2005年サミット(国連首脳会合)成果文書(主要ポイント)
9月16日、2005年9月世界サミット(国連首脳会合)にて採択された成果文書(全部で35頁、178パラグラフ)のポイント以下のとおり。(以下括弧内はパラグラフの番号)
1.価値と原則(1~16)
- 国連への信頼、国連憲章の目的及び原則並びに国際法へのコミットメント(1)、国連ミレニアム宣言の再確認(2)。国連システムの妥当性、実効性、効率性、信頼性等の強化を約束(15)。
- 開発、平和と安全、人権の相互関連性。現在の脅威に対処していくためには、国際協調及び具体的行動が重要であり、「開発」、「平和と集団安全保障」、「人権と法の支配」、「国連の強化」の分野において、以下の具体的施策を実施する(16)。
2.開発(17~68)
- ミレニアム開発目標(MDGs)を含む開発目標を実現するとの強い決意を表明(17)。
- 各国は自国の開発について一義的な責任を有す。各国のオーナーシップとパートナーシップ(22)。
- 2015年までODAの対GNP比0.7%、2010年まで少なくとも最低0.5%目標の達成等に向け、多くの先進国がタイムテーブルを策定した結果開発資金が増加したことを歓迎。未だそれを行っていない先進国については、各国のコミットメントにしたがって具体的な努力を慫慂(23)。
- (IFF(国際金融ファシリティ)等の)革新的な資金源を開発する価値を認識(23)。
- 国内資金の動員(24)、対外投資を含むより多くの直接投資を奨励(25)、債務問題の時宜を得た、効果的、包括的、持続的な解決策の重要性を強調し、IMF(国際通貨基金)、IDA(国際開発協会)、AfDF(アフリカ開発基金)に対して適格なHIPC(重債務貧困国)が有する債務残高を100%削減するG8提案を歓迎(26)。
- 南南協力の実績と大きな潜在能力を認識し、さらなる協力の促進を奨励(40)。
- その他、貿易(27~)、教育(43~)、村落と農村開発(46)、持続可能な開発:環境(48)、エイズ等の保健問題(57)、ジェンダー平等(58)、アフリカの特別なニーズ(68)等についても合意。
3.平和と集団安全保障(69~118)
- 我々は、国家の枠組みを超えた脅威に直面しており、これに対し、緊急かつ集団的な対応が必要(69、71)。
- 全ての形態のテロを強く非難し(69-81)、事務総長による対テロ戦略を支持(82)。第60回総会会期中に包括テロ防止条約に合意し、締結するための努力の必要性を強調(83)。核テロ防止条約の早期発効を支持、テロ防止関連12条約の早期締結を強く要請する(91)。
- 平和構築委員会の設立を決定(97)。同委員会は、紛争後の平和構築と復旧のための統合された戦略を助言及び提案(97)。任意拠出による紛争後の平和構築のための多年度に亘る常設の平和構築基金の設置を事務総長に要請(103)。
- その他、憲章下での武力行使(77~)、制裁(106~)、国境を越える犯罪(111~)、紛争予防と解決における女性(116)等についても合意。
4.人権と法の支配(119~145)
- 国連人権高等弁務官の行動計画に留意し、今後5年間で同事務所の通常予算を倍増(124)。
- 国連における民主主義基金設立を歓迎(136)。
- 保護する責任(正しくは、『大量殺戮、戦争犯罪、民族浄化および人道に対する犯罪』から人びとを保護する責任に言及(138)。
- 人間の安全保障については、総会において人間の安全保障の概念をさらに議論することにコミット(143)。
- その他、国内避難民(132)、難民の保護(133)、法の支配(134~)、子どもの権利(141~)等についても合意。
5.国連強化(146~178)
- 代表機関である総会の中心的立場を再確認(149)。
- 安保理の代表性、効率性及び透明性をより向上させ、またその実効性、正当性及び安保理の決定の実施を強化するため、早期の安保理改革を、全般的な国連改革努力における不可欠の要素として支持。このための決定を達成するために努力を継続することとし、総会に対して、前記の改革に関する進捗状況を本年末までにレビューするよう要請(153)。
- 経済社会開発の課題の調整、政策レビュー、政策対話、勧告や国際開発目標実施のための主要機関として、より実効的な経社裡の必要性を確認。
- 国連の人権機構を一層強化するため人権理事会を創設(157)。総会議長に対し、理事会の手続、構成等を定める目的で、第60回会期中に包括的協議を行い、可能な限り早急に結論を出すよう要請(160)。
- 事務局・マネジメント改革(161~)。倫理オフィスの設置検討など、職員による倫理的行動を強化・確保(161)。予算・財政・人的資源に関する規則の見直し、総会及び他の関連機関による、5年を越えた全てのマンデートの見直し(163)。独立監査諮問委員会の創設検討など、国連の監査機関の役割や責任、独立性の強化に向けた包括的見直し(164)。
- 総会決議50/52を考慮し、憲章53条、77条及び107条から旧敵国条項を削除することを決意。
- その他、政策レベル、事業レベルの全組織が一貫性を有すること(168~)等についても合意。