会の名において許しを求めた。
- また、8月8日、平和市長会議総会の開会式に出席し、核軍縮の実現に向けての課題や方策についてスピーチを行った。
- 長崎ではその他、原爆落下中心地での献花、原爆資料館の視察、記者会見等を行った。
(4)その他
- 元ニカラグア外務大臣で神父でもある議長は、ニカラグア文化センター、上智大学等を訪問した。
2.評価
(1)核軍縮・不拡散における日本の役割への評価と期待の発信
- 国連総会議長による広島・長崎平和記念(祈念)式典出席は、1993年のガーネフ議長(ブルガリア)以来16年振りであり、特に本年4月のオバマ米大統領によるプラハ演説で核廃絶への機運が高まっている中、デスコト議長は我が方要人との会談や各種行事の場で、核軍縮・不拡散における日本の役割とリーダーシップに対する高い評価と強い期待を表明し、広く内外に発信された。
(2)国連総会における日本外交の基盤強化
- 国連総会では様々な地球規模課題が取り上げられ、特に本年2月からは安保理改革の政府間交渉が行われているところ、今般のデスコト議長の訪日で政府間交渉の前進に向けての発言等も得られ、我が国が同議長の理解と支持を得て国連総会で外交を展開するための基盤を一層強化することができた。
【参考】デスコト第63回国連総会議長の訪日日程
- 8月3日
- 成田着
- ニカラグア文化センター訪問
- 西川ニカラグア名誉領事主催夕食会
- 8月4日
- 中曽根外務大臣との会談
- 上智大学訪問
- 別所外務省総合外交政策局長主催夕食会
- 8月5日
- (広島に移動)
- 8月6日
- 広島平和記念式典出席
- 被爆体験証言聴取
- 記者会見
- 8月7日
- 平和記念資料館視察
- (長崎に移動)
- 8月8日
- 平和市長会議総会開会式出席
- 原爆落下中心地献花
- 原爆資料館視察
- 記者会見
- 8月9日
- 長崎平和祈念式典出席
- 福岡経由成田発