
2010年11月の国連安全保障理事会の主な動き(議長国:英国)
スーダン
- 16日,ヘーグ英外相を議長として,スーダンに関する安保理閣僚級会合が開催され,米国を含む6カ国の外相,2カ国の副大臣,及び南北スーダンの高官らが出席・発言した。
- 日本からは松本剛明外務副大臣が出席し,南北両当事者ら南北包括和平合意(CPA)の誠実な履行及び住民投票を予定通り実施するとの力強い決意が表明されたことを高く評価した上で,CPAに基づく住民投票が予定通り1月9日に自由且つ公正に実施されることの重要性を改めて指摘し,すべての関係者が結果を受け入れ,南北両当事者が結果の如何に拘わらず協調していく必要性を強調し,日本による住民投票への資金支援や監視団派遣準備を含む日本による支援取組等について説明した。
- 会合では,CPAに基づき南部スーダンの分離を問う住民投票の有権者登録開始を歓迎するとともに,住民投票が予定通り1月9日に実施されることの重要性や,住民投票後の課題等についての南北当事者間の交渉の進展を慫慂すること,ダルフール和平達成の必要性などを内容とする議長声明(S/PRST/2010/24)が発出された。
ボスニア・ヘルツェゴビナ
- 11日,公開討論が行われ,インツコ上級代表は,西バルカン情勢が全体的に前向きに推移しているとしつつ,ボスニア・ヘルツェゴビナ(BH)の政治状況は依然として複雑であり,欧州・大西洋地域への統合に向けての進展が見られていないと評価した。安保理理事国の多くは,デイトン合意15周年に言及した上で,デイトン合意に関する評価,先般の総選挙の結果に関する評価について発言した。安保理理事国以外に,BH,セルビア,クロアチアが発言した。
- 18日,BHに展開する欧州連合部隊(EUFOR)をさらに12ヶ月設置することを承認する安保理決議第1948号を全会一致で採択した。
ギニアビサウ
- 5日,公式会合でブリーフィングが行われ,ムタボバ事務総長特別代表(SRSG)は,西アフリカ経済共同体(ECOWAS)・ポルトガル語諸国共同体(CPLP)が作成した治安部門改革へのロード・マップがギニアビサウにおいて有用である旨強調。近く安保理に右ロード・マップの概要をブリーフする意向を表明した。
- 23日,国連ギニアビサウ統合平和構築事務所(UNIOGBIS)のマンデートを明年12月31日まで延長することを決定する決議第1949号を,全会一致で採択した。
ソマリア沖海賊問題
- 9日,パスコー政務局長よりブリーフィングが行われ,海賊訴追の問題に関しては,事務総長が7つのオプションを提示しているが,ラング海賊訴追担当事務総長特別顧問が事務総長に勧告を提出する予定である旨説明した。
- 23日,安保理決議第1846号(海賊対策のためにソマリア領海内において強制力行使を承認)及び決議第1851号(海賊対策のためにソマリア陸上において強制力行使を承認)で規定され,決議第1897号により更新された強制力行使の承認を,1年間更新すること等を内容とする決議第1950号を全会一致で採択した。
コートジボワール
- 24日,国連リベリア・ミッション(UNMIL)から国連コートジボワール活動(UNOCI)に,4週間を越えない期間,3個歩兵中隊及びヘリコプター2機から構成される1個航空部隊を上限として転用することを承認することを決定する内容の決議第1951号を全会一致で採択した。また同日,先に行われた選挙の結果が発表された際にはこれを受け入れるよう当事者を促すプレス・ステートメントを発出した。なおこれに先立つ3日には,選挙の実施を歓迎するプレス・ステートメントを発出した。
コンゴ(民)
- 29日,コンゴ(民)に対する制裁措置の期限を明年11月30日まで延長することを決定する決議第1952号を全会一致で採択した。
イラク
- 10日,イラク開発基金(DFI)・国際諮問モニタリング委員会(IAMB)の状況にかかる山崎財務官及びイラク財政専門家委員会(COFE)によるブリーフィングが行われた。
- 12日,イラク新政府樹立に向けた合意を歓迎する安保理議長声明(S/PRST/2010/23)を発出した。
紛争下の文民保護
- 22日,公開討論が行われ,紛争下の文民保護に関する要検討事項や過去の安保理決議等における紛争下の文民保護に関する具体的文言等を整理した「エイド・メモワール」の改訂版を添付した議長声明(S/PRST/2010/25)を発出した。
コソボ
- 12日,公開討論が行われ,ザニエ事務総長特別代表(SRSG)によるブリーフィングの後,イェレミッチ・セルビア外相及びチタク・コソボ外相代行が発言を行い,安保理理事国が発言を行った。安保理理事国は概ね,9月に採択された国連総会決議が求める対話の早期開始を慫慂したが,コソボ承認国と未承認国の発言内容に差異がみられた。
テロ関連3委員会合同ブリーフィング
- 15日,決議1267(アル・カーイダ・タリバーン制裁)委員会,CTC(テロ対策委員会)及び決議1540委員会(核不拡散委員会)各議長(オーストリア,トルコ,メキシコ)からの合同ブリーフと公開討論が行われた。
中東情勢
- 23日,パスコー政務局長によるブリーフィングが行われ,米・イスラエル間の交渉が直接交渉再開のために重要である点を確認した。