
2010年9月の国連安全保障理事会の主な動き(議長国:トルコ)
国際の平和と安全の維持における安保理の効果的役割に関する安保理首脳会合
- 23日,ギュル・トルコ大統領が議長を務めて標記会合が開催され,菅総理大臣を含む15理事国の首脳・閣僚が出席した。菅総理は演説で,日本は,平和維持,平和構築,紛争予防,人間の安全保障の4つを柱とする支援を進めていくこと,また,安保理が効果的な役割を果たすためには,安保理が正統性を持つ必要があり,そのため安保理改革の実現に協力していく意思を表明した。会合の最後に,持続的な平和のために国連の予防外交,平和創造,平和維持,平和構築を統合的・包括的な形で用いることの重要性や,効果的な平和維持のためにPKOの初期段階から平和構築を検討する必要性を指摘する内容を盛り込んだ議長声明(S/PRST/2010/18)を発出することが決定された。
ネパール
- 7日,ラングレン事務総長代表が最新情勢のブリーフィングを行った。
- 15日,国連ネパール政治ミッション(UNMIN)のマンデートを2011年1月15日まで4か月延長し,同日を以てUNMINのマンデートを終了する旨決定する決議第1939号を全会一致で採択した。同ミッションは,右期限までネパール政府とマオイストとの間の包括和平合意に基づく武器及び兵士の管理の監視等の支援を継続し,その後撤収する予定。
リベリア
- 8日,ロイ事務総長特別代表(SRSG)が最新情勢のブリーフィングを行った。
- 15日,国連リベリア・ミッション(UNMIL)のマンデートを2011年9月30日まで1年間延長する決議第1938号を全会一致で採択した。
シエラレオネ
- 28日,フォン・デア・シューレンベルク事務総長執行代表が最新情勢のブリーフィングを行った。
- 29日,安保理決議第1171号でシエラレオネに対して課されていた制裁措置(注:武器禁輸・渡航禁止)を終了するとともに,同制裁履行を監視する委員会を解散することを決定する決議第1940号を全会一致で採択した。
- 同日,国連シエラレオネ統合平和構築事務所(UNIPSIL)のマンデートを2011年9月15日まで約1年間延長する決議第1941号を全会一致で採択した。
コートジボワール
- 28日,チョイSRSGがブリーフィングを行い,同SRSGによる最終選挙人リストの認証に留意し,選挙実現に向けた進展を祝福するプレス・ステートメントを発出した。
- 29日,国連コートジボワール活動(UNOCI)の軍事・警察要員の定員を8650人から9150人に一時的に増員する決議第1942号を全会一致で採択した。
コンゴ(民)
- 7日,コンゴ(民)東部で7月末から8月にかけて発生した大規模な性的暴行事件を受けて現地を訪問したカレPKO局次長と,ワルストローム女性・平和・安全担当SRSGが,事件をめぐる事実関係と,国連コンゴ(民)安定化ミッション(MONUSCO)が取った対策及び今後必要な対応等につき,ブリーフィングを行った。
- 17日,MONUSCOによる対応改善措置に関するPKO局の勧告に留意し,現地住民との意思疎通の改善を促す議長声明(S/PRST/2010/17)を発出した。
テロ対策
- 27日,ダーヴトオール・トルコ外相を議長としてテロ対策に関する公開会合(テーマ別討論)が開かれ,各国の発言の後,あらゆるテロ行為の非難,加盟国間におけるテロ対策協力の強化,テロ容疑者の引渡しをはじめとする司法共助の迅速化等の慫慂,テロ資金対策,地域・準地域における協力の強化,テロ関連3委員会における協力,テロ対策における人権保護等の重要性,テロ関連条約の批准推進,テロ対策委員会事務局(CTED)等による技術援助の推進等について言及する議長声明(S/PRST/2010/19)を発出することが決定された。
スーダン
- 15日,スーダン住民投票の実施に向け同国が重要な時期にあることを認識し,南北包括和平合意(CPA)当事者に対し,スーダン国民の意思を反映する平和的且つ予定通りの住民投票実施を促進するよう呼び掛けるとともに,24日実施される事務総長によるハイレベル会合に期待を表明するプレス・ステートメントを発出した。
ギニア
- 18日,9月11日及び12日の衝突で死傷者が発生したことへの懸念と,19日に予定されていた大統領選挙の第2回投票が延期されたことに遺憾の意を表明し,可及的速やかに新たな投票期日を定めるよう促すプレス・ステートメントを発出した。
ロシアにおける爆弾テロ
- 13日,ロシア・ウラジカフカスで発生した爆弾テロ攻撃を強く非難するプレス・ステートメントを発出した。
ハイチ
- 13日,討論が行われ,各国より,11月に予定される選挙実施と国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)による支援の重要性,及び,このためにも選挙が無事終了するまではMINUSTAHの現行要員規模を維持すべきとの事務総長の考え方への基本的な支持が表明された。
アフガニスタン
- 29日,討論が行われ,デミストゥーラSRSGが,7月のカブール会議,今月18日の下院議会選挙等,前回の6月の会合以降の重要な出来事につきブリーフィングを行うとともに,「平和・再統合プログラム」実施の必要性を強調した。発言した各国とも,これらの進展を歓迎した。また,同会合ではラスール・アフガニスタン外相がステートメントを行い,同国の取組を紹介するとともに,2014年に治安確保の責任を負うとの目標を果たしたいとの点を改めて強調した。
不拡散(イラン)
- 15日,決議第1737号(イラン制裁)委員会議長(西田大使)より,同委員会の活動に関する安保理への90日毎の定期ブリーフィング(公開会合)が行われた。この中で,米英仏の常駐代表は,8月下旬に行われたイランによるミサイル発射実験を安保理決議違反と述べるとともに,安保理あるいは制裁委員会での対応が必要との立場を示した。
ソマリア
- 16日,討論が行われ,マヒーガSRSGより,アルシャバーブの活動等による現地情勢の不安定化を踏まえ,ソマリア暫定政府(TFG)内の団結とアフリカ連合ソマリア・ミッション(AMISOM)に対する支援の必要性等につきブリーフィングが行われ,発言した各国とも,同国におけるテロ行為を非難し,AMISOMの果たす役割を評価した。
中東情勢
- 17日,セリー特別調整官がブリーフィングを行い,同月開始されたイスラエルとパレスチナ自治政府(PA)の直接交渉を歓迎する一方,入植地モラトリアムの延長を呼びかけた。またセリー特別調整官より,ガザ支援船団事件に関する調査パネルが事務総長に中間報告書を提出した旨を紹介。
国際司法裁判所(ICJ)
- 9日,バーゲンソール判事の辞任に伴う補欠選挙が行われ,ドノヒュー候補が安保理・総会それぞれで絶対多数を獲得した結果,判事に選出された。