軍縮・不拡散

国連事務総長主催軍縮会議(CD)ハイレベル会合
概要と評価

平成22年9月24日

 9月24日,ニューヨーク国連本部において,国連事務総長主催軍縮会議(CD)ハイレベル会合が開催され,我が国から前原外務大臣が出席したところ,概要次のとおり。

1 概要

  1. (1) 本件会合は,事務総長による提案と2010年NPT運用検討会議の最終文書における勧告に基づき,「CDの活動の活性化と多国間軍縮交渉の前進」をテーマに,事務総長が議長を務める形で開催された。
  2. (2) 本件会合にはすべての国連加盟国が招待され,我が国を含む多くの国から外務大臣が出席し,カットオフ条約交渉開始を含め実際の作業を開始できていないCDに政治的な推進力を与え,その状況を前進させるための議論が行われた。
  3. (3) 前原外務大臣からは,概要以下のステートメントを行った。
    • 唯一の多国間軍縮交渉機関としてのCDの役割は極めて大きい。
    • カットオフ条約の即時交渉開始,兵器用核分裂性物質生産モラトリアムの宣言・維持を強く求める。
    • 核兵器の役割の低減を重視。消極的安全保証の実効性を高める方途について実質的な議論を深めることも必要。強化された消極的安全保証の可及的速やかな供与を要請。
    • CDは一定の期限を設けて議論を行うべき。また,CDが役割を果たせない場合,代替策を検討すべき。仮に,カットオフ条約交渉の目処が立たなければ,我が国は他の賛同国と共に,条約交渉の場の提供等のイニシアティブを取る用意がある。
  4. (4) 最後に,以下を内容とする議長総括が発出された。
    1. ア 前半部分で,多国間の核軍縮交渉の前進,CDにおける主要事項(核軍縮(核兵器国によるNPT運用検討会議フォローアップ会合の2011年開催表明等),カットオフ条約交渉(期限設定や交渉の場等),消極的安全保証,宇宙における軍備競争防止),第4回国連軍縮特別総会開催提案,CDのメンバーシップやコンセンサス・ルールに関する各国間の議論を総括。
    2. イ 後半部分で,以下の事務総長提案を提示。
      • 2011年のCD第一会期に,CDが2009年の作業計画又は2010年会期に提出された類似の提案を採択することを強く提案。
      • 総会及び第一委員会で検討するため,第65回国連総会議題に本件会合のフォローアップを含むことを提案。
      • 事務総長は,国連軍縮諮問委員会に対し,CDの機能に焦点を当てた賢人会議の設置を含め,本件会合で提起された事項を再検討するよう要請。その勧告に基づき,事務総長はさらなる行動を検討。
      • 事務総長は,本件会合とそのフォローアップに関する報告書を,2012年に開催予定の2015年NPT運用検討会議第一回準備委員会に提出する考え。

2 評価

  1. (1) CD加盟国を含む多くの国連加盟国から外相級が参加し,多国間の核軍縮交渉の前進や,CDがカットオフ条約交渉開始を含め実際の作業を早期に開始すべきことを訴え,CDにおける停滞の打開に向けて一致した政治的意思が示された。
  2. (2) 特にカットオフ条約交渉については,西側諸国を中心に,CDでの交渉入りに向けた議論に一定の期限を設けること,現在の状況が続く場合には代替策を検討すべきことが提案され,交渉開始に向けて現実的な方策を追求する動きが大きくなりつつある。その一方で,一部の核保有国や途上国の多くはCDで交渉を行うべきとの立場であり,交渉の場を巡る立場の違いが明確となった。
  3. (3) 本件会合のメッセージや事務総長より提案された本件会合のフォローアップが,明年1月に2011年会期が始まるCDにおける活動の進展につながることが期待される。
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